発達障害と仕事~イベント設営と撤去作業編~
早く終わるから撤去作業が好きなひだち教室長の安藤です。
ひだち教室のレッスンの一つに、生徒と一緒にバイトをするというのがあります。
色々な現場で共に働くことで、こういう仕事してたら、生徒はこういう反応をするんだ。
という場面も沢山見てきました。
前回までは、下記の仕事についてお話ししました。
>>>ゲーム制作編の記事
>>>車の見張り番編の記事
>>>工場編の記事
>>>倉庫整理編の記事
今回は、イベント設営と撤去作業をした時のお話しです。
Contents
見聞きした情報から考察
私が経験した情報も踏まえて、下記のことを書こうと思います。
・どんな困難が予想されるか
・どうすれば続けられるかを推測
・一緒に体験した生徒の感想
お子様の将来の参考になると良いなと願っています。
※私の体験談と個人的な見解です。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
イベント設営と撤去作業
イベント設営と撤去は、簡単に言うとやることが逆。
ただ、かかる時間が全然違います。
設営の方が圧倒的に長い。
設営はやることが多く、少し複雑。
撤去はやることが多いけど、やることが明確。
これまで、生徒達と何度となくイベント設営&撤去作業をしました。
予想される困難
【ASDの場合】
・「あそこ」「さっきの所」等、具体的な指示がないことが多いので、戸惑う
・何をしたら良いか分からなくなる
・何をしたら良いか分からないので、動きが止まる
・安全靴は普通の靴と感覚が違うので、不快に感じる可能性がある
・教えてもらっても出来ないことがある
・自分ルールが発動して揉める
・誰に対しての指示か分かりづらく、注意を受けやすい
・上手く身体を使えないと少し重たい物を運べない
・様々な所に注意を払うのが苦手なので、注意を受けやすい
イベント内容によって使う物も設営方法も違います。
それ故、流れを理解するまでに時間がかかるでしょう。
【ADHDの場合】
・指示を聞き間違い、注意を受ける(嫌味含む)機会が多い
・色々な所で声や作業音が聞こえてくるので、注意が散漫になりやすい
・物をぶつけてしまう&物にぶつかってしまう
続けるために必要なこと
パネルの設置、机やイスを並べるといった作業内容が多い。
作業自体は難しくないので、作業をしながら覚えられると思います。
ただ、筋力的にどうしても無理な物もあるでしょう。
大まかに、言語性、社会性、環境と能力から考えてみたいと思います。
言語性
【道具などの名称を記憶する】
高い言語力は求められませんが、馴染みのない名称が飛び交います。
私が最初戸惑ったのは、「スケール」「養生テープ」。
「メジャー」で覚えていたため、「スケール」と言われた時は本当に分からなかった。
「養生テープ」は、ガムテープのことかと思っていたら、違いました。
社会性
【指示された内容の確認をする】
漠然とした指示が多いので、指示の内容を確認する作業が必須。
これが出来ないと間違い、迷惑をかけてしまいます。
確認作業が自然と出来ると、随分楽。
【挨拶ができる】
社会人としては基本です。
【分からないことを自ら聞ける】
分からない事だらけなので、自ら質問をしにいく力が必要です。
特に設営はわかりずらい。
【「ありがとう」を言える】
手伝うこともあれば、手伝われることもあります。
簡単な事(例:テープを貼る時に支えてくれた)でも言えることは大切です。
【流すスキルを身に着ける】
厳しく注意を受けるケースはよくあります。
引きずると、その後の作業にも影響が出やすい。
ミスやケガにも繋がるので身に着けたいところ。
【愚痴を言う】
注意を受けた時やミスした時は、すぐに誰かに話す。
それだけでも、随分心の切り替えがしやすいです。
私が生徒達と働く時は、愚痴をすぐに吐くように伝えています。
【「うっさいんじゃボケ!」は効果的】
流すスキルが身に着いていない。
愚痴を言える相手がいない。
そんな人は、「うっさいんじゃボケ!」
を心の中で言いましょう。
結構心を切り替えられます。
【助けをこう】
一人で運べない物(例:大き目のテーブル)等を運ぶように指示されることがよくあります。
その時に他のスタッフに手伝うようお願いをできないと、大変苦労します。
むしろ、現場責任者に「1人でやったら危ないやろ!」
と、厳しく注意を受けます。
助けをこうスキルがいりますね。
【水を飲みたいと伝える】
簡単そうで言いにくいです。
何故なら、他のスタッフを見ていると、水を飲んでいるシーンをあまり見かけないから。
そこで悪いと思い、我慢すると体調が悪くなります。
実際、私は最初の頃言えなくて、熱中症で運ばれたことがあります。
勇気を持って言えたいですね。
環境と能力
【指示が分かりやすい人の近くに極力いる】
指示が分かりにくい人もいれば、分かりやすい人もいます。
指示が分かりやすい人の近くに出来るだけいると良いです。
【急な変更に対応できる】
ASDの人は急な変更はとてもしんどいですが、時々違う作業を頼まれます。
ただ、急な変更ほど丁寧な説明をしてもらえることが多い。
【紐を結べる】
棒を束ねて、紐で結ぶという作業は色んな現場でよくあります。
紐を結べるようになっておきたいところ。
【楽する方法を考える】
重い物を運ぶ時に筋力があると良いです。
でも、それ以上に大切なのは、楽に運べる方法を考えること。
重い物を沢山運ぶケースが多い。
瞬間的な力よりも、疲れずに持続して運べることが大事。
楽する方法を思いつくと、周りから賞賛されます。
【経験が役に立つ】
色々凹むことがあるが、1~2年もすると動きが分かってきます。
出来なかったことが出来るようにもなります。
生徒の体験談と感想
「意外と出来る」
ある生徒は働くことに自信がついた様子でした。
「もっと効率的な指示の出し方があるやろう」
普段から効率性を求めている生徒は、私に愚痴っていました。
頑張り過ぎる生徒は、出来ないのに頑張る様子が何度も見られました。
頑張る事は大事だが、人に助けをこうスキルが必要ですね。
私が指示を出すケースも多いので、比較的やりやすいと思います。
私がいる内に、動き方等をしっかりと学んでもらいたいですね。
いずれ、1人で現場に入ってもらおうと思っているので。
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