言葉が遅い原因とトレーニングの効果

語彙数よりも意味理解の方が大事だと思っているひだち教室長の安藤です。

親が我が子を「発達障害?」と疑いを持ち始めるキッカケとして、言葉の遅れが挙げられます。

以前の職場でも、幼児の子供をお持ちの親が教室に来るキッカケは、言葉の遅れによるもの。

発達障害のある子供を対象とした教室だったので、言葉の成長がゆっくりな子供は多かったです。

程度は様々で、喃語が出ている子供もいれば、「うにゃにゃ」と宇宙語を言う子供、全く言葉が出ない子供もいました。

11年間、そういった子供達に対してレッスンをし、言葉の改善も図りました。

幼稚園や保育園、その他習い事の相乗効果によるところが大きいですが、間違いなく改善のキッカケの一つになっていたと思います。

今回は言葉が遅れている子供に対して、私が行っているトレーニングや効果をお話したいと思います。

言葉が遅れる原因

一般的に、言葉が遅れる原因はいくつもあると言われています。

・聴覚に問題がある

・言葉の理解力に問題がある

・言葉の表出が遅れている

・発達障害など脳の機能に問題がある

難聴や聴覚障害がある場合は、言葉を習得するのに難しさが出てきます。

小さい頃から音に対する反応が悪いので、比較的早く発見されます。

しかし、難聴の一種である「オーディトリー・ニューロパチー(音自体は聞こえるが、言葉として聞き取ることができない)」のようなケースだと発見が遅れることもあります。

脳の処理の問題で、言葉の意味を理解できないと言葉が蓄積されていかないため、言葉の遅れが生じます。

処理問題で最近話題になっているのが、聴覚処理障害(APD)。

聴覚処理障害(APD)の症状に「聞こえているけど理解が追い付かない」というものがあります。

言葉の意味は理解しているものの、何らかの理由で言葉を発するのが遅れているだけということがあります。

このケースでは、3歳までは言葉が出なかったが、3歳になると突然喋りだしたという話しをよく聞きます。

発達障害の場合は「他者との関わりが上手くいかない「」落ち着いて他者の話を聞けない」などの特性があるために、上手く言葉を獲得できないこともあります。

ただ、発達障害のある全ての子供に言葉の遅れがあるわけではなく、アスペルガー症候群の子供は言葉の発達が早かったりします。

幼児への言葉の指導

指導する前にアセスメントをとります。

検査や親から情報を得ることは大切ですが、やはり子供自身を見ることが一番重要。

実際子供を見ていると、親からの情報の食い違いがある場合があります。

また、専門家ならではの視点で見ると、気になるポイントがいくつも出てきます。

状態確認

まずは子供の現在の状態を把握する必要があります。

そのために、子供と一緒に遊びながら観察します。

私は観察のポイントを以下のように設定していました。※幼児の場合です。

・伝えようという意思がみられるか

・言葉に反応しているか

・どの程度単語を言うか

・二語文は出ているか

・会話のキャッチボールはできるか

・何に興味を持っているか

・人(私)を見ているか

・動きの模倣をできるか

・意識して一つの物をジッと見れるか

特に重要なのが「伝えようという意思がみられるか」。

喃語でも宇宙語でも構いません、それがあるかないかで言葉の発達が随分変わってきます。

トレーニング開始!

言葉を発しない子供には、模倣トレーニングから始めます。

人の真似をするというのは、言葉を習得するにあたって非常に重要な要素だからです。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の程度が重い子供の中には、全く他人に関心を寄せない子供がいます。

そういう時は、指導者が子供の動作を真似るところからスタートします。

模倣をクリアし、喃語や宇宙語を言っている子供に対しては、見る・聞くトレーニングをします。

一例として、

・1分間ノートに書き続ける

・1分間点と点を線を引いて結ぶ(点結び)

・指導者が行った数字を言う(数唱)

特に最初は見続けることを徹底します。

指示されたものを見続けられるようになると、聞き続けることにも繋がるからです。

見ると聞くは一見別物のように思われますが、実は言葉の成長の過程でリンクしています。

最初は慣れないことをやらされるので、とても乱れます。

離席、物を投げる、机に落書きなどはよくありますが、毅然とした態度で、根気強く取り組むと変化が起きます。

その変化が見える時期は子どもによって様々。

経験上、遅くても1年以内に変化が見られます。早くて1ヶ月というのもありましたが稀です。

子供の変化(効果)

トレーニングをしていくと、子供は徐々にできることが増えていきます。

人によって微妙に違いますが、下記のような流れで出来ることが増えていきます。

①落ち着いて課題に取り組む姿を見られるようになる

②意識して指示された物を見続けられるようになる

③指導者が言った3つの単語を復唱できるようになる

④口頭による問題を正確に答えられるようになる

⑤指導者に色々話しかけてくるようになる

第3段階までいくと、園生活にも目に見えて変化がでてきます。

「園で落ち着いて座れるようになった」「集団行動ができるようになった」といったお話を、親を通して聞こえてきます。

他の先生から聞いた事ですが、3単語を復唱できるとできないとでは、集団行動の出来具合が全然違うそうです。

第4段階となると、言葉による意思表示がもっとはっきりしてきます。

「イヤ」程度ではなく、「○○したくない」「○○してください」等のレベルです。

「○○やから、○○したくないねん」と理由をつけて気持ちを伝えてきた子供もいて、とても驚いたものです。

そこからどう伸びていくかは、子供が持っている能力や人・環境次第だと私は考えています。

どういう人に巡り合えるかは運の要素がありますが、環境を見つけることはできます。

ぜひ、子供に合った環境を見つけてあげてください。

どういう環境が良いか分からない、迷いがある時は、一度当教室にお越しください。

子供の様子やお話を踏まえて、アドバイスをさせて頂きます。

追加情報

第4段階の「口頭による問題を正確に答えらえるようになる」は、どの程度答えられたら良しとするのか、判断が難しいという質問があったので、お答えします。

質問自体は短くて構いません。

指導者は「白い花が咲きました」と文章を読み上げ、すぐに「何色の花が咲いたかな?」と質問します。

答えは「白色」。

言葉の遅れがある子供は、この「白色」とピンポイントで答えられるようになるまでに時間がかかることが多い。

よくある回答が「白い花が咲きました」or「白い花」。

「白い花」でも良いのでは?と思うかもしれませんが、間違いです。

何色と聞いているのだから、色の名前だけを答えなければいけません。

経験上ですが、質問に対してピンポイントで答えられるか否かで、言葉のキャッチボールにも違いがでます。

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