真夜中の大台ケ原トレッキング~価値観が変わる奇跡の絶景とは~

自然大好きのひだち教室長の安藤です。

9月は活動が目白押しです。その一つが大台ケ原トレッキング。

私自身は昨年に他の生徒を連れて来ましたが、今回一緒に行動した生徒J君(社会人)は大台ケ原初体験。

私はこれまでの経験から大台ケ原には2つの効果があると思っています。

・心が癒される

・価値観が変わる

社会人であるJ君は今の自分を変えたいという強い思いがあり、価値観が変わるということに可能性を見いだしたようです。

そこで私に大台ケ原に行きたいと希望してきたので、行く事になりました。

大台ケ原の日の出を目指して

大台ケ原は昼間に行っても十分綺麗な景色を楽しめますが、実は日の出の時間帯がお勧めです。

私は15年前に一度だけ日の出を見に行ったことがあります。

その時見た光景が私の価値観を大きく変えただけでなく、私の人生観までも変えました。

果たしてJ君もそうなるか。私は期待を抱きながらJ君と合流しました。

J君と合流したのは21時。そこから3時間かけて向かいます。

夜なので当然ですが、とにかく暗い。

山に入れば霧が発生し、上るにつれて道路に転がる落石や木々の残骸が増えました。

車内に緊張が走りましたが、非日常なので私もJ君もどこか楽しかったです。

途中で鹿に遭遇。一度や二度ではなく、何度も遭遇しました。

その度にJ君は「あ!そこに鹿いますよ!!」と興奮していました。

あまり感情の起伏がないJ君にとっては凄い変化です。

大台ケ原の駐車場に着くと私達以外いません。

風は吹いていましたが静寂が辺りを包み、少し怖かったです。

夜は非常に冷えるとは知っていましたが、9月初旬だというのに体感温度は一桁。

物凄く寒くて逆に私はテンション上がりました。

約3時間ほど仮眠をとって出発する予定。

駐車場にテントをはったり車のエンジンをかけることは禁止なので、エンジンをとめて車内で寝ました。

暗闇を突き進む恐怖

午前4時前に起床して横を見ると、既にJ君は起きていました。

私:「まさかずっと起きてた?」

J君:「はい、一睡もできませんでした」

目をしょぼしょぼさせながら、ボソリと応えました。

朝食を食べてストレッチをし、用を足してからいざ出発!

懐中電灯の光を頼りに山の中を歩きました。

山の中の暗闇は異質で、何が出てくるか分かりません。

そんな状況がJ君に気づきを与えたようで、

J君:「普段の生活では気が付かないけど、こういう状況になると普段の光のありがたさが分かりますね」

私はそれを聞いて内心「おっ!」となりました。

当たり前なことに感謝ができるというのは価値観がくすぐられ始めた証拠です。

暗闇を進むこと25分。展望台のある日出ヶ岳に着きました。

途中から雨に降られながらの登山だったので、私達はだいぶ体力を削られていて疲弊していました。

展望台に上がり、空を見上げると雲がワサワサとあるだけで太陽の「た」の字もありませんでした。

降水確率が70%だったから仕方がないです。

ガッカリするJ君。

すると5分後、奇跡が起きました。

もっている男が起こした(?)奇跡の光景

私達の頭上には雨雲がありましたが、遠くの方の雲がサア~と流れ出したのです。

うっすらと空が白み始め、周辺が見え始めました。

J君:「雲と山が一体化している」

J君は初めてみる光景を目にして、感動をそう表現しました。

日出ヶ岳も綺麗ですが、正木峠ではもっと素晴らしい景色を見ることができました。

日出ヶ岳から20分ほど歩いて正木峠に到着。

正木峠の眼下には、見事なまでの雲海が広がっていました。

私:「完璧な雲海やな」

J君「雲海?」

私:「雲が海のように広がっているやろ、これが雲海と言うねん」

J君:「へ~、これが雲海と言うんですね。綺麗ですね~」

雲海という言葉を知らなかったJ君は、雲海という言葉をかみしめながら写真を撮りまくりました。

これほどの景色を見られるのは奇跡としか言いようがなく、

私:「J君はもっている男やな!」

J君:「ははは、普段もっていないけど、こういう時に発揮されるんですね」

まんざらでもない様子でした。

J君は自然に全く興味がないはずなのに、全身が高揚しているのが分かりました。

J君の価値観が少し変わった瞬間です。

もっと変わるには色々な自然に触れることが大切ですが、J君の人生の中に『自然』という要素が入ってきたのは間違いないでしょう。

連れてきたかいがありました。

何かが変わった生徒

次の景観スポットは大蛇嵓(だいじゃぐら)。

その道中、2年前の台風で根っこから倒れた木々をたくさん見かけました。

私達は台風の凄まじさに驚愕しながらも歩き続けました。

大蛇嵓は大台ケ原で一番の景観スポットです。

普段なら登山客でごった返しているのですが、この時間帯は私達だけなのでゆっくり眺めることができます。

私もJ君も高い所が大の苦手です。

ところが、J君は先端近くまで歩を進めました。

あれほど高い所は苦手だと言っていたのに・・・。

私はJ君が戻ってくると怖くなかったのかと訊くと、

J君:「テンション上がっているからか、怖くなかったです」

それはJ君自身も驚きだったようで、新しい自分を発見したかもしれません。

4時間のトレッキングの末、無事駐車場に到着。

トイレをずっと我慢していたJ君は足早にトイレに直行しました。

私は軽い熱中症になり、グロッキー状態に。

というのも、向上心の強いJ君のためにあえて辛くて険しいコースを選択したからです。

そのコースというのが、大蛇嵓→シオカラ谷→駐車場というコース。

体力に自信のない方は絶対に選択しない方が良いでしょう。

帰りの車内ではJ君は爆睡。

寝ていない状態で、よく4時間も歩ききったなと感心しました。

ひだち教室では、生徒の「やってみたい!」という気持ちを大切にし、一般的には「それは大変だな~」「面倒くさい」と思われがちなことも率先して行っています。J君のように今の自分に満足せず、自分を変えたいという生徒にも出来る限り対応しています。

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