働くための情報を収集する~一緒にバイトするからこそ見える事~

最近、問い合わせやイベントでの反応で多いのは仕事についての話です。
特に関心を寄せられるのが、ひだち教室でやっている指導者と共に一緒にするバイト。
詳しく知りたい方もいらっしゃるので、その活動についてお話したいと思います。
Contents
仕事の適正を見極めるためには情報収集が必要

一緒にバイトをするという発想は、教室を開いた段階ではありませんでした。
生徒の様子を見ていると将来仕事につけるのか?
そのための努力をし、色々な情報(自己理解含む)も収集しているのか?
という不安と疑問を持つようになりました。
そんな折、不安等からなかなかバイトをする勇気を持てない大学生の生徒がいました。
この生徒には勇気づけがいる。
でも、言葉では勇気づけにはならない。
身体をはって動く必要があると直感的に思いました。
「私と一緒ならバイトをするか?」と尋ねてみました。
生徒は「やる」と言うので、登録制のバイトを一緒にすることになりました。
色々な人にこの事を話すと、
「大学生なのに」
「そこまでやる必要があるのか?」
などの声を聞きました。
関わっていると分かります。
必要です。
そこで、勇気づけと不安脱却のための情報収集を目的とした、一緒にバイトを行うことに至りました。
活きた情報

不安はそもそも情報不足からくるものがあります。
種類を挙げたらきりがありませんが、
・仕事の内容
・仕事場の雰囲気
・自分自身の情報
・そこで働く人達の情報等
・自分は仕事ができるという手応えと自信
全てを網羅する事は出来ないでしょうが、それでも現実を知ることができます。
それがいずれ活きた情報として将来役に立ちます。
頑張らざるを得ない環境に身を置く

バイトは職場体験と違います。
責任もあり、お金を稼ぐ場です。
不安から生徒のモチベーションが低い場合はあります。
でも、いざ始まるとやる気が出ないなんて言ってられません。
やらないと厳しい言葉をかけられるので、真面目にやらざるを得ません。
様々な雰囲気や人を知っていくこと。
責任を負って働くことの大変さとやりがいを実感できる。
そういった事が新しい情報として蓄積されていきます。
自分自身を知る

基本私が仕事を選んで、一緒に同じ現場に行くようにしています。
でも、本人が希望するような現場があればそこを優先的に選びます。
仕事内容は生徒の能力を考えて選びます。
なんだかんだでできますが、必ずしも合うとは限りません。
作業スピードについていけない。
現場の遠慮のない人間関係に気落ちする。
体験程度では絶対知ることができない情報ですね。
すぐに愚痴を聞くことが大切

どんな仕事でもストレスは存在します。
そのストレスを知っていると知らないとでは、大きな違いがあります。
一緒に行った生徒もストレスがかかり、仕事疲れ以上の負荷がのしかかっていることが分かります。
だから、必ず仕事後に食事をしながら愚痴を聞くようにしています。
愚痴を聞くにしても、その現場を知らない人では共感がしにくくてストレス減少の効果は薄いです。
その点、私は同じ立場、同じ現場で働いています。
現場の雰囲気や人間達といったことを知っているので、生徒達は共感を実感できます。
同じ体験をした人と話すことはこれほど楽しいものはありません。
そのことに生徒達は気が付いていきます。
仕事を辞めたいは一歩前進

仕事を終え、食事をしながらの会話です。
ある生徒は私と一緒にバイトをするまでは、仕事を辞めるのは良くないという考えを持っていました。
ところが私と一緒にバイトをすることで、辞めたくなる気持ちも理解できるようになったと言い出しました。
仕事を辞めるのは恥ずかしいことではない。
自分の人生をより良いものにするための行動なのだから、むしろ一歩前進と捉えるように伝えました。
今後生徒が就職して離職を考えた時になったら、こんなことを聞こうと思います。
何故仕事を辞めたいと感じたのか?
次の仕事ではどういった環境が理想か?
どういうサポートがあれば良いか?
といった情報を一緒に精査しようとも伝えました。
私の流儀

現実を知ってもらうために、まずは一緒に仕事をして情報収集。
仕事後、心理的サポートをするためにすぐに愚痴を聞く。
情報の整理と同時に気づきを促す。
そしてなんといっても、共感し合える存在になることです。
発達障害のある人にはサポートがいるという言葉をよく聞きますが、果たしてそうでしょうか?
長年発達障害のある人と関わってきて、サポートばかりを望んでいるとは思えないのです。
むしろ、同じ目線で、同じ立ち位置の仲間(年齢関係なく)を欲しているように思えます。
私が考える仲間の定義は、
・同じ立場
・同じ体験をする
・同じ苦しみを体験する
・一緒になってやり遂げる
・愚痴を言い合える
この定義で考えると、一般的な支援者と当事者間では難しいと思います。
本当の意味で共感し合えることも難しいのではないでしょうか。
だから対等な関係でいられる一緒にバイトを、これからも続けていこうと決意しています。
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