発達障害と柔道~お勧めする理由とは?~
柔道を習っていたひだち教室長の安藤です。
保護者から習い事は何が良いかという質問をよくされます。
そんな時、私は数ある習い事の中で「柔道」と答えます。
勿論、それには理由があります。
今回は発達障害と柔道の親和性について書きたいと思います。
発達障害のある人に柔道を勧める理由
発達障害のある子供は学校などでターゲットにされやすい。
長年、障害のある子供達に関わっているとよく見聞きします。
実際、私が担当していた生徒がイジメにあったことがあります。
イジメなどにあったら、親や先生に相談して解決してもらうのがベスト。
しかし、最終的には自分で自分の身を守らざるをえない状況もあります。
だから私は格闘技を習うことを勧めます。
空手、中国拳法、ボクシングといった色々な格闘技はあります。
どの格闘技でも良いとは思います。
それでも私は柔道を勧めたい。
その理由は以下のようなもの。
・平和的(?)に相手に勝てる
・自己肯定感が高まる
・ケガを減らせる
柔道は相手に身体的ダメージよりも、心理的ダメージの方が強い。
投げられたことのない人は、経験のない恐怖を感じて一気に心が折れます。
大きな問題にならずに、イジメを防ぐ・終わらせることに繋がったりします。
※身体的ダメージを与えることもできますが、相手にダメージを負わせないように指導を受けます
学校の授業で柔道が取り入られています。
柔道を始めて1年しかやっていなくても、経験者と素人とでは実力は雲泥の差です。
圧倒的な力の差を見せつけて勝てるので、クラスメイトから尊敬の眼差しを受けます。
これは私自身経験しているので間違いない。
他者(クラスメイト)に認められることで、自己肯定感が高まります。
また、抑止力にもなります。
発達障害のある人の中には、極端に運動が苦手な人もいます。
外で遊んでいて、上手く受け身をとれないために、生傷が絶えなかったりします。
柔道の受け身を習得していると、ケガを減らせたりします。
自転車で豪快に転倒した時に、受け身をとれたためにケガをしなかった生徒もいました。
柔道が向いている理由
①一対一だから自己責任だけで済む
発達障害のある人は、集団競技が苦手なことが多いです(得意な人もいます)。
・色々な情報を同時に処理することが苦手
・味方の動きに合わせるのが苦手
・味方に迷惑をかけた時の心苦しさ
特に3つ目は、自己肯定感が低い人ほど強く感じます。
柔道の場合は、基本的に味方に迷惑かからないので、気が楽です。
②色々な動きに敏感に察知する
ADHD(注意欠如・多動性障害)の人は色々な所にアンテナをはれます。
学校の授業では注意散漫の要因になりますが、柔道では武器になります。
相手の僅かな動きを察知して、先手を打ったり、守りに入ることができます。
③シングルフォーカスが通用する
ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性として、シングルフォーカスというのがあります。
簡単に説明すると、全体像ではなく一部分しか見れてない状態。
柔道では相手の動きを把握する力が求められますが、相手の足の動きだけで対処可能です。
ASD(自閉症スペクトラム障害)向けの技を考察
ASD(自閉症スペクトラム障害)の人は向き不向きな技がはっきりしています。
それが下記の特性があるから。
・同時作業が苦手
・シングルフォーカス
・感覚鈍麻
背負い投げや内股といった技は、手と足の動きが違い、しかも同時に行わなければいけない。
特に背負い投げは、相手の動きを肌で敏感に察知できた方が良い。
これらが影響のない技をいくつか考えてみました。
①巴投げ
自分が倒れながら、相手の腹部に足をあてて、突き上げる。
同時作業ではなく、連続性なのでかけやすいです。
②ツバメ返し
シングルフォーカスが強い人ほど向いている技。
相手が足払いをしてきたら、避けて足払いをやり返すだけ。
上半身で崩す動作がそれほど必要ないので、同時作業が少なくて済みます。
③跳ね巻き込み ※帯をギュッとね参照
「帯をギュッとね」という柔道漫画で知った技。
漫画に出てきた跳ね巻き込みは、本来の形とは違います。
とても使いやすく、タイミングを図りにくい人向け。
多少強引でもかかりますよ。
詳細は「帯をギュっとね」の第7巻を見てみてください。
ADHD(注意欠如・多動性障害)向けの技
ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性によって向き不向きな技はあるのだろうか?
・衝動性/多動性 ←動き回る原動力
・色々なところに注意が向く ←相手の動きに反応しやすい
・集中の持続時間が短い ←1試合5分なので影響は出にくい
・手先が不器用 ←あまり関係ない
上記の特性はあるが、強みになるケースしか考えられないです。
ただ、性格的に大ざっぱな事が多いので、大技が向いているでしょう。
①背負い投げ
柔道の代名詞と言える技。
タイミング(色々なところに注意が向く)と思い切り(衝動性)が必要。
②払い腰
決まると破壊力抜群。
タイミングをとるのは苦手でも、思い切り(衝動性)だけで何とかなることもある。
③跳ね巻き込み ※帯をギュッとね参照
不器用な人ほどお勧めしたい。
大外刈りは上半身の引き付けが大事。
しかし、帯をギュッとねの変則の跳ね巻き込みは体重を相手の腕に乗せるだけで良い。
このように、発達障害のある子供に柔道を勧めていますが、一つ注意点があります。
私はこれまで多くの生徒に柔道を勧め、皆楽しんでやっています。
しかし、中学になって辞めた人もいます。
学校のクラブとなると、先輩後輩問題(人間関係)が発生するからです。
柔道とは関係のない部分でイヤになることがあります。
発達障害のある人はコミュニケーションに苦手さを抱えているので、難しい問題です。
そこで私がお勧めするのは、警察署。
クラブ特有の先輩後輩の関係というのは薄いです。
また、月謝が安いというのは大きなメリットだと思います。
全国一位を目指すのではなく、末永く楽しんで続けられること。
柔道を続けられる環境を、保護者は整えてあげて欲しいですね。
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