幼児とパズルの効果
発達障害の子供、特に幼児に対して指導をするにあたって、パズルを用いることがあります。
ただし、使用目的は様々で、主訴に応じて目的が変わってきます。
今回は、パズルの効果、パズルと発達障害のある子供への指導方法についてお話ししたいと思います。
パズルの効果
パズルの効果、有用性については、昔から言われています。
一般的に言われているのは、創造力を高める、集中力を養う、記憶力を養う、まとめ上げる能力を育む、論理的な思考が身に着く、手先が器用になる。
説得力もあり、そういう効果があるのだろうと思います。
私が幼児に対して指導していくと、その他にも効果があると思うことがありました。
全体を把握する力を養える、ヒントの捉え方に気が付く、成功体験となって自信がつく、褒められる機会を得やすいです。
ただ、指導の仕方やアプローチ方法、環境調整によって効果が変わってくると感じることもあります。
発達障害のある子供の反応
レッスンでパズルをするとなる、生徒達のほとんどは喜びます。
しかし、中にはあまり喜ばない生徒もいます。
喜ばない生徒のケース(私が経験したケース)は、視力が悪い、手先が不器用、両眼視が難しい、視知覚に困難がある、ヒントの捉え方が画一的(例:形からではなく、イラストからしかヒントを得られない)、統合する力が低いというのがありました。
たまに、パズルに使われるイラストが怖いから嫌いという生徒もいました。
苦手な子供への指導方法
パズルが好きな子供へは、特に指導方法を考える必要はないと思います。
勝手にやって、勝手に成長していきます。
しかし、パズルが苦手な子供は自らやろうとしませんし、やらせるにしても、その子供の特性や能力を把握しつつ、原因は何なのか、どういうアプローチをすれば良いかを考えていく必要があります。
ピース数を減らす
幼児だけでなく、小学生でもパズルが苦手な生徒はいました。
ある生徒(小学生)の場合は視知覚に困難さを抱えていたため、パズルのピース数を減らして進めました。
最初は5ピース。時間は問いません。
苦手意識がある子供に指導をする際、自分は出来るんだと思えるようにする必要があるため、極端に少ない状態からスタートします。
順調に進んだのですが、16ピース辺りでつまづき始めました。
出来ないわけではないのですが、完成までに極端に遅くなったのです。
何故難しくなったのか。
それは全体を把握する力の弱さ、イラストとピースの形を同時に把握するのが難しい、処理能力を超えてしまったためと推測されます。
そこからのアプローチは幼児と小学生とでは変えることが多いです。
幼児には完成したら達成感を得やすいよう、ご褒美シールを上げます。
小学生にご褒美シールはあまり通用しないので、スピードをはかって、出来るようになってきたと数値で示すようにすることが多いです。
すると、成功体験として実感しやすくなります。
タイプにもよりますが、数字や時間等に強い関心を持っているタイプには効果てきめんです。
サイズを調整
サイズを調整するケースもあります。
大きいサイズが分かりやすいのか、小さいサイズが分かりやすいのか。
一見、大きいサイズが分かりやすいように見えますが、実はそうでないケースもよくあります。
シングルフォーカスのあるASD(自閉症スペクトラム障害)のある子供は、大きいサイズだとどこに焦点を合わせたら良いのか分かりにくくなります。
また、全体を把握する力が弱いと、大きいサイズだと一層把握しにくくなります。
そこで大切になってくるのは、大きいサイズと小さいサイズのどちらが理解しやすいかという確認作業です。
サイズの違う同じパズルでやると、反応の違いが分かりやすいと思います。
手作りパズル
市販で売られているパズルのイラストが怖いからパズルをしないというケースもあります。
何故イラストが怖いと感じるか。原因はその子によって違うと思いますが、以下のことが考えられます。
表情を読み取るのが苦手、ゴチャゴチャしたイラストだと何が描いてあるか分からない、部分から全体に統合する力が弱い、全体を把握する力が弱い、知らない物に対して不安を持ちやすい。
市販のパズルが怖い場合は、子供が好きな動物等をプリントし、手作りのパズルからスタートすることがお勧めです。
好きな物なら、怖いという感情が生まれにくいです。
実際、イラストを怖がる生徒(幼児)にもやりましたが、全く怖がりませんでした。
手作りパズルの良いところは、好きなようにピースを増やせるということ。
子供自身に切らせると、より一層パズルに対する苦手意識は減少します。
イラストが怖いという感情が消えてきたら、市販のパズルにチャレンジさせるようにしていくと良いでしょう。
というのも、毎度毎度手作りパズルを作るとなると、とても負担になるからです。
どのタイミングが市販のパズルに移行するかは、しっかりと観察した上で決断すると良いです。
決断が難しい場合は、専門家の意見を聞くのも良いです。
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