スーパーボール作りは子供に人気~問題に対処する方法を学ぼう~
家庭でできる実験が好きなひだち教室長の安藤です。
生徒のA君がドクターストーンという漫画にハマり、ドクターストーンに出てくる実験をしたいと言ってきました。
漫画を読んでみると、教室でも作れそうなものもあれば、そうでないものもあります。
実験をしたいという欲求が強いA君。
ひだち教室でやるからには、単に実験をするのを目標にするのは違います。
そこで、A君の実験欲求を満たしつつ、ライフスキルトレーニングも取り入れることにしました。
Contents
実験+ライフスキルトレーニングの意義
ライフスキルは、WHOで以下のように定義されています。
「日常生活で生じる様々な問題や欲求に対して、建設的かつ効率的に対処するために必要な能力」
この中で着目したいのは、問題に対して効率的に対処できる力をいかにして養うか。
発達障害のある子供は、家庭や学校など、あらゆる場面で問題にぶつかることが多いです。
注意欠如・多動性障害(ADHD)の子供は発想力があるので、対処法を閃くことがあります。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供は柔軟な対処法を閃きにくく、「これしか使ってはいけない!」というこだわりを持つことも少なくありません。
しかし、似たような問題に対して解決した経験があれば、こだわりが薄まることもあります。
問題に対処する力をつけるには、対処法を学び、実践して成功体験にする。これしかありません。
私は小学生のA君に対して、以下のようなことを学んでもらおうと思いました。
・代替品として使える物を知る
・どんな追加品があると実験が円滑に進むかを気づく
必要な実験器具をあえて揃えず、代用品となるものをいくつか用意。
また、どんな物があると便利かということを考えてもらうことにしました。
不自由な実験スタート!
スーパーボール作りに必要な材料。
・ペットボトル
・洗濯のり、塩
・スプーン(無し)、竹串(無し)
・塩、水
・計量カップ(無し)、デジタルスケール
・食紅(無し)
(無し)と書かれた材料には代用品がいくつか用意されています。
YouTubeでスーパーボールの作り方を確認しながら作っていくことにしました。
まず最初に、ペットボトルに100mlの水を入れます。
しかし、計量カップがありません。
ものさしを追加用品として要求してくれば、私はすぐ出すつもりでしたが、A君は違う行動をしました。
指を使ってペットボトルの長さを測り、おおよそで五等分したのです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人はキッチリしないと気が済まないとよく聞きますが、A君は大ざっぱなタイプなようです。
ペットボトルのフタが?!
コップに水を注ぎ、次は塩の投入です。
塩の重さを測るために、デジタルスケールを使用。
塩(40g)を皿の代用品であるコップに入れてから、水が入ったコップに少しずつ移します。
本来ならスプーンを使って少しずつ入れるのですが、スプーンはありません。
A君は指を使って入れ始めました。しかし、指だと時間がかかり過ぎます。
そこでスプーンの代用品がないかと尋ねると、「ない!」とA君は言い切りました。
私はヒントを与えてしばらく考えてもらうと、ペットボトルのフタが代用品になりえると気が付きました。
A君はフタで塩をすくうと、驚きと納得した様子。一気に作業が進みました。
かき混ぜにくいけど・・・
塩を溶かすために混ぜる必要があります。
スプーンがあれば便利ですがありません。
代用品として使えるのは、細い鉄串と割り箸。
A君はスプーンは一本だから一本の鉄串を選択。
私:「割り箸は違うん?」
A君:「割り箸は持つ時に使うもの」
と応えながら、かき混ぜにくそうに塩をかき混ぜていました。
しばらくして私は割り箸でも試すように勧めると、「え~?」といった感じでしぶしぶ使用。
案の定、A君はかき混ぜやすさに驚いていました。
まさかの本が役に立った瞬間!
食紅の代用品として、絵具、スティックタイプのお茶、ボンドがありましたが、A君は迷うことなく絵具を選択。
絵具を水に溶かしてから、洗濯のりを別のコップに入れる作業に入ります。
動画では、コップに1cmほど入れるという説明がありました。
「今度こそものさしを要求してくる!」
そう思っていた私でしたが、A君はおもむろにサバイバル本を書棚から取り出しました。
普段から時間があればサバイバル本を読んでいたA君。
その本の中の「長さを測る時にお金が使える」と書かれたページを思い出したのです。
一円の直径は2cm。A君は追加品として1円を私に要求し、1円を使って正確に測ることに成功しました。
こんなところでサバイバル本が役に立つとは、全くの予想外でした。
冷風と温風どちらが早く乾くかな?
洗濯のりと塩を一緒にかき混ぜると固まりだします。
その化学反応にA君は大興奮!
ある程度の大きさに固め、乾かします。
A君は乾かす手段として、扇風機を使用。
しかし、冷風なのでなかなか乾きません。
A君:「全然乾かへん」
とぼやきだしました。
私:「冷風と温風、どっちが早く乾くと思う?」
A君:「知らない」
私:「実は温風なんやで。温風が出る物って、この部屋にあるかな?」
A君はファンヒーターで乾かし始めました。
乾くのを待っている間に、A君は次回の実験を練り始めました。
またスーパーボールを作りたいとのこと。
そして、もっとたくさん、色とりどりのスーパーボールを作ると意気込んでいました。
今回A君が学んだことを再実践する機会になるので、私としてもありがたいです。
ひだち教室では、生徒の「やってみたい!」という気持ちを大切にしつつ、体験を通して様々なスキルを身に着けてもらいます。楽しみながらもスキルの必要性を実感できるようサポートしています。
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