勇気づける言葉を考えましょう

『チャレンジは心が育つだけじゃない ASD編』のブログでは、ASD(自閉症スペクトラム障がい)の子どもにはイメージを持たせることが大切だとお話しました。

今回はイメージの持たせ方についてお話したいと思います。

イメージを持たせる方法

言葉で説明してもイメージがしにくいので、視覚的に提示することが大原則です。

視覚的に提示する

一番やりやすいのは、チャレンジする活動の画像や動画を見せることです。それだけで不安が取り除かれる子どもはいますが、私の経験上全て取り除かれることはないです。やっぱり不安はありますし、逆に不安が増すケースもあります。

では、イメージと同時に何をすれば良いのか?答えは勇気づけです。

勇気づけ

視覚的に提示したら、次は勇気づけです。勇気づけと言うと、「がんばれ」や「あなたはできるから」という言葉がけを思う方もいるかもしれませんが、私的にはNGワードです。強い信頼関係が構築されているなら効果はあるのでしょうが、だいたいは逆効果です。

では、私が行った勇気づけの実例を書きます。チャレンジすることは『ラフティング』です。

画像と動画を提示してから、不安そうな表情をしている生徒に聞きました。

私「ラフティングの何が怖いん?」

生徒「落ちるかもしれない」

私「そうやな。先生が言った通りにしなかったら落ちるわな~。じゃあ落ちないようするにはどうしたらいい?」

生徒「ボードに掴まる」

私「せやな、掴まればいいよな。しかも掴むロープはちゃんとあるで。ほら、ここ見てみ」→ボートの画像を見せる。

生徒「ほんまや」

私「このロープを握っていたら落ちることはないわ。試しに先生の腕をギュッと握ってみ」→ギュッと握ってきた。

私「おぅぅ!これだけ強く握れたら落ちへんわ。それに先生もサポートするし。やから安心しとき。もしそれでも落ちたら先生を落としてくれていいから(笑)」

生徒「まじで!?じゃあやってみるわ」

※因みに、ライフジャケットも着ているし、落ちるようなコースでもないです。スタッフさんいわく、今回行ったコースで意図的に落ちる以外で落ちた人はいないとのこと。

以上のようなやりとりをしたことで不安感はだいぶ減ったようです。当日はボートに乗るまでは多少緊張していましたが、嫌がることもなく、むしろ川を下り始めるとハイテンションになって楽しんでいました。あの不安はどこぞにいったのやろと思うぐらい(笑)

さて、流れを整理しますと、

不安の共感→対処方法を考えさせる→対処方法を提示する→視覚的に出来る根拠をつきつける→ロープを持つ力の加減をイメージさせるために私の腕を握らせる→オーバーリアクションをして自信と安心感を持たせる→先生を落とせるというオチをつけて、意識から不安を遠のかせ、楽しさを心に芽生えさせる。

この一連の流れは結構有効です。ただ、全ての子どもにこの方法が有効とは限らないので注意が必要です。

大切なのは、勇気づけをしながら子どもの反応を見、反応の仕方によって言葉を組み立てていくという、その子に合った勇気づけ方法を瞬時に考え、実行することです。私もまだまだ完璧ではないので、柔軟な思考力をもっとつけていきたいです。

次回は、チャレンジさせるために、イメージを持たせる以外に必要な要素についてお話します。

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