滋賀県で発達障害者への就労支援
生徒と一緒に働くことが好きなひだち教室長の安藤です。
障害等の理由で働くことが困難な人を対象に、就職し働き続けているようにサービスする国の『就労支援制度』をご存知ですか?
就労支援制度では次のようなサポートを受けられます。
・職業相談。
・就労支援計画の作成。
・能力開発・職業訓練。
・面接時の付き添いと説明。
・就職後の悩み相談。
当教室では公的機関とは違う、独自の就労支援を行っています。
今回は、当教室の『実践型就労支援』をご紹介します。
この記事に出てくる実践型就労支援を体験したメンバーは以下のような人達です。
A君(大学生):サッカー観戦大好き。失敗に対する不安が強いが、真面目な性格。
B君(大学生):分析が得意。自己肯定感は低いが、経験を積むと自信を持って行動できる。ASDと診断済。
Contents
実践型就労支援をすることになった経緯
実践型就労支援をするようになったのは、大学生になる生徒(複数人)がバイトをした経験がないことがキッカケでした。
能力的に出来るけど、出来ない状態。低い自己肯定感、情報の偏りor不足が起因しています。
発達障害のある人は定型発達の人と比べると、失敗体験が多く、それ故失敗に対する不安は強いです。
発達障害を抱えるA君は「失敗したら叱られる」のが不安で、一歩を踏み出せませんでした。
ASD(自閉症スペクトラム障害)のB君は、ネットからの情報や周りの人達から「仕事はしんどいもの」を聞かされ続け、「仕事はしんどいだけで、楽しいことは何もない」という極端な解釈をするようになり、自分で経験する前に就労意欲を挫かれてしまいました。
失敗を恐れるのも、仕事はしんどいと思う気持ちも理解できます。
しかし、このままでいいのでしょうか?
いつかは現実社会と向き合い、困難に立ち向かわなければいけない時がきます。
お金を稼ぐよりも、自分の好きなこと・やりがいを優先する傾向が強いタイプは、特に困難に立ち向かって乗り越える力が必要だと私は考えます。
乗り越える力は一朝一夕では身に着きません。しかし、色々な体験と自己決断した回数が多い人ほど身に着いていると感じます。それは社会に適応している発達障害のある人も例外ではありません。
不安を抱えた人は勇気を挫かれているので、色々な体験も自己決断をする回数も極端に少ない。
ひとりでは不安でも、指導者と一緒なら?
仕事の辛さも喜びも、指導者と一緒に分かち合いながら体験することで一歩を踏み出せるのではないかと、実践型就労支援をスタートしました。
ひたち教室の実践型就労支援
当教室では、公的機関と同じような仕事に関する悩み相談といったサポートも行っています。しかし、相談だけにとどまらず可能な限り「自分で自分をサポート=自立を目指す」という、より実践的な支援を行っています。
教育思想の強い、実践を通しての就労支援です。
・バイト経験がない。
・バイトをしたいけど不安が強い。
・就職したが心を病んでしまった。
・自分に合った仕事が分からない。
・一歩を踏み出す勇気がない。
この支援は19歳以上で、就労に関する上記のような悩みを抱える人が対象です。
当教室では、本人に合わせた「ワークウィズ&サポート」と「ワークサポート」2つのレッスン(就労支援)を提供しています。
指導者と一緒に働く「ワークウィズ&サポート」
ワークウィズ&サポートでは、登録制のアルバイトの仕事を指導者と生徒が一緒に行うというもの。
これまでに生徒と一緒に体験したのは
イベントの設置・運営・解体、配送、事務所移転、工場での軽作業、倉庫整理、ゲーム関係など様々なアルバイトをしてきました。
ワークウィズ&サポートの目的は「お金を稼ぐこと」ではありません。
本来の目的はバイトを通して
・自分にとって関わりやすい人/苦手な人を知る。
・仕事上の本気のやり取りを知る。
・自分にできる仕事/難しい仕事。
・社会のシステム。
・人に伝わる言い方/伝わらない言い方。
・困難に対して立ち向かう術(ソーシャルスキル)
等、自分の適性や社会との関わり方を学ぶのが目的です。
短期間のお客様気分の職業体験ではなく、実際の現場で働きながら得る学びなので、説得力があります。なにより「自分にもできた!」という自信に繋がるのが特徴です。
自分ひとりではなく、指導者と一緒に働くことで
5つの『同』(同じ現場、同じ目線、同じ立場、同じ苦しみ、同じ喜び)を分かち合えるので「ひとりでは一歩を踏み出す勇気がない」人でも安心して挑戦するキッカケになります。
バイトの後は、指導者と一緒に食事をしながら1日を振り返ります。
記憶が鮮明なうちに、自己理解を深めつつ、仕事での愚痴や気づきをお互いに語り合うことで心理的サポートを行います。
この振り返りの時に5つの『同』に効果が一番発揮されます。
生徒の仕事に対する捉え方や心構えが前向きに変わる瞬間を何度も目にしてきました。
ワークウィズ&サポートの体験を通して、新たな一歩を踏み出す瞬間に立ち会うのは何度体験しても感動を覚えます。
当事者も同僚も助かる『ワークサポート』
当教室のサポートは相談業務だけではなく、仕事・周囲との関係など多岐に渡ります。
「困り感を上手く伝えられない人」には、伝え方の指導をしたり、代弁者となって本人の代わりに会社の人に伝えます。
「仕事のスキルや動きを覚えるのが苦手」な人には、その人にあった方法で教えたり、一緒に練習をします。場合によっては、会社に入って仕事のサポートをすることもあります。
そして、最も特徴的なサポートが「当事者に困り感はないが、職場の同僚たちに困り感」がある場合の橋渡しです。
実際の現場では、当事者よりも同僚の方たちが困っているという場面をよく見かけました。
例えば、当事者が自分の匂いに無頓着な場合などは「指摘することで傷つけ、出勤できなくなってしまうのでは・・・」と一緒に働く人達が悩んでしまうケースもありました。
会社が障害のある人を受け入れても、現場の人達が障害について理解できていない場合の方が多いのです。
躊躇して言えなかったり、誤解を与えるような伝え方をすると当事者と同僚達との溝が深まり、職場で孤立してしまいます。せっかく就職しても、離職の原因にもなってしまいます。
会社や一緒に働く同僚、そして当事者がよい関係を築けるように、調整役としてサポートをしています。
実践型就労支援を体験した生徒たち
実践型就労支援をはじめるタイミングを見極める指標が私にはあります。
新しいことにチャレンジするのには、エネルギーが必要です。エネルギーが溜まっていない状態だと一歩を踏み出す力が出ません。
でも、ある程度溜まっている生徒に「私と一緒ならバイトをしてみない?」と聞くと高確率で「やる!」と言ってくれます。
不安が強い人や一歩を踏み出す勇気を挫かれている人に必要なのは、後から背中を押すことではなく、困難に対して共に立ち向かってくれる人です。
動きさえすれば色々な体験も積めるし、自己決断する回数が一気に増えます。
すると、困難に立ち向かう力が自然と身に着き、立ち向かう術は共に立ち向かった人からその場で学べます。
このような支援の仕方は必要ですが、公的機関では難しいでしょう。システム的に難しいというのもあるでしょうが、専門性の高い人が一緒に肉体労働をするのは避ける傾向があるからです。
8時間も一緒に労働するぐらいなら、培った知識と経験を駆使して、何十人もの人を相手にトレーニング等をした方が効率的だからです。
しかし、講演会や研修会を開催した時に、一番反応が良いのは実践型就労支援の話。
「息子が高校を卒業したら一緒にお願いします」というお声を頂いたこともあったので、保護者からのニーズが高いのがうかがえます。
先に紹介したA君は私と一緒にバイトを体験して「(いい意味で)思っていたのと違う」「意外と俺ってできるやん」と自信がついた様子でした。
また、一緒にラジオに出演した時にB君の「先生からは一歩を踏み出す勇気をくれています」という発言を聞くと、支援の効果を実感でき、やって良かったと心から思えます。
保護者も我が子のそういった感想を聞けると、安心感が出てくるようです。
「子供に就労経験を積んで欲しい」
「でも一人では心配」
そんなお悩みを抱える親御さんはぜひご相談ください。
きっと力になれると思います。
お問合せはこちら>>>お問合せフォーム
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。