アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)の特徴と接し方

まず今回の記事を書くにあたってのお断りですが、ひと昔前は、高機能自閉症、アスペルガー症候群、カナー型自閉症、広汎性発達障害等と使い分けられていましたが、現在はこれらを自閉症スペクトラム障害(ASD)に統一されています。

それをあえてアスペルガー症候群に限定した記事を書くのは、発達障害に理解のない人々にとっては、自閉症スペクトラム障害よりもアスペルガー症候群という言葉の方が馴染み(?)があるからです。おそらくテレビの影響でしょう。

また、個人的見解ではありますが、アスペルガー症候群と診断がおりた人達は、その他(高機能自閉症等)の人達とは違った接し方(対応方法)が必要だと実体験としてあるので、その辺りも書きたいと思います。

※全てのアスペルガー症候群の人に当てはまるわけではありません。一般的に言われていることと、私が実際見聞きしたことを混在して書いています。同じ診断名でもこんなに違うかと思うほど千差万別です。こういう人もいるんだというスタンスで読んで頂ければと思います。

アスペルガー症候群とは

コミュニケーションの難しさ、対人関係の難しさ、興味関心の狭さやこだわり、特定の行動を繰り返すといった特徴があり、言葉による遅れはなく、むしろ言葉が豊かなケースが多いです。

能力に凸凹はありますが、平均以上の能力を有しており、FIQ(いわゆるIQ)が135以上(平均が100)という高い数値の子供を何人も見た事があります。

会話は成立し、表面上のコミュニケーションも成立します。一見何も問題がないように思えますが、言葉をそのままの意味で捉えたり、他人の発言を変な解釈をしてトラブルに発展するということがあります。

ある程度知識のある人が見たら違和感を感じますが、知識のない人が見たら変わった人という印象だけで終わることが多いです。

それ故誤解を生み、出来ないことがあっても「努力不足」と一蹴されて、理解や支援を受けられないというケースをよく聞きます。

逆に、場所や所属しているグループに適応したら、素晴らしい能力が発揮されて中心的な存在にもなりえます。

コミュニケーション

会話によるコミュニケーションは問題がありませんが、非言語性のコミュニケーションの部分で難しさがあります。

表情や顔色、話すスピード、声のトーン、ジェスチャーといったことが非言語性のコミュニケーションで、他者と交流を図る上で言葉以上に大切と言われています。

ストレートな物言いで言い過ぎることも

オブラートに包んで会話をするのが難しいため、結果的に言い方がきつくなり、相手を傷つけてしまうことも。

ストレートに言うので分かりやすいのですが、言い過ぎてしまう傾向もあります。

人の表情や動作(例:叱られて手をギュッと握る)から、この人は「怯えているな」と理解できず、いつまでも叱り続けるという場面を見た事があります。

これは話すことに意識が向き過ぎ、相手の表情やしぐさを読み取りながら話しを展開していくというのが苦手なためです。

マシンガントーク

「なんでそんな言葉を知ってるの?」というような難しい言葉(例:オセアニア)を幼児期から知っていることもしばしば。

周りから○○博士と呼ばれる人もいます。戦国時代や三国志博士に関わった経験がありますが、マイナーな人物に関するウンチクをたくさん聞きました。

知っている知識を話すのが大好きな人は多く、喋りだすといつまでも楽しそうに話します。

しかし、本人は楽しくても、相手は自分が話すスキがないので、気疲れしてしまいます。

何とか気づいて欲しいと、あからさまにウンザリした表情や態度をとっても、話しがピタっと終わることは稀です。

冗談や比喩を理解できる

冗談や比喩を理解できないという話をよく聞きますが、様々な人達と会話をし、経験を積むことで、ある程度理解はできるようになります。

ただ、今の言葉は冗談で言っているのだろうと頭では理解していても、心は穏やかではありません。場合によってはいつまでも心に引っかかり、違う解釈をするようになって怒りや悲しみへと繋がることもあります。

当事者も冗談や比喩を使うことはあります。実際生徒が冗談を言ってくることは何度もあります。

明らかに冗談だと分かることもあれば、他人が理解できないような独特な冗談や比喩を使い、驚きと戸惑いの空気が流れることも。

冗談を言う時の声のトーンが通常時のトーンと同じ場合は「それは本気か?冗談か?」と、結構私は戸惑います。

対人関係の難しさ

ASDのある人は、場の空気を読むのが出来なかったり、相手の気持ちや理解が難しい、社会的なルールを無視するような行動・言動をとると言われています。

しかし、アスペルガー症候群の場合は当てはまらないことが多々あります。

場の空気を一生懸命読もうとしている

場の空気を自分なりに読もうとしている人は多く、「自分なり」なので間違うこともありますが、決して読めないというわけではありません。

似たような経験をしたことがある場合は、それに見合った行動・言動をとることもできます。

しかし、全く経験のない新しい場面に対応するのは苦手としており、軽くパニックになることもあります。

生徒曰く、場の空気を読むのに、他の人達よりも心と頭のエネルギーを使うので、疲れやすいそうです。

疲れていると、経験のある場面でも間違った判断をすることがあるので、場の空気が読めないと思われるのでしょう。

社会的なルールを順守し過ぎる

ルールを無視する人はいますが、基本的にはルールを守る人が多いです。

よく見られるのは、横断歩道でないと道路を横断しようとしない姿。車が全く通らなくても、横断歩道でないと通ろうとしません。

学校場面では、学校のルールを順守しなければいけないという考えを持つあまり、他人が違反すると注意をし、喧嘩やイジメのキッカケになることがあります。

人によって態度が極端に違う

アスペルガー症候群を含むASDのある人は、0か100の世界で生きており、その両極端な思考は対人関係にも表れます。

好きな先生または尊敬に値する先生にはとにかく従順で、その先生にとっては非常に扱いやすい態度をとります。

逆に、「この先生はダメだ」「分かってくれない」「敵だ」と思ったら、徹底的に反抗的な態度をとり、扱いにくい生徒と化します。

味方であればとても心強く、敵対すれば非常に厄介と言われている所以です。

こだわりと興味の狭さ

予想外のハプニングや変化が苦手で、そういった事態に直面するとパニックを起こすか、何が何でも普段通りの行動をしようとします。

興味の範囲は狭く、なかなか新しい事に興味を持ちにくいため、心配する親は多いです。

自分ルール

こだわりというのは、自己防衛反応の一種です。

予測できない事(イメージが出来ない)が起きると心が不安でいっぱいになり、しんどくなります。

それを避けるために、普段と同じ行動をする、同じアニメを見続けるといった心の安定を求めるのです。

皆で遊んでいる時に、突然自分ルールを発動する子供がいますが、自分が予想しやすい動きを求めているためです。

こだわりというのは大人になっても見られます。詳しい事例が下記の記事に書いています。

>>>大人の発達障害

興味は狭いが深い

興味は狭いが、関連する知識は非常に深く、飽きにくいことが多いです。

また、興味あることの吸収力は定型発達の人とは比較になりません。

稀に、興味が広くて全てにおいて深い知識を有しているという人、知識は深いが飽きやすいという人もいるので、全てのアスペルガー症候群の人が興味が狭くて深いと断定しない方が良いでしょう。

接し方

仕事上、保護者からどういう接し方をすれば良いのかとよく相談を受けます。

アスペルガー症候群の人にはこういう接し方をすれば大丈夫!と断言するのは危険ですが、あえて今回はいくつかを挙げたいと思います。

味方になる

前述した通り、アスペルガー症候群の人は味方になれば非常に心強い味方になりますし、扱いやすく(関わりやすく)なります。

そのために、「あなたの味方」であるという態度と言葉がけを示すことが第一歩。次に、この人は「自分の味方」と思ってもらえるようにします。

アプローチの仕方はその人の価値観等で変わりますが、傾向的に感情論よりも打算的な思考が強いので、自分にとってプラスになるかならないかで判断することが多いです。

例えば、「先生は先生として尊敬に値する人」「親は理解者」「第三者は背中を押してくれる人」。

自分の味方と思えるようになっても、どこかで「違うな」と思ったら、躊躇なく関係性を崩すので、関わる人達は持続性が求められます。

絶対にやってはいけないこと

「人格否定」と「本人が好きなこと(人含む)を否定する」は絶対にやってはいけません。

良好な関係が崩れ、築けなくなる危険性が高いです。

誰でも人格否定をされたら腹が立ちますが、ASDのある人は負の感情に対する感度が非常に強いです。

一般的にこの程度なら流せるだろうと思えることでも、いつまでも心の奥底に残り、フラッシュバックのようにある日突然思い出すことがあります。

好きなことというのは、単純に好きというだけではありません。

本人にとっては心の安定剤でもあるので、特別なものです。

他者を傷つけるようなものなら否定するのは致し方ありませんが、そうでないなら否定はしないでください。

ストレートに伝える

注意をする時、傷つけまいとオブラートに包んだ言い方や態度で示される人がいますが、逆に分かりづらいので、ズバっと言う方が理解しやすいです。

ただし、感情的にならず、具体的にどうすれば良いかまでを伝えること。

感情的になると恐怖の方が勝ってしまい、その後の話が記憶として残りにくくなります。

色々な体験を通して見聞を広める

ASDのある人は不安になりやすく、新しいことや場所に対して不安にならないようにする方法はありません。

しかし、一度でも経験すれば予測をしやすくなるので、不安が和らぎます。

様々な体験は成長を促すだけでなく、不安要素を潰していく(予測しやすくする)効果もあります。

現在、極度に不安になりやすい生徒がいますが、経験したことで不安が取り除かれ、遊べる物が増えたという事例があります。

>>>不安先行型の子供への指導

アスペルガー症候群タイプには特に体験という要素が重要です。

というのも、受け取る情報が個性的で、体験後に感想を聞くと思いがけない感想が出てきて、周りから認められやすくなります。

体験によって得られる情報量も多いので、それだけ不安要素が減り、こだわりの軽減や空気を読む力にも繋がります。

情報量が多ければ多いほど、様々な場面においての武器(自信)になり、それを最大限に引き出して活用出来るのがアスペルガー症候群の強みだと、日々関わっていて思います。

余談ですが、自己肯定感が高く、色々な体験をし続けていると、新しいことに興味を持ちやすくなります。

実際目の当たりにしているので、間違いないです。

熟考タイプなので慌てさせない

マイペースで熟考タイプが多く、すぐに決断を迫られると頭の中でパニックが起こり、思考停止することがあります。

そうなると良い結果に繋がりにくいので、周りの人達は慌てさせないよう配慮をして欲しいです。

ただし、自分が得意とする範囲や過去に経験(成功体験)のあることならば、即断即決が可能です。

時間をかけても決断が出来なかったり、考えつかないこともあります。

頭の中で情報を整理できない、情報の取捨選択が出来ない、他人を気にし過ぎている、最善の一手にこだわり過ぎている等が理由として考えられます。

そういう時は選択肢をいくつか提示したり、メリットデメリットを一緒に考えたりすると、決断しやすくなります。

私も日々学びながら生徒達と関わっています。実はこういう特徴があるんだと気づかされることもあるので、随時追加していきたいと思います。

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