発達障害の子供に自己決断力を~自己決断力が育まれる環境づくり~
生徒の自己決断を尊重しているひだち教室長の安藤です。
前回は、自己決定力が育まれにくい環境について触れました。
本来なら、「自己決定力」が育まれる環境づくりについて触れるべきだと思います。
しかし、ひだち教室では「自己決定力」よりも、もう一段上を目指しています。
それは、強い意志が込められている「自己決断力」を育むこと。
だから今回のタイトルは、「自己決断力」に変更することにしました。
今回は自己決断力を育むための環境づくりについてお話ししたいと思います。
Contents
自己決断力が育まれる環境とは?
結論を先に言うと、下記のことが挙げられます。
・多種多様な環境下で自己決断をさせ続ける
・決断を尊重する
・成功体験を積む
・決断したことを褒める
・責任を負った状態で決断する機会を作る
・「そういうこともある」を口癖にする
・なんでも許可を求めるのは良しとしない
多種多様な環境下で自己決断をさせ続ける
発達障害のある子供は環境(人的含む)に左右されやすい。
そのため、学校や家庭といった場所では決断できることでも、他ではできない。
そんなことがよく起きます。
守られた空間で実施するSST(ソーシャルスキルトレーニング)だけでは般化が難しい。
だからこそ、様々な環境・条件下の中で決断をする機会を作る必要があります。
その経験が般化へと繋がります。
ただし注意点があります。
自己決断が本当に難しいタイプの子供もいます。
そういうタイプには、選択肢をいくつか提示して決断させる。
配慮がいるかどうかの見極めも支援者には求められます。
決断を尊重する
子供の決断は原則尊重した方が良いです。
決断を尊重することによって、安心して自分の気持ちを言えるようにもなります。
信頼関係の構築や維持にも役立ちますね。
ただし、なんでもかんでも決断を尊重するのは良くない。
ASDの子供に、初めての取り組みをしてもらう時に「やる・やらない」を決断させるとします。
すると、ほぼ100%拒否します。
それは不安が強いため。
身体全体を使って拒否することもあれば、理屈を言って避けようとします。
成長や価値観の変化を望むなら、時には強制でも良いと思います。
その代わり、
・楽しいと思える要素を設ける
・勇気づけをして安心感を与える
・成功体験に繋げる
これらが保障されてこそ、子供は安心して動くのです。
成功体験を積む
決断力を育むために成功体験は欠かせない。
決断をした上で成功体験を積むと、似たような場面で容易に決断が出来るようになります。
最初は自分のための決断だが、いずれ他者の代わりに決断を下せるようになる。
そうすると、周りに安心感を与え、頼られる存在にもなりえます。
決断したことを褒める
決断して成功体験に繋がると、周りの人達はその成功体験について褒めると思います。
それも大事ですが、それだけでは子供の心に変化は起きにくい。
子供が決断したことにフォーカスできるよう、決断したこと自体を褒めるべきです。
例え失敗体験に繋がったとしても、決断自体を褒められると決断力に繋がります。
責任を負った状態で決断する機会を作る
活動によっては、生徒達に役割を与え、意図的に責任を負わせることがあります。
勿論、責任感を強めるねらいもありますが、それだけではありません。
責任を負うということはプレッシャーがかかります。
そんなプレッシャーを感じながら決断してもらうことによって、覚悟も養われます。
決断力には覚悟という要素も含まれています。
だから、責任を負った状態で決断する経験というのは必要です。
「そういうこともある」を口癖にする
決断して、結果的に失敗することはよくあります。
自己決断は諸刃の剣の側面があり、失敗すると結構ショックは大きいです。
なので、ショックを流す力も必要。
私が長年実践していることで、効果的に流せる方法があります。
「そういうこともある」「しゃ~ない」
この言葉は結構使え、過度に引きずることが減ります。
実際、生徒達は決断した上で失敗した時は、この言葉を言います。
口癖にするためには、子供に関わる大人が見本を見せる。
1回、2回ではダメです。
大人が失敗する度に子供の前で言って、あっけらかんとした態度をとる。
子供は意外とよくその様子を見ていて、いずれ真似るようになりますよ。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。