アスペルガー症候群の特徴

【ひだち教室の教室長が解説「アスペルガー症候群」第1回】

「アスペルガー症候群」という言葉はご存知ですか?

最近テレビでもアスペルガー症候群について取り上げられるようになりました。

言葉だけでも聞いたことがあるのではないでしょうか。

ひと昔前は、

・高機能自閉症

・アスペルガー症候群

・カナー型自閉症

・広汎性発達障害

上記のように区別されていました。

現在はこれらを発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害(ASD)に統一されています。

それをあえてアスペルガー症候群に焦点をしぼり、特徴と接し方をテーマごとに解説します。

5つのテーマを用意しています。

第1回 アスペルガー症候群の特徴

第2回 コミュニケーションの難しさ

第3回 対人関係の難しさ

第4回 こだわりと興味の狭さ

第5回 アスペルガー症候群の人との接し方

シリーズ1回目はアスペルガー症候群の特徴を大まかに解説。

それ以降はアスペルガー症候群の特徴や接し方をより具体的に。

そして、事例を踏まえながら解説します。

アスペルガー症候群解説の経緯

前述しましたが、自閉症スペクトラム障害(ASD)と統一されています。

あえてアスペルガー症候群に限定した記事を書くのは3つの理由があります。

1.発達障害に理解のない人にとっては「アスペルガー症候群」という言葉の方が馴染みがある。

2.アスペルガー症候群と診断がおりた人達はその他(高機能自閉症等)のタイプにはない特徴がある。

3.アスペルガー症候群の人に対する特有の接し方がある。

発達障害についての啓蒙的な意味合い。

自閉症スペクトラム障害(ASD)内には微妙な特徴の違いや接し方が存在します。

私はそれらを知って欲しいという思いがあります。

本来私は○○障害だからこの生徒の特徴は○○であると決めつけるのは好きではありません。

あくまで○○障害はその子の一部であり、その子自身の全てではないからです。

それでも、アスペルガー症候群の人は意外とこういう行動をとる人がいるなと思う部分はあります。

長年の経験からそのように思います。

全てのアスペルガー症候群の人に同じ特徴が当てはまるわけではありません。

同じ診断名でもこんなに違うかと思うほど千差万別です。

こういう人もいるんだというスタンスで読んで頂ければと思います。

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群は、

・コミュニケーションの難しさ

・対人関係の難しさ

・興味関心の狭さやこだわり

といった特徴があります。

一般的に言われている自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴でもあります。

しかし、中身をみていくと他のタイプ(高機能自閉症等)とは違うなと思う点はあります。

詳細については別記事でご覧ください。

3つの特徴以外の特徴を今回は書いていきます。

言葉の遅れがない

アスペルガー症候群は言葉による遅れはなく、むしろ言葉が豊かなケースが多いです。

難解な言葉(例:オセアニア大陸)を覚えている幼児もいました。

会話のキャッチボールは基本的に成立します。

成立しますが、適確な答えが返ってこないこともあります。

能力に凸凹がある

平均以上の能力を有しているものの、能力に凸凹がある人が多いです。

言語理解が高いが物事を処理するスピードが遅い人。

逆に物事を処理するスピードが早いが、言語理解がそれほど高くない人もいます。

どの能力が低い・高いかは人によります。

しかし、アスペルガー症候群の人は言語理解が平均~平均以上のケースが多い気がします。

余談ですが、FIQ(いわゆるIQ)が135以上(平均が100)という非常に高い数値の子供を数人見た事があります。

得意な科目と不得意な科目の差が大きい

得意な科目と不得意な科目の差が大きい子供をしばしば見かけます。

国語が得意で数学(算数)が苦手、数学(算数)が得意で国語が苦手といった感じで様々です。

不得意な科目を猛勉強するよりも、得意な科目で補完するという子供が多い。

そのため、不得意科目をもっと勉強して欲しいと願う保護者と子供の間に軋轢がよく生まれます。

誤解されやすい

厳密には特徴ではないですが、よく見聞きするので特徴として挙げます。

アスペルガー症候群は会話が成立するので、

「何も問題ないやん」

「誰でもそんな一面あるやん」

と思われやすい障害でもあります。

理解や支援を受けられないまま成長し、社会人になって心を病んでから発覚するというケースもよく聞きます。

保護者や周りの人達から理解や支援を受けられず、苦しんでいる人は多いです。

実際私が担当していた生徒の中にもいました。

「言葉だけで親が一番分かってくれない」

と嘆いていた生徒の言葉と表情は、今でも私の心に強く残っています。

第2回以降は、アスペルガー症候群の特徴や接し方をより具体的に、事例を踏まえながら解説をします。

>>>第2回 コミュニケーションの難しさ

※紹介しているエピソードは、全てのアスペルガー症候群の人に当てはまるわけではありません。一般的に言われていることを踏まえつつ、私が実際見聞きしたことをご紹介しています。「アスペルガー症候群の人にはこういう人もいるんだ」という気づきのきっかけになれば幸いです。

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