子供の反抗期と発達障害

多くの人に反抗期があります。反抗期で今までの親子関係が崩れ、親は悩みますが、子供の成長に必要な時期でもあります。

当然、発達障害のある子供にも反抗期はありますが、単純に反抗期だから一時的なものと考え、放ったらかしにされたという話もよく聞きます。

その結果、心を病んだり、暴力行為を及ぼすといった二次障害を発症するなんてこともあります。

反抗期故の反発と障害の特性からくる反発、その両方による反発がありますが、その見極めは難しいです。

今回は、反抗期と発達障害についてお話したいと思います。

反抗期は成長に必要

反抗期は一般的に「子供が人の意見や指示に反抗することが増える時期」を意味しており、2回あります。

自我意識が芽生える2~3歳の第一次反抗期、青年期初期に自我感情が強く意識され、それが反抗として現れる場合を第二次反抗期と言われています。

幼児の反抗期

2~3歳の第一次反抗期はいわゆるイヤイヤ期というもので、保育所勤めの時もよく見かけました。

何かをやってあげようとすると「イヤ」と拒否する態度を示すので、大変な時期でもあります。しかし、その時期が一番子供の成長を感じられて楽しいです。

前職で私は、発達障害のある3歳の子供を担当する事が多かったので、必然的に言動や行動を観察する機会も多かったです。

観察していくと、個人差はありますが、「イヤ」の言動や行動が健常の子供と比べて激しいです。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の子供はこだわりが強くなり始める時期でもあるので、こだわりからの「イヤ」というのもあります。

反抗期故なのか、それともこだわりからなのか、それを見極めるには子供の行動パターンを分析すれば見えてきますが、一番分かりやすいのは泣いて反抗する時の長さで、こだわりの場合は長いです。

大人の対応の仕方で子供の成長度合いが変わります。

子供自身がチャレンジをしたいという意味合いが含まれた拒否反応なら一度やらせてみるのが理想ですが、反抗にイラついて叱りつけて抑えこむ保護者、根負けして子供の言いなりになってしまう保護者もいます。

両方とも良いとは言い難いですが、後者の方はイヤイヤ期が長く続きます。年長になってもイヤイヤ期?と思うような子供も見かけました。

そのような子供を持つ保護者がよくする行動は、歩くのが嫌で泣くからという理由で、抱っこする機会が多いです。

それは楽ですが、欲求阻止耐力を子供に上手くつけられないので、子供との関係づくりでその後も随分悩まれていました。

幼児期に反抗期がなくて楽でしたというお話も聞きますが、そういう話を聞くと、手放しで良かったねとは言えない部分があります。

発達障害の子供の中には、周りを認識する力が弱い事があり、上手く認識できないために反抗期がなかったという事も考えられるからです。

小学生の中間反抗期

個人差はあるものの、第二次反抗期は12歳前後から始まります。

しかし、小学2、3年の頃にも反抗的な態度が表れやすく、これは中間反抗期と呼ばれています。

保護者に口答えが多くなるのが特徴ですが、成長の表れと言えるので、異常というわけではありません。

それよりも危惧すべきは、小学2、3年頃というのは、発達障害のある子供は色々な問題が浮かび上がる時期です。

LDの子供なら勉強についていけなくて凹む、ADHDの子供はクラスメイトとのトラブルが増加して怒られる、ASDの子供は空気が読めない等の理由で嫌われだす。このような様々なトラブルが起き、心理的な部分に大きく影響を及ぼします。

子供はイライラがつのり、それを発散するために一番身近な母親に当たります。口答えは勿論のこと、暴言もあります。

それは一見中間反抗期の特徴に似ているので誤解されやすいですが、原因を見ると違います。

中間反抗期と判断して、放っておく又は誤った対応をすると、大きくなった時にもっと酷い状態になります。

実際、私はそういう生徒を担当していましたが、非常に難しい状態でした。判断を間違えず、早期に相談に来ていればと保護者は悔やんでおられました。

悔やむのは仕方ありませんが、これからどう関わっていくのか、それが肝心です。

思春期の中学生期

中学生は第二次反抗期が始まる時期です。

親から自立したい、もう大人だという思いが強くなる時期で、親の言う事一つ一つに反論したり、親を突き放すような発言もします。親に対して秘密を持つようになり、親から距離を置くようになるのも特徴です。

また、親や大人の一方的なルール等にも疑問を抱くようになり、反抗的な態度をとることもあります。

発達障害のある子供も例外ではありませんが、特性によって少し事情が違います。

ADHDの子供は自分と周りの状況を認識する力があり、突発的に行動してしまう特性もあるので、気に入らないルール等があると、反抗的な態度が強く出ることがあります。

実害があるので悩まれるのは当然ですが、全てがマイナスというわけではありません。違う見方をすると、反抗的な態度が強い自立心へと繋がる可能性があると言えます。

ASDの子供も反抗的態度はとりますが、親から自立をしたい、大人ぶりたいという思いではなく、自分の周りの状況や社会のシステムといった事に対する反発という印象があります。ただ、私が今まで見てきたASDの子供は、単純に嫌なものは嫌という反発が多かったです。

言葉よりも一貫した態度が重要

反抗期は口答えが多くなるのに、言葉でなんとかしようという方は意外と多いです。しかし、必ずといって良いほど失敗します。

言葉ではなく、態度で示す方が効果的です。

反抗期だから、それに合った態度をとろうと心掛ける親がいますが、反抗期前も反抗期が終わっても続けて欲しいことがあります。

それは「少し距離を置いて見守る」「子供の意見を聞く姿勢を常に持つ」です。

反抗期に入ったからといって、突然この2つを実行するというのは難しく、慣れるのに時間を要します。常日頃から心掛けて実行していると、対応もしやすく自然体で振る舞うことができ、子供にも安心感を与えます。これにより、反抗期間中の反抗の程度がずいぶん違います。

私は生徒と関わる時は、幼児だろうと中学生だろうと、これら態度を一貫して実行しています。

それを聞いて参考にされたご家族(当時はASDのある5歳の子供)が以前おられたのですが、第一次反抗期はイライラして苦労したけど、第二次反抗期はそれほどイライラせず、想定してたよりも気が楽だったと仰っていました。普段から心掛けていた態度が功を奏したようです。

態度で示すのは簡単なようで難しいですが、慣れると楽です。ぜひ早い内から実行してください。

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