指編みでプレゼント作り~初心者でも楽しめた理由とは?~

手先の器用さに自信のないひだち教室長の安藤です。

滋賀県にある地域若者サポートステーションに登録している女性が職場体験に来られました。

Qさんという女性は色々特技があり、その中の一つに編み物があります。

編み物は私には指導できないことなので、生徒達に編み物指導をお願いしました。

今回のワンランク上の工作は、指編みでアクリルたわし作りです。

編み物自体がそもそもレベルの高いもの。何かを付加する必要がありませんね。

ワンランク上の指編みをする意義

指編みは比較的女の子が好んでやります。

しかし、それをいつから経験するかは周りの環境次第。

早ければ小学校低学年にはやるそうです。

遊びの延長のようなものですが、人によっては決して簡単なものではありません。

・手先が不器用

・視機能に問題を抱えている

・集中力が続かない

手先が不器用だと、当然指の動きに苦労します。

視機能の中には、ゴチャゴチャしたものを見分ける能力、専門用語では『図と地』というものがあります。

『図と地』を苦手としている人は糸が絡むと見分けることができず、指編みをより難しくします。

集中力をかなり要するため、集中が続かない人は苦行です。

このように簡単ではありませんが、逆に考えるとトレーニングにもなります。

・巧緻性の向上

・視機能を鍛えられる

・集中力(見続ける力)がつく

・自尊心が高まる

達成感があるので、間違いなく自尊心が高まります。

個人的にはトレーニング効果よりも、この自尊心が高まることを期待しています。

毛糸を使ってアクリルたわし作りスタート!

用意する物。

・アクリル毛糸

・毛糸用とじ針

毛糸自体は珍しくないが、それを使って編むという経験は初めての生徒達(A君とBちゃん)。

まずは丸くなった毛糸から糸の先端を取り出すのですが、ここで問題が発生。

感覚的にどの糸を取り出すか分からなかった二人は、毛糸の中からゴソっと糸の束を取り出してしまいました。

ここを上手くしなければ後々面倒くさいことになります。

スタッフ達はどうするかアタフタしましたが、生徒達はそうでもない様子。

むしろ楽しんでいました。

A君の毛糸はごちゃごちゃになり過ぎたので、スタッフの協力のもと、毛糸を巻きなおすことに。

Bちゃんは奇跡的に収まりました。

私は「初めてやから仕方ない」「面白いやん」と言って、失敗体験にならないよう声かけをし続けました。

何とか落ち着き、指編みスタートです。

Qさんは真向かいに座って生徒達に指導をしていると、幼児のBちゃんには理解がしづらい様子。

指導者が左手に糸を巻き付けると、Bちゃんは右手に巻きつけようとするのです。

そこで、Qさんは二人の間に座って指導をすることに。

同じ視点でやり方を見ることが出来るので、生徒達は随分理解しやすくなりました。

とはいえ、指編みは最初が一番難しい。

糸を指にかける時は、一つ一つ確認しながらやりました。

混乱をし始めたA君は神妙な顔で、

A君:「ゲシュタルト崩壊する」

と言っていました。その言葉でいかに大変かが伺えます。

Bちゃんは混乱を通り越して、泣きそうになる一歩手前。

若干ふてくされていました。

それでもスタッフの励ましで、一段目を編むことに成功。

一段目を編めると、後はパターン化しやすいです。

二人共パターンに強いタイプなので、編み方を理解できればサクサクと編めるようになりました。

発達検査のWISC-Ⅳでパターン化に強いという結果が出ている二人ですが、強みが活きた瞬間ですね。

因みに私も前日に練習しましたが、パターン化された作業は集中力が持続しにくいタイプなので、非常にしんどかったです。

リズムに乗ってきたA君。

A君:「めっちゃ楽しい」「ハマった」

と、凄く楽し気に編んでいました。

最終的には160cm以上も編み、自分で自分を褒めていました。

Bちゃんはリズムにのると、物凄い集中力を発揮していました。

私が声をかけても反応せず、もくもくと編み続けました。

Bちゃんは120cmの長さまで編みました。

二人ともそんな長さまで編むとは思っていなかったので、本当に驚きました。

毛糸を円状にし、形を固定するために毛糸用とじ針を使います。

最初は何のためにとじ針を使用するのかを理解していなかった二人ですが、やっていく内に理解をし始めました。

こうして、1時間半かかってアクリルたわしが完成しました。

リボンのついた袋にアクリルたわしを入れました。

指編みをした日が母の日だったので、お母さんへのプレゼントです。

実用的で、しかも手作りなのでとても良いプレゼントだと思います。

モチベーションを上げるマル秘テクニック

今回指編みでアクリルたわし作りをするにあたって、実は私はかなり不安がありました。

・男の子で小学校高学年だから指編み自体を嫌がるのではないか?

・難易度が高めだからBちゃんは匙を投げるのではないか?

こんなネガティブなことばかり思っていました。

そこで、2つのテクニックを駆使してモチベーションを高めることにしました。

・科学的な要素を取り入れる

・分かりやすい達成感を与える

指編みをする前に、予め作っておいたアクリルたわしだけを使って、油でネチョネチョになった弁当箱を洗ってもらいました。

油が落ちてキュッキュとなるのを体感してもらった上で、その理由を説明。

するとA君は食いついてくれ、指編みへのモチベーションが高まる様子が見られました。

同じ作業をずっとやっていると、達成感を感じにくいものです。

しかし、指編みは努力の成果が見て分かるので、達成感を感じやすい。

さらに達成感を上乗せするために、私は製作途中のアクリルわたしをメジャーで長さを測り、具体的な数値を読み上げました。

A君もBちゃんも具体的な数値が分かると、より一層モチベーションが高まり、指編みに勤しみました。

単純に指編みをするのではなく、ちょっとした工夫をすることでモチベーションが高まります。

どんな子供にも使えるテクニックなので、ぜひお試しあれ。

アクリルたわし作りを体験した生徒達

生徒達は大満足のアクリルたわしが完成しました。

巨大なアクリルたわしに仕上がったA君。

A君:「蚊取り線香みたい」

と、嬉しそうな表情で、どこか誇らしげでもありました。

Bちゃんは母親に手作りプレゼントを渡すというのは人生初だったのでしょう。

もったいぶって、なかなか母親に渡そうとしません。

Bちゃん:「あとで渡すから~♪」

アクリルたわしを後ろに隠しながら軽やかに飛び跳ねる姿は、とても可愛かったです。

人に手作りプレゼントを贈る喜びというのを知ったようですね。

ひだち教室では、生徒の「やってみたい!」という気持ちを大切にしつつ、体験を通してスキルを身に着けてもらいます。その体験によって、人に手作り品を贈る喜びを知ったり、興味関心が広がるようサポートしています。

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