英語で料理前編~閃きは突然に~
高校時代は英語が得意だったひだち教室長の安藤です。
生徒同士がどう仲良くなり、社会性を養うか。
それは特別支援教育の永遠のテーマだと思います。
昨年、キンプリの番組を見ていて、これは使える!
と思ったコーナーがありました。
『日本語禁止クッキング』
英語で料理をするというものです。
テレビのままでは難しい。
これをどう工夫して、生徒達がやりやすいように改良するか。
長い間温めた上で、実践しました。
Contents
英語で料理をする意義
・推測する力を養える
・自然と話し合いの機会が発生する
・社会性が養われる
・共感性が養われる
・人の名前を憶える機会になる
・「ま、いいか」精神が育まれる
話し合いをし、折り合いをつけなければ、課題は進みません。
生徒達は美味しい料理を作ることが成功と思っています。
私は違います。
自然と話し合いが発生し、お互いを助け合い、様々な感情を共感する。
それが成功と位置付けています。
また、中学生のA君は人の名前を覚えるのが苦手。
A君が他の生徒の名前を覚えることも目標の一つです。
英語で料理のルール
食材名も料理の工程も、全て私が英語で伝えます。
それらを聞いて、生徒達は2品作ります。
合計で4品作りますが、残り2品は生徒によるお任せ料理です。
私は英語を喋れません。
つたない英語を駆使して生徒達に伝えます。
流れとしては、下記の通り。
・私が食材名や調味料を英語で伝える
・どんな食材かを推測する
・メモをとる
・買い物に行く
・役割分担をする
・料理を開始する
・食べる
・正解発表
・次の料理にとりかかる
1品ずつに分けたのは、共感する場面を増やすため。
そして、協力プレイを増やすためです。
難解な英語に戸惑う生徒達
さて、ここで問題です。
・スライスポーク
・スウィートソース
・チャイニーズorコーリアソース
・パーフェクトロングベジタブル
これらを聞いて、どんな食材と調味料をイメージされましたか?
生徒達はメッチャ戸惑っていました(笑)
それもそのはず。
正しい名称を私は知らないのだから。
狙い通り、生徒達は話し合いを始めました。
無理やりではなく、必然性のある話し合いというのは良いですね。
家にある物は?
英語を聞いた生徒達は、自発的に私の奥さんに質問をしました。
どんな調味料があるかなどです。
良い感じです。
頭を悩ませつつ、イキイキとしているのが分かります。
チャイニーズorコーリアソースはなんとなく検討がついたもよう。
しかし、スウィートソースは全く見当がつかない。
F君:「砂糖?」
E君:「それはないやろう」
A君:「オリーブ?じゃないような~」
結局分からないまま、買い物に出発しました。
購入する物は、4品分の食材と調味料です。
閃きは突然に
閃きというのは突然やってきます。
調味料の棚を見ながら、スウィートソースを探す生徒達。
お互いの推測を言い合っていると、A君がボソっと呟きました。
A君:「みりん?でも、あれって甘いと言うんかな・・・」
その瞬間、私はゾクゾクっとしました。
答えを導き出す瞬間を目の当たりにするなんて、経験がないからです。
何故、正解に辿り着いたのか?
A君は自宅で、定期的に料理をする機会があるからです。
知識と経験が合わさった時の強みというのが分かりますね。
作り方は意外とイメージしやすかった
作り方を英語で伝えます。
それを聞いて、メモをとるE君。
一品目の作り方は難易度的には低い。
少し料理経験があればイメージしやすいもの。
まずは成功体験を積む必要があるので、低難易度のものを選択しました。
役割分担で料理開始!
スムーズに、素早く進めるためには、役割分担をしようということになりました。
話し合いの結果、
E君は野菜を切る&調味料を用意する係。
A君とF君は肉と野菜を炒める係。
A君がメインで焼いていましたが、A君に任せきりというのはなかったです。
どういう手順で焼くか、焼き加減はどうか。
3人で話し合いながら料理が進みました。
出来上がりの料理です。
美味しそうですね。
というより、美味しかったです!
「それでも良いんじゃね」思えることが大事
一品目を食べてから、料理名と食材などの正解を伝えました。
一品目の料理名は、牛肉とタマネギのケチャップソテー。
生徒達は「なるほどね」といった感想をもらしました。
続いて、生徒達の頭を悩ました食材や調味料の正解を発表。
生徒達が悩んだ末購入したのは、
・スライスポーク→豚バラ
・スウィートソース→みりん
・チャイニーズorコーリアソース→コチュジャン
・パーフェクトロングベジタブル→大根
正解は、
・スライスポーク→豚バラ薄きり肉
・スウィートソース→みりん
・チャイニーズorコーリアソース→豆板醤
・パーフェクトロングベジタブル→万能ねぎ
みりんを当てたA君は、思わずガッツポーズをしました。
大きな間違いとしては、大根を買ってしまったところ。
ところが、生徒達が言い放ったのは、ポジティブ発言でした。
「大根でも良いんじゃね?」
「それはそれで美味しいと思う」
間違いをしても、それをポジティブに捉えられるのは素晴らしいこと。
このような経験と思考が結びついていくと、自己肯定感が高まっていきます。
続きは後半でお話しします。
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