創作活動は自分が納得できることが大切【大小屋にて】
課外活動が生き甲斐(?)のひだち教室長の安藤です。
今回の記事は、信楽焼体験について。
前回の記事では「しじみ漁体験」について書きましたが、実は信楽で陶芸をしました。
>>>しじみ漁体験の記事
課外活動で何かを作るのは随分久しぶり。
創作活動は単に作るだけのものではありません。陶芸をしている過程で、生徒達は大切なことを学びました。
しじみ漁に引き続き、こちらのメンバーで信楽焼体験をしました。
A君(小学校中学年):明るく元気。ムードメーカー役。〈絶賛ポケモンにハマり中〉
Bちゃん(年中さん):本好き少女。不安先行タイプだが、経験すると飛躍的に伸びる〈プリキュアがマイブーム〉
Cさん(短大生):保育士を目指すお姉さん。スヌーピーをこよなく愛する。〈指導力を磨いています〉
大小屋で信楽焼体験
陶芸を体験した場所は、甲賀市にある大小屋。
一般的には陶芸体験をしようとすると、事前に予約する必要がありますが、大小屋は混んでいなければ当日でも受け付けてくれます。
体験できるコースは5つ。
・手軽に体験手びねり50分コース。
・値段がお得な手びねり作品3点コース。
・陶芸家の気分を味わえる電動ロクロ40分コース。
・経験を積める電動ロクロ作品2点コース。
・幼児にはこれ!絵つけ体験コース。
生徒達(小学生と幼児)はどれが面白いのか、コース名だけだと分かりづらい様子だったので、どういったものかを簡単に説明しました。
私達はコースを選択し、支払いを済ませてから、陶芸教室をしている施設に向かいました。
まさに陶芸をするための施設で、長机、イス、電動ロクロがズラリと並んでいました。
お客さんの作品が並べられていたので、触らないよう注意を促しました。
しかし、生徒達は独特な雰囲気の施設内に少し戸惑いがあったようで、一度目はちゃんと聞けていませんでした。
もし親子や学校行事で来ることがあるなら、子供が場に慣れてから、注意をすることをお勧めします。
スタッフは陶芸をしているお客さんの対応で余裕がないのか、スタッフから声をかけられることがなかったので、A君は「どうしよう?」という表情で私に助けをこうてきました。
私が声をかけたら応対してくれましたが、ここで私は反省しなければいけません。
課外活動はソーシャルスキルトレーニングの意味合いが含まれているのに、私が声をかけてはせっかくのチャンスが台無しです。
気を付けなければいけませんね。
施設内は半分が体験スペースで、奥は作業場となっています。
寡黙な若いスタッフが、店に出す大量の商品を一人で作っていました。
若いスタッフに質問をしても、あまり明確な答えが返ってこなかったので、静かに作る様子を見る方が良いでしょう。
コロナ騒動の前なら休日は客でいっぱいですが、現在は休日でもそれほど多くありません。
静かな所で集中して陶芸をしたい方には、逆にうってつけかもしません。
平日はコロナ騒動前でもそれほど客はいないそうなので、平日が狙い目です。
陶芸による効果と学び
陶芸教室に行くキッカケとなったのは、Cさんの「電動ロクロをしたい」という言葉からでした。
ひだち教室は生徒の興味・関心を叶える教育機関でもあるので、叶えないわけにはいきません。
勿論、願いを叶えるだけではなく、陶芸による効果や学びということも意識しています。
・手の平の感覚を養う。
・イメージしたものを表現する。
・表現の幅を広げる。
・非日常の楽しさを知る。
・作ることに興味を持つ。
・手伝って欲しい時に声をかける必要性を知る。
・結果に対して責任を負う。
上記以外に視機能に関することもありますが、今回は楽しく作ることが重要だったので、意識しませんでした。
陶芸教室開始!
Bちゃん(幼児)は絵つけ体験コース、A君(小学生)は手びねり体験コース、Cさん(短大生)は電動ロクロ体験コースを選択。
まずは、Bちゃんが絵つけの指導を受けました。
6色ある絵具を使用するのですが、筆は各色一本ずつ。
「使った筆を別の器にいれないよう注意してください」と、スタッフが一生懸命説明をしていましたが、Bちゃんは上の空。
Bちゃんは早く塗りたいという思いが強く出てしまい、意識が陶器に集中してしまったのが原因です。
Bちゃんは説明中に何度も塗り始めようとし、その度にCさんに制止されていました。
Bちゃんは塗り始めると、様々な色を使おうという意識がありました。
私は予め絵具が入った器に筆を一本ずついれておいたのですが、それが功を奏し、Bちゃんは筆を使い間違えることなく、集中して取り組めました。
約30分ほどで完成。予想よりも早いです。
私は一人一作品を考えていたのですが、Bちゃんは猫の貯金箱を塗っていたA君の様子を見て、「私も猫の貯金箱を塗りたい」と言い出しました。
お金のこともあるので、私は保護者に許可をとってからOKを出しました。
Bちゃんは一つ目よりも集中力が高く、時折鬼気迫るような表情をして塗っていました。
個性的な模様に仕上がりました。
小判という概念が入っていないため、黄色ではありません。
それがかえって斬新ですね。
Cさんは念願かなっての電動ロクロ体験でしたが、大苦戦。
私は京都で電動ロクロを体験したことがありますが、それよりも回転が早い気がします。
何度もチャレンジし、それでも上手く形作れない。しかし諦める様子もなく、1時間が経過しました。
最終的にはスタッフのサポートのもと、何とか作れました。
A君は説明を受けてから、手びねり体験スタート。
指で粘土をギュっギュと押しながら、形をつくっていきます。
手びねりは指の感覚を養うのに適しているため、手先の不器用さを抱えているA君にはちょうど良いです。
時間がかかるなと思っていたら、僅か10分で終了。
お茶碗として使うそうです。
「お茶碗として使えるかは分からないけど良い?」と尋ねたら、「良い」とA君は言いました。
スタッフはこれで良いの?という表情で私を見てきましたが、本人が納得しているならOKです。
A君は粘土で形づくってから色を塗れると思っていたようで、絵具の筆を手に取りました。
勿論、スタッフには止められました。
色を塗れなかったのがよほど残念だったようで、「絵つけ体験もしたい」と言い出しました。
A君は多めにお小遣い持ってきていたので、私はそこから出すように言うと、A君は納得して申し込みに行きました。
A君は猫の貯金箱を選択し、塗り始めました。
色を濃く出そうと何度も重ね塗りをするとひび割れる可能性があるので、薄く塗る方が良いです。
しかし、A君はそんなことお構いなしに塗りたくります。
そんな様子をCさんは「おいおい」といった顔をして見ていましたが、貯金箱に大きな水滴(絵具)がついていたのが我慢ならなかったのでしょう、CさんはA君に注意をしました。
すると、A君は「ほっといて!!」と怒りました。Cさんは良かれと思って注意をしたので、逆切れされたことに驚いていました。
時間をかけ、A君は満足のいく作品に仕上がりました。
作品はスタッフが焼いてくれ、手元に届くのは一ヶ月半ほどかかります。
完成形を見て、生徒達はどんな反応をするのかが楽しみですね。
価値観を押し付けるのではなく自由を
前述した効果や学びはあったと思います。
以前、Bちゃんは赤色を使ったら赤色しか使わないというこだわりを見せていました。
しかし、絵つけ体験では多彩な色を使い、新しい表現を示してくれました。
陶器という馴染みのない物がBちゃんにインスピレーションを与えたのかもしれません。
A君は結果に対して責任を負う大切さを学ぶには、焼きあがってからだと思います。
振り返りをした時に、その他にどういう学びがあったかを聞く予定です。
今回一番学べたのはCさんです。
Cさんは一人で作れなかったから凹んでいるかと思ったら、「すごく面白かった」とのこと。
電動ロクロで非日常を体感できるというのは知っていましたが、想像以上だったようです。
CさんがA君に注意した一件は、親子間ではよくある光景です。
大人はどういう結果になるか予測できるので注意したくなります。
気持ちはよく分かりますが、創作活動で「こうしないといけない」と大人の価値観を押し付けるのは良くありません。
むしろ創作活動は自由であるべきです。
私はA君の「塗るのを楽しみたい」「自分が納得できるものを作りたい」という考えが、A君の態度からヒシヒシと伝わってきていたので、あえて注意をしませんでした。
塗るのを楽しむことの方が重要と捉え、他者の評価ではなく、自分が納得するものを作りたいという思いが強いなら、注意をしない方が良いです。
創作活動は上手さを追求するだけのものではない。
この一件は保育士を目指すCさんにとって、新しい価値観に触れる(学ぶ)機会になったことでしょう。
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