琵琶湖でバス釣り~興味が広がった意外な理由とは?~

最近釣りの楽しさが少しずつ分かり始めてきたひだち教室長の安藤です。

当教室は釣りが好きな生徒が多いです。

多いけど、釣りに一切興味を持たない生徒もいます。

明るく元気なA君はそんな生徒の一人。

ところが、何気ない会話のやりとりで興味を持つようになりました。

今回の記事では3つの事柄について書いていきます。

・釣りに興味を持った理由

・A君の釣りに対するイメージ

・A君が学んだ現実

釣りに興味を持った理由と得た学び

子供に何かを興味を持たせるというのは簡単なようで難しい。

自閉症スペクトラム障害(ASD)がある人は特に興味・関心を持ちにくい傾向があります。

しかし、興味を持ちにくいだけであって、興味・関心を持つパターンは多岐にわたります。

・体験してみて意外と面白かった

・体験してみたら成功体験に繋がった

・知っている人や信頼関係のある人がやっている

・体験したことが活かされた経験(例:教える)がある

・好きなことと関連がある(例:電車好き→乗りたい→旅行が好き)

今回はこれらパターン(一部)の中に、新たなパターンが追加されます。それが、

・ツッコミがいのある物(可笑しい物)

まさかのパターンですが、よく考えるとツッコミをするということはそれが面白いと感じるから。

決して珍しいことではないのかもしれません。

ツッコミから始まる興味

 

A君が釣りに興味を持ったのは、私との何気ない雑談からでした。

私:「この前、100均で千円の釣り竿を見つけて思わず笑ってもうたわ」

A君:「え?100均なのに千円のがあるん?なんでやねん」

私:「やろう?面白いわ~」

A君:「・・・その釣竿を使って釣りに行ってみたいなぁ」

私:「じゃあ、来週釣竿を買いに行こう」

A君:「うん!」

興味を持ったら可能な限りすぐ動くべきです。

時間が経過すればするほど興味も薄れてくるからです。

そして翌週、大津京近くにあるダイソーへ。

自立に向けて『何かをするための用意は自分でするもの』という思考と行動力を身に着けて欲しいため、時間はかかりますが一緒に買いに行きました。

A君が興味を持ったのは千円の釣竿であって、釣り自体ではありません。

A君にとっては、千円の釣竿を使用することに意味があります。

釣竿を買えたA君はホクホクした顔をしていました。

教室に帰ってから、私は釣竿が入っている袋を眺めていると、海釣りも可能と書かれていることを発見。

私:「海釣りもできるみたいやで、ビックリやな」

A君:「ほんま?海釣りもできるんや」

私:「この前、他の生徒と一緒に海釣りをしに行ったけど、A君もやってみたい?」

A君:「うん!」

私:「その釣竿でも出来るけど、もしかしたら先生の釣竿を使うことになるかもしれんけど、それでも良い?」

A君:「はい!」

これで釣竿から釣り自体に興味を移すことに成功しました。

釣りは絶対魚が釣れる!と信じ込む

琵琶湖でバス釣りをする日、まずはA君に針のつけ方を教えました。

釣竿があれば釣りは出来る物だと思っていたA君は少し驚いていました。

針を糸に通すのが初めてのA君、予想通り大苦戦。

時間はかかりましたが、つけることに成功してホッとしていました。

釣りは生き物との戦いです。

釣れることもあれば、釣れないこともあります。

さらに寒い時期で夕方に釣りをするとなると、釣れる可能性は低い。

事前にその旨を伝えていたのですが、必ず釣れるものと信じている様子のA君。

A君:「目標は二人で10匹にしよう」

A君は期待を胸に膨らませて、浜大津なぎさ公園へ向かいました。

生徒が学んだ厳しい現実

陽が沈みかけていて、幻想的な光景が広がっていました。

A君はそんな光景を見て感動し、気分が高揚していきます。

釣り人は数える程度だったので、場所を選び放題。

A君は私からリールの巻き方を教わり、いざ釣り開始!

ウキウキした表情をしていましたが、1分経過したあたりでA君は「あれ?」という表情をしました。

さらに5分経過すると「なかなか釣れないな~」とイラつきだします。

すぐに釣れると思っていたA君にとって、予想外な展開だったようです。

リールを巻いたり釣竿をピクピク動かすと食いつくかもしれないと、私からのアドバイスを受けて実践。

それでも釣れる気配なし。

モチベーションが下がっていくのが目に見えて分かりました。

刺激というか、変化が必要です。

海釣りの練習も兼ねて、疑似餌を遠くに飛ばすやり方も指導しました。

疑似餌が宙を舞う様子と振る動作が面白かったようで、楽しそうに何度も釣竿を振り回していました。

1時間の釣りで釣れたのは0匹。

A君は現実の厳しさを知り、ガックリと肩を落としました。

しかし、現実を知ることで私の言葉がすんなりと受け入れられるようになりました。

A君:「全然釣れないな~」

私:「そうやろ、生き物も必死だから釣れないことはよくある」

A君:「そうかぁ」

私:「今度行く海釣りもボウズ(全く釣れない)の可能性もあるから、それは覚悟しときや」

A君:「分かりました」

自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人は、「こうに違いない!」と一度信じこむと、周りの意見が耳に入らないことがあります。

そういう時は何度も言うのではなく、あえて現実を体感させることをお勧めします。

現実を知ることで、他人の意見を受け入れられる姿勢が構築されて素直に受け入れられるからです。

A君はバス釣りを終えても、海釣りに対するモチベーションは下がっていない様子。

12月の海釣りで、一匹でも良いから釣れて欲しいと願わずにはいられませんね。

ひだち教室では生徒の「やってみたい!」という気持ちを大切にし、出来るだけ早く実行することでモチベーションを保ち、興味・関心を広げるお手伝いをしています。興味・関心が広がると人との関わり方も変わり、自信にも繋がります。

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