妻籠宿を保存するのは当然です!【長野県木曽郡南木曽町】
この夏、大学生の生徒と共に青春18切符を使って長野県にある妻籠宿と奈良井宿に行ってきました。
生徒は日々の生活で心身が疲労していたので、癒しを求めていました。そこで、「癒し」と「遠くてなかなか行けない地域」をキーワードに、ネットで一緒に探していたら、この妻籠宿と奈良井宿を見つけました。
長野県へ普通の電車で向かうにはとても時間がかかります。そこで、前日にひだち教室に宿泊し、大津駅から始発に乗って向かうという計画を立てました。
生徒は前日の19時頃に教室に着くとすぐに銭湯へ行き、少しホッコリしてからすぐに就寝。という予定だったのですが、そこから4時間じっくりと生徒の近況や考え方、悩み等を聞くことになりました。明日起きれるか?とその時心配しましたが、結果的に杞憂に終わりました。
今回の活動では、妻籠宿に着いたらスマホでナビを頼らず、分からない時は現地で地図を見るなり、人に尋ねて情報を収集するというルールを設けました。生徒にその話をした時はかなり拒否られましたが、この活動はソーシャルスキルトレーニングの意味合いもあるので、生徒が受け入れるまで説明しました。
朝5時に起床し、大津駅から出発しました。米原駅→大垣駅→名古屋駅と乗り継ぎ、中津川駅に到着しました。その間約4時間。さすがに疲れました。
中津川駅から南木曽駅に向かう電車は1時間ほど待つ必要があったので、近場を少し観光することにしました。
9月末までやっていた朝ドラ、「半分、青い」のロケ地が岐阜県とあって、ポスターがたくさん貼られていました。
少し離れた所に撮影で使われた店があるらしいのですが、時間的に難しいので断念しました。
ブラブラ歩いていると、ツタカンという店を見つけました。変わった外装をしていたので、看板を見てみると、鉄砲火薬と書かれていました。
失礼かもしれませんが、こういう店を見かけると田舎に来たなと実感します。
Contents
妻籠宿観光情報
南木曽駅からバスに乗り、10~15分程で妻籠宿に着きました。駐車場には観光バスが数多くあり、その多くが外国人観光客が利用しているようでした。
日本の観光といえば大阪や京都といった有名観光地が主でしたが、最近は昔を感じられる日本というのが流行りのようで、妻籠宿に続々と外国人観光客がやってくるようになったようです。
生徒はルール通りスマホを使わず、妻籠宿案内図を見、気になる施設に目星をつけて宿場町に入っていきました。
天気は悪くて味わい深い宿場町
小雨が降っていましたが、それはそれで雰囲気が出ていて良かったです。
江戸時代から利用されている宿場町なので建物自体は古いですが、店内は新しく改装されているのが多かったのは、仕方ないとはいえ少し残念です。
歴史を感じながら歩いていると、大きな窯が無造作に置いてあるのを見かけました。未だに使われているのか、オブジェとして置いてあるのか気になります。
脇本陣奥谷と妻籠宿本陣
妻籠宿脇本陣は屋号を「奥谷」と言い、代々林氏が勤めてきました。木曽五木の禁制が解かれて、明治10年(1877年)に総檜造りで建て替えられました。
昭和42年から妻籠宿保存の中核として公開され、平成13年には国の重要文化財に指摘されました。指定されたのは平成の世になってからというのは、少し意外でした。
建物の中に入ると、薄暗いせいもあって空気はヒヤっとしています。
昔の造りということもあり、囲炉裏の所以外は天井が低く、身長の高い外国人は腰を屈めて部屋を見て回っていました。
明治天皇も見られたという庭を眺めながら、しばし休憩。
少し離れた所に湯殿があります。覗いてみると、大きめの黒い桶がポツンと置いてあり、これがお風呂とは最初信じられませんでした。
お風呂のイメージが現代とあまりにも違うのに驚きました。
畳み部屋に和式のトイレは違和感しかありません。
使いずらいし、汚したら掃除が大変そうだから、使うのを躊躇してしまいますね。そのせいか、造られて以来一度も使われていないそうです。
外国人観光客に大人気だったのは囲炉裏の間です。
囲炉裏は日本文化の象徴とも言えるため、テンションが上がるのは当然だと思います。多くの観光客は囲炉裏を囲んで写真を撮っていました。
囲炉裏の間のすぐ横に傘立てがあったのですが、その傘立てには「Paraguas」と書かれた札がかかっていました。
スペイン語で傘という意味ですが、普通は英語で書くものじゃないの?と不思議に思ったのでスタッフに聞いてみると、脇本陣奥谷はスペイン人に大人気ということが分かりました。
スペインのテレビで脇本陣奥谷が紹介されて一気に認知度が高まり、スペイン人に人気の観光スポットになっているそうです。
資料室や歴史資料館には、原始~近現代の史資料が展示され、木曽全体の歴史が多くの模型や映像、パネルによって分かるようになっています。
また、妻籠宿の成り立ちや、町並み保存の歩みなどのコーナーも設けられています。
当時の人々が使っていた物も展示されていて、歴史好きの生徒は一つ一つ興味深そうに見ていました。
脇本陣の出口から斜め向かいに妻籠宿本陣があります。
本陣は代々島崎氏が勤めていましたが、明治20年代に最後の当主広助が東京へ出たために、建物も取り壊されました。
その後、御料局や営林署に使用されていましたが、町に払い下げられたのを機に、平成7年に忠実に復元したのが現在の建物です。
脇本陣と比べて、妙に真新しいと感じたのはこういう理由でした。
造られて間もないということもあり、綺麗です。
当時の様子は再現出来ていますが、そこで実際生活していたわけではないので、展示品という印象を受けました。
脇本陣では案内のスタッフがいましたが、ここにはおらず、見学だけです。
見学者の数は雲泥の差で、本陣は脇本陣と比べて非常に少なかったです。そのため、寂しさを感じました。
見学していると、壁に注意書きの紙が貼られていたので読んでみると、「足元の亀虫に御注意下さい」と書かれていました。
亀虫とはカメムシのこと。強烈な臭いを発するアノ虫です。注意書きがあるということは、それだけ頻繁に出現し、多くの観光客が被害にあっているということ。カメムシを踏んでせっかくの旅行気分を台無しにされるのはイヤなので、私は踏まないようそそくさと本陣を出ました。
開館時間と地図
開館時間:9:00~17:00 ※入館受付は16:45まで。
脇本陣奥谷/歴史資料館の入館料・・・大人600円 小人300円
妻籠宿本陣の入館料・・・大人300円 150円
3館共通入館料・・・大人700円 小人350円
光徳寺と寺下の町並
本陣を出てしばらく歩くと、映画のセットに使われそうな町並が見えてきました。
台風が来たらあっという間に吹き飛んでしまうのではと心配してしまうほど古い建物ばかりですが、店として使われていて生活感がにじみ出ています。
古き良き時代を感じられる素晴らしい町並です。外国人観光客に人気があるのが頷けます。
その町並から見上げた所に光徳寺があります。そこに向かうには階段を登っていく必要があります。
意外と急な階段を登っていると、その階段の横には急傾斜地がありました。斜面が崩れないようにしっかりと固められているので大丈夫だとは思いますが、それでも怖かったです。
危ないなと思いつつ頂上に着き、肩で息をしながらふと視線を横に動かすと、「急傾斜地崩壊危険」という標識が目に入り、冷や汗が出ました。
光徳寺には、人力車のモデルとなった「車付き籠」というのがあります。
前後二人で担ぐ籠に車輪をつけて引っ張ることを思いついたのは、光徳寺の和尚さんです。
まさか人力車の元祖を考案したのが和尚さんとは思いもよりませんでした。生徒も私も思わず「へ~」と驚きの声を上げてしまいました。
温泉と野外宿泊地
観光中、偶然にもこの日に妻籠宿で神事が行われるということを知りました。そこで、神事を見ようという話しになったのですが、神事が行われるまで時間があるので、先にお風呂に入ることにしました。
バス案内所のスタッフに聞くと、タクシーで10分ほど行った所に温泉があると教えて頂き、タクシーでその温泉に向かいました。
外観はイメージしていたのと違ったので驚きましたが、気軽に寄れる雰囲気がある温泉です。
あららぎ温泉はひのきという食事処と連なっており、温泉と食事を同時にとれるのでありがたかったです。
あららぎ温泉の湯はアルカリ性で肌に良く、神経痛、筋肉痛、関節痛、うちみ、くじき等にも効果があります。アルカリ性なだけあって、お湯はぬるぬるしていて気持ちが良かったです。美人の湯と言われるだけありますね。
木工工場が経営している温泉とあって、木には相当こだわりを持っていて、湯舟は木曽の五木の一つでもあるコウヤマキでつくられています。また、湯桶や風呂のイスは檜を使用しています。贅沢な気分にしてくれました。
アクセスと地図
JR:南木曽駅からバス(保神行き)に乗り、15分程で着きます。ただし、バスの本数は少ないので気を付けてください。
妻籠宿からタクシーで10分程で着きます。
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日
料金:大人550円 子供300円。貸タオルは50円。
妻籠宿に戻ると、ちょうど妻籠宿火祭りが執り行われるところでした。
ほら貝が吹かれる中を宮司さんが登場。そして、本陣の前で祝詞を唱えだしました。
しばらくすると小雨が降り出し、さらに時間が経過するとゲリラ豪雨ばりに猛烈な雨が降り出しました。さすがにこれは神事を一時止めるだろうと思ったのですが、そのまま続行。さすがに驚きました。しかし、周りの人達は続行は当然のような態度をとっていたことに、私はさらに驚かされました。
神事は無事に終わり、その後は伝統芸能のお披露目です。
生徒は相当楽しみにしていて、最前列近くの席を陣取り、伝統芸能を見入っていました。
私は久しぶり(以前習っていました)に和太鼓の生演奏を聞いたのですが、演奏中私も叩きたくて身体がウズウズしていました。
伝統芸能が終わると残ったお神酒が配られたので、頂きました。
私は酒の味がよく分からないので、とりあえず記念にという考えだったのですが、生徒はお酒が大好きで、しかも美味しかったらしく、何度も頂いていました。
近くにあった木製のベンチに座っていると、温泉の場所を教えてくれたバス案内所のスタッフがやってきて、茹でたとうもろこしをくれました。お腹が減っていたので、とても嬉しかったです。
こういう出会いがあるのが旅の醍醐味ですね。生徒はとうもろこしを食べながら、「僕ってこういう出会いがよくあるんですよね~」と自慢げに言っていました。そういう星のもとに生まれたなら、ドンドン一人旅をして欲しいものです。
今回の活動ではホテル等を予約せず、持参したテントでの宿泊です。
事前にバス案内所のスタッフに聞いたところ、妻籠宿の駐車場近くに川があり、その川の近くの野原にテントを張って寝泊りしている人が時折いると教えてくれました。
明るい内に下見した時はテントを張るのは楽だと思いましたが、いざ夜に行ってみると電灯や月明かりがないため何も見えず、小さな懐中電灯を頼りに悪戦苦闘しながらテントを張りました。
テントに入って横になると、生徒は5分もしない内に寝入ってしまいました。反対に私はなかなか寝付けず、ようやく寝れたのは午前2時頃でした。
妻籠宿のグルメ情報
この旅行で私は五平餅にハマりました。
岐阜県や長野県と言えば五平餅が有名ですが、均一の形で同じ味付けだと思っていたら、地域ごとどころか、店ごとに味や形状等が違うとお店の方に教えて頂きました。
これは可能な限り色んな五平餅を食べようと決意し、同時に、新しい旅の楽しみ方を見いだしました。
おもての五平餅
妻籠宿にある「おもて」という名のお茶所の五平餅の特徴は、なんといっても団子状の五平餅が2個串にささっていることです。
五平餅と言えば草履の形をしているものだと思っていたので、かなりの衝撃を受けました。
味は醤油ベースで、山くるみもたっぷり使っているので甘みが強いです。匂いも味も良く、団子状なので食べやすいので、もう一本食べようかと悩みました。
わちのやのおやき
「わちのや」というおやき専門のお店です。
よもぎ、野沢菜、くるみ、かぼちゃ、なす、切り干し大根といったヘルシーなものを取り扱っています。
私は野沢菜のおやきを注文。素朴な味で、それほど塩が入っていないせいか、野沢菜の味がダイレクトにきました。
俵屋 里久の五平餅
食事処の俵屋 里久の五平餅は、これぞ五平餅という形状をしています。味は少し辛めで、ゴマが多く、濃厚なのが特徴です。
ざるセット(ざるそばと五平餅)というセットメニューがあるのですが、蕎麦と相性を良くするために、少し辛めにしているのかもしれません。
確かに蕎麦との相性は良いのですが、味付けが濃いので、私は五平餅をオカズにしてご飯を食べたかったです(笑)
妻籠宿のアクセスと駐車場情報
JRの場合:南木曽駅からバスorタクシーに乗って約10分。徒歩で40分。
バスの本数は少ないので要注意です。
車の場合:中津川インターから木曽福島方面へ約30分。迷うことはないと思います。
駐車場は3ヶ所あります。
第一駐車場は、妻籠宿に最も近い位置にあるのですが、バス・マイクロバス専用で車を駐車することはできません。
第二駐車場は、少し離れた所にあり、広い駐車場です。ここ駐車する事をお勧めします。
今回テントを張ったのは、第二駐車場近くの川岸です。
中央駐車場は、奥にある駐車場で、第二駐車場が空いていない時に利用することになります。
話は奈良井宿へと続きます。
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