滋賀県で発達障害者への就労支援

障害等の理由で働くことが困難な人を対象に、就職し、働き続けていけるよう、国が進める就労支援制度があります。

職業相談、就労支援計画の作成、能力開発・職業訓練、面接時の付き添いと説明、就職後の悩み相談といったことを受けられます。

当教室でも就労支援を行っていますが、公的機関で行っている就労支援とは毛色が違います。

実践型の就労支援

公的機関のように、仕事に関する悩み相談といったサポートもしますが、可能な限り自分で自分をサポートできるようになることを目指します。

教育思考の強い、実践を通しての就労支援と言えます。

当教室の就労支援に該当するレッスンは、「ワークウィズ&サポート」と「ワークサポート」。

前者は登録制のバイトを指導者と生徒が一緒にするというもの。

後者は相談を受けたり、仕事に必要なスキルの練習、就職した会社に入って仕事のサポートをすることもあります。

ワークウィズ&サポート

19歳以上で「バイト経験がない」「バイト経験がほとんどない」「バイトをしたいが不安が強い」「就職したが心を病んでしまった」「自分に合った仕事が分からない」「一歩を踏み出す勇気がない」のいずれかに該当する人が対象。

これまでに、イベントの設置・運営・解体、配送、事務所移転、工場での軽作業、倉庫整理、ゲーム関係といったバイトを生徒と一緒にしてきましたが、単純に稼ぐことを目的としてはいません。

バイトを通して、「自分にとって関わりやすい人や苦手な人を知る」「仕事上の本気のやり取りを知る」「出来る仕事や難しい仕事」「社会のシステム」「伝わる言い方と伝わらない言い方」「困難に対して立ち向かう術(ソーシャルスキル含む)」等といったことを学びます。

職業体験ではなく、実際の現場で働きながらの学びなので説得力があり、自信にも繋がりやすいのが特徴です。

「同じ現場」「同じ目線」「同じ立場」「同じ苦しみ」「同じ喜び」の5つの『同』が織りなすこの就労支援は、「一歩を踏み出す勇気」を持っていない人にとって、勇気がわくキッカケにもなります。

バイトの後は、記憶が鮮明な状態で食事をしながら振り返りをします。

自己理解を深めつつ、仕事での愚痴をお互い言い合うことで、心理的サポートも行います。

この振り返りの時に5つの『同』の効果が一番発揮され、仕事に対する捉え方や心構え等が変わる瞬間を目の当たりにしてきました。

ワークサポート

サポートは相談業務だけではなく、多岐に渡ります。

「困り感を上手く伝えられない」人には、伝え方の指導をすることもあれば、代弁者となって会社の人に伝えます。

「仕事でのスキルや動きを覚えられない」人には、その人に合った方法で教えたり、一緒に練習をします。場合によっては、会社に入って仕事のサポートをすることもあります。

そして最も特徴的なのが「当事者に困り感はないが、職場の同僚達に困り感がある」というケースもサポートの内に入ります。

色々な現場に行くと、当事者よりも同僚達の方が困っているという場面(例:匂いがきつい)をよく見かけました。また、「こっちが困っている事を指摘することで傷つき、出勤できなくなるのではと思って言えない」なんて声も聞かれました。

会社が障害のある人を受け入れていると言っても、現場の人達が障害について理解しているかと言えば、していないことが多いです。

躊躇して言えなかったり、間違った解釈をしてしまうような伝え方すると、同僚達と当事者との距離が空いて孤立していき、最悪離職に繋がります。

それを防ぐ目的もあって、調整役としてサポートします。

実践型就労支援をすることになった経緯

現在の就労支援をするようになったのは、大学生になる生徒(複数人)がバイトをしないというのがキッカケでした。

能力的に出来るけど、出来ない状態。低い自己肯定感、情報の偏りor不足が起因しています。

発達障害のある人は定型発達の人と比べると、失敗体験が多く、それ故失敗に対する不安は強いです。

実際、初めて私と一緒にバイトをしたA君は、当日になるまで「失敗したら叱られる」とずっと不安がっていました。

ASD(自閉症スペクトラム障害)のB君は、ネットからの情報や周りの人達から「仕事はしんどいもの」と聞かされ続け、「仕事はしんどいだけで、楽しいことは何もない」という極端な解釈をするようになり、「一歩を踏み出す勇気」を挫かれてしまったというケースもあります。

不安になる気持ちも、仕事はしんどいものと思うのは理解出来なくはないです。では、それを受容するだけで良いのかと言えば、そうではないと思います。

いつかは現実社会と向き合い、困難に立ち向かわなければいけない時が出てきます。

お金を稼ぐことよりも、自分の好きなこと・やりがいを優先する傾向が強いタイプは、特に困難に立ち向かって乗り越える力が必要だと私は考えます。

乗り越える力は一朝一夕では身に着きません。しかし、色々な体験と自己決断した回数が多い人ほど身に着いていると感じます。それは社会に適応している発達障害のある人も例外ではありません。

不安を抱えた人は勇気を挫かれているので、色々な体験も自己決断をする回数も極端に少ない。

そんな状態でいつ困難に立ち向かう力を身に着けられるのだろうか?

不安がなくなるまで、エネルギーが溜まるまで待てば解決するのか?それは周りの人間も本人にも分からないと思います。

勿論、待つことも大切なので待つ時期だと思えば待ちます。ただ、待ち続けるのは逆効果で、溜まったエネルギーの発散のタイミングを間違えるとしぼんでしまうことがあります。

エネルギーが溜まっているかの判断は非常に難しいですが、私の中で一つの指標があります。

それは「私と一緒ならバイトをしてみたいと思えるか」です。エネルギーが溜まっていない人はそれを聞いてもやろうとは思いませんが、ある程度溜まっていると高確率で「やる」と言います。

不安が強い人や一歩を踏み出す勇気を挫かれている人に必要なのは、後から背中を押すことではなく、困難に対して共に立ち向かってくれる人です。

動きさえすれば色々な体験も積めるし、自己決断する回数が一気に増えます。

すると、困難に立ち向かう力が自然と身に着き、立ち向かう術は共に立ち向かった人からその場で学べます。

このような支援の仕方は必要ですが、公的機関では難しいでしょう。システム的に難しいというのもあるでしょうが、専門性の高い人が一緒に肉体労働をするのは避ける傾向があるからです。

8時間も一緒に労働するぐらいなら、培った知識と経験を駆使して、何十人もの人を相手にトレーニング等をした方が効率的だからです。

しかし、講演会や研修会を開催した時に、一番反応が良いのは就労支援の話。「息子が高校を卒業したら一緒にお願いします」というお声を頂いたこともあったので、保護者からのニーズが高いのがうかがえます。

「(いい意味で)思っていたのと違う」「意外と俺ってできるやん」と自信がついたA君の発言や、一緒にラジオ出演した時にB君の「先生からは一歩を踏み出す勇気をくれています」という発言を聞くと、支援の効果を実感でき、やって良かったと心から思えます。保護者もそういった話を聞けると、安心感が出てくるようです。

我が子にバイトをさせたい、でも心配という方は、一度当ご相談ください。きっと力になれると思います。

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