ソーシャルスキルを意識したケーキ作り

よくお世話になっているビストロチッチに隣接するスマイルアイランドにて、ケーキ作り体験をしました。

勿論、単純にケーキ作りをするつもりはありません。ソーシャルスキルトレーニングを絡めながらの体験です。

>>>ビストロチッチの記事

>>>スマイルアイランドの記事

ケーキ作り体験活動の工程

ソーシャルスキルを絡めるとなると、ケーキ作りの前準備が大事になってきます。

これまでのレッスンや体験活動等から得た情報から、各自どういう目標を持ってケーキ作り体験をしてもらうかを考えます。

その上で、私ができること、店のスタッフが出来ることを考え、店との事前打ち合わせで提案させて頂きました。

打合せ段階ではスポンジケーキは一つの予定だったのですが、その後子供が一人増え、急きょスポンジケーキを二つ用意してもらいました。

その他にも急な変更点がありましたが、無事体験当日となりました。

各自の目標を設定

全員が教室に集合してから、買い物時のグループ分け、ケーキ作り時のグループ分けをしました。

普段なら話し合わせてグループ分けをするのですが、これまでの生徒達の様子や情報から、私が決めました。

というのも、ソーシャルスキルに関する目標が各自で違い、組み合わせによってはトレーニングにならないと判断したからです。

それぞれの役割、意識すべき事柄をホワイトボードに書いて意識向上を図ります。

「難しいと思った時は手伝ってと言う」「自分の意見ばかり言わず、他人の意見を聞いた上で折衷案を考える」「次やることを予測して指示を出す」「暴言を吐かない」「余計な一言に気を付ける」といったことを、名指しで説明しました。

説明を終え、生徒達は店へ向かうために玄関で靴を履いていると、BさんはA君に対して余計な一言を言い放ったらしく、もめそうになりました。

言われたA君は「余計な一言を言ってきた!」と私に言ってきたので、余計な一言を言ったBさんにやんわりと注意。

すると、A君は私が味方についてくれたと思ったようで、Bさんに対して「余計な一言返し」をしたので、それもケンカの素になるので注意しました。

それ以降、お互い余計な一言を言わなくなり、ケンカは起こりませんでした。

お買い物はソーシャルスキルトレーニングにうってつけ

教室から徒歩7分ほどで、スマイルアイランドに到着。

初めて入店する生徒達は、珍しい内装にウキウキした表情をしていました。

店にはスタッフのお子さん(5歳)がいて、小さい子供が好きなCさんは「かわいい~」と喜んでいました。

上の画像は、お子さんが持っている仮面ライダーの本をみんなで見ているところ。

2歳のお子さんは熟睡中。

スタッフから材料を聞いてメモをします。今回はあえてメモを聞く役割と決断をする役割の人を分けました。

Cさんは決断するのが苦手ということが最近分かったためです。

A君は引き続きメモをとる役割。一銭焼き作りの時にもメモをとってもらいましたが、他人が見た時に分からないほどメチャクチャな書き方をしていたので、メモの書き方を指導した上で、今回も書いてもらいました。

>>>一銭焼きとアイス作り体験の記事

メモの取り方のコツは箇条書きです。そして、罫線が引いてあると文章が乱れにくくなるので、出来れば罫線があるメモが良いです。

その効果もあって、他人が読んでも結構読めます。

一か所だけ、読みずらいところがありますが、これはチョコレートとホワイトチョコレートを一緒くたに書いてしまったから、分かりづらくなりました。

別々の項目として書いていたら、もっと読みやすくなったと思います。

それをもとに、Cさんがどのグループが何を買うか決め、グループごとのメモを作成。

上手い字ですね。

つい最近、大津駅のすぐ横にフレンドマートが新しくできたので、そこで買い物をすることに。

A君とDちゃんはグループとして行動。

A君はDちゃんを気遣う様子が頻繁にみられ、良い傾向だと思って見ていたら、A君が「小さい子供に優しくしてるやろ」と得意げ(自慢げ?)な表情で私に言ってきました。Dちゃんと関わる中で、A君は小さい子供と関わる姿勢を学だようです。

スティックシュガーがなかなか見つからず、A君は「この店にはない」と判断した時、Dちゃんは「店の人に聞いたら良いやん」と言いました。

その判断は非常に素晴らしいです。自分ではどうしようもない時は店の人に聞く。

この考えは当たり前と思う人は多いと思いますが、長年発達障害の子供達と関わっていると、促されない限り他人に聞くという選択肢が思い浮かばない子供もいます。

自ら判断する時に、他人に助けてもらうという選択肢がパッと思い浮かび、実行する行動力がないと、大人になった時に危険です。

しんどいのに助けを求めることが出来ない状態が続くと、心が爆発してしまう危険性があるからです。

自分の力で頑張るという事も大切ですが、他人に助けてもらうという意識と選択肢は、出来るだけ早く身に着けて欲しいと私は思っています。

その点、Dちゃんは身に着けているなと思います。その代わり、自分の力で頑張るという意識が低いので、Dちゃんには諦めず最後まで頑張るという姿勢を身に着けてもらおうと思っています。

ケーキ作りは慌ただしく

ケーキを作る前に、チョコレートを作ってもらいました。

温まった小さなカップにチョコレート板を入れ、溶かしていきます。

そしてアルミカップに入れ、冷凍庫に入れて固まるのを待ちます。その間にケーキ作りです。

店のスタッフが用意してくれたスポンジケーキを半分に切る作業からスタートです。

切り方の説明を受けてから切ってもらうのですが、意外と難しく、生徒達は苦戦していました。

Dちゃんには私がサポートして切りましたが、Dちゃんは切り急いでしまうので、それを制するのに一苦労でした。

次はイチゴを切ります。ヘタを取り除き、白い部分を切り、イチゴを薄くスライスします。

もとが小さいので薄く切るのは難しいですが、生徒達は無事切り終えました。

スポンジケーキにクリームを塗り、イチゴをのせ、クリームを塗り、スポンジケーキをのせ、またクリームといった工程を踏んでいきます。

クリームを塗る時に、回転する台座を回しながら塗るのですが、非常に高度なテクニックがいります。

回しながらパレットナイフを平行に保つというのは見た目以上に難しく、クリームを均等に塗るのに苦戦していました。

分担作業にすればもっとスムーズに出来るのですが、一人でやろうという意識が全員強すぎたので、私から分担作業を提案しました。

そういう発想がなかったようで、皆「なるほど」といった表情をしていました。

側面にクリームを塗るとなると、もっとクリームを柔らかくする必要があります。

そこで、ミキサーなどを使って柔らかくする作業をしました。

ミキサーを使い慣れていないのもあって、皆必死です。

そんな必死な作業をしている時というのは不思議なもので、こちらが促さなくても子供同士で協力プレイをします。

Dちゃんがミキサーを使っている時は、自然と皆でフォローをしていました。

このような協力プレイが成り立つ活動をもっと増やしていきたいですね。

過程を見ていたら、ちゃんとしたケーキになるか不安がありましたが、出来上がるととても美味しそうなケーキになりました。

Cさんは「店で売られているようなケーキみたい!」と大絶賛していました。

A君とBさんが作ったケーキも美味しそうです。

家でもケーキ作りをすると、親はさぞ喜ぶことでしょう。

これで終わり方と思いきや、まだ続きます。

最初に作ったチョコレートが固まったので、その上にホワイトチョコレートで名前等を書きます。

薄い紙(?)を使ってチョコペンを作ることになったのですが、これがまた難しいのなんの。

器用なBちゃんも苦戦するほどだから、難易度の高さが伺えます。

Dちゃんはあまりにも難しくて、クシャクシャっとして、怒りを露にしていました。

チョコペンで書くのも難しく、謎の幾何学模様になった生徒もいました。

もしまたケーキ作りをする時は、もっとやりやすいように工夫を考えたいと思います。

作り終えた時は夜遅くなっていたので、ケーキをその場で食べることなく、お持ち帰りになりました。

思ったよりも大変な活動でしたが、子供達の色んな姿が見えた活動でした。

また何かを作る体験活動をしてみたいなと思います。

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