発達障害と仕事 適職考察
長年発達障害児・者と関わる仕事をしていると、子供にあった仕事が分からない、仕事ができない、仕事が続かない、そもそも仕事をしようとしないという保護者からの悩みをよく聞きます。
現在、私が担当する生徒の中にもバイトをできる年齢、20歳以上の生徒達がいますが、全員バイトをしていません。一時的にバイトをしたことのある生徒もいますが、すぐに辞めてしまいました。
単純にバイトをしないだけなのか、それともバイトができないのかで対応が全く違います。
保護者にはなかなか本音を言えないということだったので、私の出番です。生徒とじっくりと話し合いをしたところ、しないのではなく、出来ないということが分かりました。
出来ない理由はここでは割愛しますが、彼らには支援が必要でした。
支援といっても、能力的に出来ないことを支援することではなく、言葉と行動による勇気づけのことを指します。
今回のケースでは、言葉による勇気づけだけでは効果がないので、まずは行動で示す必要がありました。
そこで私は彼らに登録制の派遣バイトを一緒にしようと持ち掛けました。すると、生徒はビックリした表情をしましたが、やると言ってきたので、7月から私と共に時々バイトをすることになりました。
ひょんなことで私もバイトもすることになりましたが、これは良いチャンスだと思っています。
17年間、福祉と教育の世界にいる私は、生徒達に他の仕事について聞かれても表面的なことしか答えられませんでした。
しかし、色々な仕事を体験していると生徒達に説明する時に説得力が増します。
また、長年培った専門的な知識があるので、仕事をしながら専門的な見地で様々な仕事を分析できます。こういうタイプの人には合うな、こういうタイプの人は失敗が増えるな、こうすれば適応できるんじゃないかな等です。
今後、バイトでの体験と考察について書いていきますので、お子様の将来の参考になると良いなと願っています。
Contents
ゲーム関係の仕事
※私の体験談と個人的な見解です。
※私が見た現場の話です。違ったシステムやルールの現場もあると思います。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
守秘義務があるので詳しいことはお話できませんが、ゲーム好きな子供が憧れる仕事です。
ゲームが好きなだけの子供がイメージしているのは、ゲームを作るだけだと思いがちですが、現実は違います。
ASDの生徒と共に参加してきました。
予想される困難
ASDの場合
ASDの人は言葉の取捨選択が苦手なことがあります。
選択が出来ないから、全て自分に投げかけられている言葉と思ってしまい、気疲れしやすいと思います。
逆に全て自分ではない思ってしまうと何度も注意を受けて自尊心低下に繋がります。
また、過集中してしまうタイプだと全ての言葉が素通りしてしまうので、誤解が生じてしまうことがあるでしょう。
ADHDやLDの場合
聴覚記憶が苦手な人だと、大変苦労すると思います。
長く説明されると聞き取れず、大事なところまで聞き漏らすことになって仕事全般に影響を及ぼしかねません。
現場によっては、機密情報漏えい防止のためにメモや携帯を使うことが不可な場合があります。同じことを何度も教育係の方に聞くことになり、教育係の方をイラつかせることに繋がる場合があります。
成功(続けるため)に必要なこと
専門的な知識を持っているのは最低ラインなので、必ずしも成功するとは言えません。ただ、成功するには自己理解や環境づくりは必須です。
大まかに、言語性、社会性、環境と能力から考えてみたいと思います。
言語性
順序立てて説明できる
仕事の内容によっては、相手に分かりやすく、順序立てて説明する必要性が高いです。
同時処理型の人は苦労するかもしれませんが、継次処理型の人にはやりやすいと思います。
言葉の取捨選択ができる
専門的な言葉が社内を飛び交っています。
勿論専門的な言葉は覚えていけば問題がないのでしょうが、その言葉が自分に投げかけられているのか、他人に投げかけている言葉なのかを聞き分ける能力が必要です。
誰に投げかけられたか言葉か分かるように、最初に名前を必ず言ってもらうことは、最も手軽に実行しやすい方法です。
過集中しやすい人には、直接肩を叩いてもらう、スマホを机の上に置いておいて呼び出し音やバイブで呼びかけてもらう等の工夫が必要です。
社会性
挨拶ができる
社会人としては基本ですが、意外とできない方がいます。朝礼や帰りの際に挨拶を皆していました。挨拶をすることに慣れていないと、大きな声で言えなかったりするので、小さい内からクセづけたいですね。
「ありがとう」を言う
些細なことでも感謝の言葉を述べることは、集団で仕事をする上で必要なことです。仲良くなることは勿論、手伝ってもらったり、教えてもらいやすくなるので、これも小さい内からクセづけるべきスキルです。
自分が出来ること、出来ないことを理解している
広義の意味での社会性なので、自己理解も含めました。
皆、出来る事出来ないことを理解した上でやっており、その中でお互いを補完しあっていました。
出来ないことを断れる
出来ないことは出来ないとハッキリ言うことで、自分の首を絞めずにいられます。
実際、出来ないことは断っている場面をよく見かけました。
分からないことを自ら聞ける
聞きに行かず、知ったかぶりをしたばかりに、後で注意を受けていた人がいました。
聞くは一時の恥だが、聞かぬは一生の恥ということわざがありますが、この仕事はまさにその通りだと実感します。
多角的に物事を考える
この業界に何年もいる方に聞きましたが、多角的に物事を考えられることはこの業界では非常に重要とのこと。
世の中には色々なタイプのゲーマーが存在し、ゲームのプレイ方法も千差万別です。このゲーマーはどういう思考からこういう行動をいたったのかを多角的に、客観的に考えられると、随分仕事に役立ちます。
一見関係なさそうなプログラミングも例外ではなく、なくてはならない能力とのこと。プログラミングは論理的思考が必要だからだそうです。
多角的に物事を考えるというのは、一朝一夕に身に着くものではないですが、自分の価値観とは違う価値観に触れること、外で色々な体験をすることが重要だと仰っていました。
ひだち教室としての方向性が間違っていなくて嬉しかったです。
時事ネタを知っている
仕事を続けるには、人とのコミュニケーションは重要です。仕事上のコミュニケーションは勿論のこと、仕事以外のコミュニケーションも大切です。
コミュニケーションをとるためには、会話のネタとなる情報が必要で、ニュース等から世の中の事を知っておくと会話が成立しやすくなります。
相手が関心を持っていることに関心を持つ
相手が関心を持っていることに関心を持つと、会話が弾み、仲良くなりやすいです。
ゲーム業界の人はゲームに関心を持っていることが多いので、その人がどういうゲームに関心を持っているかを聞き、それについて質問すると仲が良くなると思います。
ASDの人はそういう部分が苦手だったりしますが、相手が関心を持っていることに関心を持つことのメリットを成功体験としてあると、関心を持ちやすくなるので、ソーシャルスキルトレーニング等で獲得したいですね。
環境と能力
長時間パソコンを見続けられるための工夫
ゲームなので、長時間パソコンを見ることは当然です。
長時間見続けると眼精疲労だけでなく、精神的疲労もたまってきますので、自分にあった疲労が蓄積しにくい方法を見いだすか、誰かの真似をしてみるのも一つの手です。
長い文章がズラズラと書かれたメールやチャット等のやり取りが多いので、長い文章を読むという行為に慣れておくことも必要です。
LDがある人の中には、文章を見ると文章が歪んで見えたりする人もいるので、文章の読み上げ機能があると良いかもしれません。
そういった機能を会社に取り付けてもらえないか、頼んでみても良いと思います。
急な変更に対応できる
ASDの人は急な変更はとてもしんどいです。ただ、急な変更は頻繁に起きます。
パニックを少しでも抑えるために、小さい内から「ま、いいか」精神を養っていくことが重要です。
ASDの生徒曰く、急な変更が頻発し、パニックにはならなかったけど、変更が起きる度に強いストレスを感じ、とても疲れたとのことでした。
メモをとる
聞いたことをメモをとる習慣を小さい内に身に着けると楽です。聴覚記憶が弱い人はメモをとることは必須です。
メモをとるといっても、必ずしも紙でなくても構いません。スマホ等も可です。
自分の行動を分析した上で自分に合った方法にしないと、上手く活用できないので注意が必要です。
ASDの人は生真面目なタイプもいます。そういう人は全ての言葉をメモにとろうとしてしまうことがあるので、キーワードだけを書くということを教える必要があります。ADHDやLDの人は全て聞き取れないので、自然とキーワードだけを書くことが多いです。
ASDの人は自分に合った方法を見いだせたら、メモを無くすということはあまりないと思います。
ADHDやLDの人はメモを無くすことはよくあります。無くさないための工夫を、色々試してみて無くさない方法を見出すことが先決です。時間はかかるものだと周りの方には理解してほしいです。
ASD、ADHD、LDの人に指導・支援する時に注意をしないといけないのは、決して自分の方法を押し付けないこと。必ずしも合うとは限りません。
先にも書きましたが、現場によってはメモをとることもできない場合があるので、現場責任者と相談することをお勧めします。
自分の特性を理解してもらう
自分の特徴を伝えておいて、理解してもらう。学校ではこういう支援をしてもらっていた等の体験談をすると説得しやすく、理解も図れると思います。
障害があるという事を言う必要があるかはケースバイケースですが、もし理解してもらえそうなら、言っても構わないと思います。
興味があること、得意な仕事を振ってもらう
ゲーム関係の仕事は役割が細分化されているようです。どういう役割を与えられるかは、続ける上で非常に重要です。
ASDの人は興味があることならどこまでも頑張れる傾向があるので、役割の話し合いが始まる前に、自分の興味があることは何かを伝える必要があります。
ADHDやLDの人は集中して取り組めることが大切です。得意なことはガッと集中して取り組める傾向があるので、得意なことを事前に伝えると良いです。
生徒の体験談と感想
A君の体験談と感想
作業自体はマイペースに出来、分からないことは質問を何度も出来たので問題はなかった。
同じグループの方同士で作業に関することでモメ始めたのは怖かった。こんなにもめることがあるとは思っていなかったので衝撃を受けた。
その影響もあり、グループ内で嫌な雰囲気になり、質問をしに行くと邪険にされることがあった。
とても気を遣うことになってしんどかった。トラウマになった。
1回目は良い印象を持たれやすいが、2回目、3回目となると、作業を出来ることが当たり前と思われだすので、次回から不安がある。
作業自体は出来るので、次回は少し時間を空けてからやってみようと思う。
B君の体験談と感想
知らないゲームだったので、そのゲーム固有の名称等を覚えるのが大変だった。
長時間画面を見ていたので、目がとても疲れた。
狭い空間に長くいるのは少ししんどかった。
作業自体はマイペースでできたのはありがたかった。
座っての作業は楽で、体力的に余裕があった。
指導者は親切に丁寧に教えてくれたので、全体的にとても良い印象を持った。
またやってみたいと思う。
貯水タンクの清掃作業
※私の体験談と個人的な見解です。
※私が見た現場の話です。違ったシステムやルールの現場もあると思います。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
1回目は清掃のサポートではなく、車の見守りでした。本来ならサポートをするらしいのですが、今回はたまたまとのこと。
ヘルメットをかぶり、誘導灯を持って準備完了。
会社の車の横を通る車や自転車に会釈しながら誘導灯を振り続けました。通る車が少ないので、立つだけの時間が長かったです。
2回目はいずれいきますので、行き次第更新します。
予想される困難
ASDの場合
頻繁に車が通るところなら集中できると思いますが、今回行った現場のように車があまり通らない所だと集中力を保つのは難しいです。
また、動きある物(例:蟻の行動)に目が移ってしまい、過集中してしまうと、いつの間にか車や自転車が行き過ぎてしまうということが起きると思います。
ADHDやLDの場合
ADHDでも特に多動の強いHDDタイプは、車の見守りはかなり苦痛だと思います。
動ける範囲が狭いだけでなく、動かなければいけない機会も少ないので、ひたすら車の周りをソワソワと落ち着きなく動き回るでしょう。
はたから見たらあまりにも動き回るので、ちゃんと仕事をしていないと思われて評価を落としかねません。
成功(続けるため)に必要なこと
車の見守りに関しては、専門的な知識はいりません。
では、何が必要か。言語性、社会性、環境と能力から考えてみたいと思います。
言語性
自分の立場を説明し、知ったかぶりをしない
他の従業員はどこにいるか、何時までその作業をするのかという質問を受けました。
何階の貯水タンクを清掃しているかというのを、私は一切知りませんでした。
そういう時は自分の立場と役割を説明すると、相手は納得してくれました。
簡単で良いので、自分の立場を説明できるというスキルは必要です。
それ以外は他人と話す機会がなかったので、話すのが苦手な人に適していると思います。
社会性
挨拶ができる
社会人としては基本ですが、意外とできない方がいます。
挨拶をすることに慣れていないと、大きな声で言えなかったりするので、小さい内からクセづけたいですね。
分からないことを自ら聞ける
作業着があるのですが、どこにあるか分からず、スタッフと思しき人に尋ねる機会がありました。
どんな現場もそうですが、人に質問するというスキルと物おじしない姿勢は必須です。
「ありがとう」を言える
飴や唐揚げ、水を頂く機会がありました。
そういう時にさりげなく感謝の言葉を言えるのは大切です。小声にならないよう、慣れておきたいですね。
趣味を持っている
移動時間や休憩時間に仕事の話はあまりありませんでした。
代わりに、好きなテレビ番組や音楽等の趣味について質問を受けました。
趣味を持っていないと会話が弾まず、微妙な空気が流れてしまうので、コミュニケーションを円滑にするために、何かしらの趣味を持くと良いです。
時事ネタを知っている
コミュニケーションをとるためには、会話のネタとなる情報が必要で、ニュース等から世の中の事を知っておくと会話が成立しやすくなります。
相手が関心を持っていることに関心を持つ
休憩時間や待機時間が長いと話すことがなくなり、静かになってしまいます。
ASDの人はそういうのが平気だとよく言われますが、沈黙が苦手な人もおり、話すことがなくて申し訳ないと罪悪感を感じる人もいます。
相手が関心を持っていることに関心を持つと、少しは沈黙が解消されるでしょう。
環境と能力
立ち続けるための工夫
何もせず立ち続けるのが大丈夫なタイプは問題ありませんが、ADHDのように動き回ってしまうタイプの場合は、代替え行為としてニギニギボール等をポケットに忍ばせて、動きたくなったらボールをニギニギして落ち着かせるのも一つの手です。
急な変更に対応できる
ASDの人は急な変更はとてもしんどいです。ただ、急な変更は頻繁に起こるとのこと。
今回のケースでは、依頼した方が部屋におらず、連絡もつかない状態だったため、予定が大幅に狂いました。
アクシデントが起きたらどうすれば良いか(例:上司に連絡する)ということを事前に取り決めておくと、パニックにならないですむと思います。
物流関係の仕事
※私の体験談と個人的な見解です。
※私が見た現場の話です。違ったシステムやルールの現場もあると思います。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
ASDの生徒と共にバイトをしてきました。
私は搬送作業、生徒はピッキング作業のグループに別れて行いました。
コミュニケーションがあまりいらない現場でした。コミュニケーションは苦手だけど、体力がある人にはお勧めの仕事です。
予想される困難
ASDの場合
何の説明もなしに急にグループに分けられ、作業が始まるのでパニックになる可能性がある。
スタッフによってやり方が統一されていないため、とても困り、固まってしまう可能性があります。
マイペースでやっていると、叱られることが多くなり、行き渋りが出てしまう。自分はこんな簡単なことも出来ないんだと、自尊心が低下してしまう。
ADHDやLDの場合
メモをとる暇もなく、説明されるため、記憶出来なくて困ると思います。
ピッキングで商品の見間違いを何度もしてしまうかもしれません。
成功(続けるため)に必要なこと
専門的な知識を持っているのは最低ラインなので、必ずしも成功するとは言えません。ただ、成功するには自己理解や環境づくりは必須です。
大まかに、言語性、社会性、環境と能力から考えてみたいと思います。
言語性
言語能力はそれほど必要ありませんでした。
社会性
質問ができる・伝えられる
搬送では、スタッフによってやり方が違うので、カゴ台車を運んで良いかを聞く必要があります。
また、商品に書かれた数字を読み上げて伝えなければいけません。
自分の意見を言える
休み時間の号令がない一向にない場合がありました。自分の健康を守る上でも言いに行くべきです。
人の動きを見て、今何をするべきかを常に考える
どのカゴ台車を運ぶべきか、どのタイミングで運ぶかを見極めるために、人の動きに注意を払う必要があります。
注意を受けても耐えられる
作業スピードを要求されることもあります。
WISCで処理速度が低いと、注意を受けることが多いと思います。理不尽と感じるでしょうが、我慢することが求められます。
ただ、我慢してばかりだと精神的に良くないので、作業の変更を求めるか、仕事に対する見切りを早くつけることが望ましいです。
環境と能力
カゴ台車を置く場所を視覚的に記す
カゴ台車を置く場所がはっきりとは明示されていないため、非常に分かりづらかったです。
床に赤い丸で囲んだりして、分かりやすくすると動きやすくなります。
自分の特性を理解してもらう
ネガティブな部分を言うより、搬送のように動き回る仕事をしたい等を伝えると、その仕事に割る振ってもらえるのではと思います。
空間認知能力
商品を積み上げる時、どういう風に積み上げるとバランスが良いかという能力が求められます。
この能力は特別な所で特別な訓練をするよりも、日常生活の場面で、買い物をしたり、服を畳んだりする機会が頻繁にあれば十分養えます。
視覚的細部の注意力
ピッキングの際、たくさんの商品名が書かれており、見間違うことがあります。
視機能に問題がある人や、ADHDのある人には、見間違うことが多いかもしれません。それでも間違わずに行うことを要求されるので、商品名を声に出しながらや、色ペンでチェック線を引きながら確認するといった、自分に合った方法を見つける必要があります。
体力
とにかく動き回ります。仕事が終わった頃には3万歩を軽く超えていましたので、いかに動き回ったか分かります。
疲れてくると、カゴ台車を商品に置いてある商品にぶつけそうになることが度々あったので、体力をつけることは必須です。
生徒の体験談と感想
ピッキングの際、シール書かれている商品を探すのは普通にできた。しかし、商品をどういう風に置けばバランスが良くなるか分からないため、大変困った。空間認知能力が必要だと痛感した。
指導者によって言うことが違うため、それぞれの部分をミックスした方法で作業をした。
単純作業だったため、体力よりも精神的にきつかった。他の人が平気そうにやっていたのが不思議だった。
ピッキングが終わった後、段ボール箱のフタを引きちぎる作業を行った。この作業は自分では出来ていたつもりだが、他の人と比べると遅かったようで、指導者に注意を受けたのが理不尽に感じた。何度も注意を受け続けたので、段々怒りが込み上げてきて、早く終わって欲しいと切に願うようになった。
注意を受けている時に、周りから「こいつ仕事ができない奴だ」と思われていないかと気になった。
作業は1回の説明で覚える必要があったが、何度指導者に質問しても怒られなかったのは良かったと思う。
自分には不向きな作業だったが、体力があれば続けられると思う。ただし、指導者の関わり方によってモチベーションが下がると思う。
イベントの設置と解体作業
※私の体験談と個人的な見解です。
※私が見た現場の話です。違ったシステムやルールの現場もあると思います。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
イベントは前日に終わっていたので、解体作業に参加しました。
ヘルメットをかぶり、安全靴を借りてから作業開始。
解体自体はしませんでしたが、解体された物の梱包や搬送作業が任されました。
最初の2時間はかなりしんどいですが、それを過ぎると達成感、やった感がとても感じられます。これがいベント設営なら、もっと感じられると思います。
予想される困難
ASDの場合
そこら中からねじ回しの音がするので、聴覚過敏がある人にはキツイかもしれません。
さも知っているでしょうという風にいきなり梱包を指示されるので、パニックになる可能性はあります。ただし、梱包方法を自分から聞けば教えてくれます。
「あそこ」「さっきの所」等、具体的な指示がないことが多いので、戸惑うと思われます。ただし、確認すれば教えてくれます。
体育会系独特の冗談で悪態をつかれることがあり、本気に捉えてショックを受けるかもしれません。
安全靴は普通の靴と感覚が違うので、不快に感じる可能性があります。
ADHDやLDの場合
指示を聞き間違い、注意を受ける(嫌味含む)機会が多いかもしれません。
色々な所で声や作業音が聞こえてくるので、注意が散漫になると思われます。
成功(続けるため)に必要なこと
専門的な知識は必須ですが、作業をしながら覚えられると思います。体育会系のノリに乗れることも、成功に必要だと思います。
大まかに、言語性、社会性、環境と能力から考えてみたいと思います。
言語性
高い言語力は求められませんが、専門的な言葉が飛び交うので、作業しながら理解していく必要があります。
社会性
指示された内容の確認をする
漠然とした指示が多いので、指示の内容を確認する作業が必須です。これが出来ないと、間違い、迷惑をかけてしまいます。
挨拶ができる
社会人としては基本です。
分からないことを自ら聞ける
分からない事だらけなので、自ら質問をしにいく力が必要です。今回は何度も質問する機会が多かったです。
「ありがとう」を言える
手伝うこともあれば、手伝われることもあります。その関係性が良好になるために、簡単な事(例:テープを貼る時に支えてくれた)でも言えることは大切です。
悪態をつかれても冗談と思う
全てのスタッフがそうではないですが、体育会系のノリで突然悪態をつかれることがあります。
ASDの人はなかなか難しいかもしれませんが、悪態=冗談というのをインプットしておくと、少しは流せるかもしれません。
助けをこう
一人でどうしても運べない物(例:鉄のかたまり)等を運ぶように指示されることがよくあります。その時にスタッフに手伝うようお願いをできないと、大変苦労するので、助けをこうスキルがいります。
水を飲みたいと伝える
簡単そうでしにくいです。何故なら、他のスタッフを見ていると、水を飲んでいるシーンをあまり見かけないからです。
そこで悪いと思い、我慢すると体調が悪くなるので、勇気を持って言えたいですね。
環境と能力
指示が分かりやすい人の近くに極力いる
指示が分かりにくい人もいれば、分かりやすい人もいるので、そういう人の近くに出来るだけいると良いです。
急な変更に対応できる
ASDの人は急な変更はとてもしんどいですが、時々違う作業を頼まれます。
ただ、回数的にはそれほどないので、対応は比較的しやすいと思われます。
耳栓をする
少しでも音を和らげるために、耳栓をするのも良いと思います。ただし、必ずスタッフに理由を伝えて、許可をとる必要があります。さもないと、誤解を生みます。
手の巧緻性
大きな物をラップや緩衝材で包む時に、手の器用さを求められます。これは私も苦労しました。
また、手の力はそれほど必要はないですが、手の持続力は求められます。
ま、いいか精神
ラップや緩衝材で包む時に丁寧にやれるにこしたことはないのですが、数が多いので一つ一つに時間をかけてはいられません。
大胆に作業をすることを求められます。そういう時に、「ま、いいか」と思える精神があると、作業効率が高まります。
体力
体力はかなり求められます。
工場で箱組み立て作業等
※私の体験談と個人的な見解です。
※私が見た現場の話です。違ったシステムやルールの現場もあると思います。
※ASD、ADHD、LDといっても、タイプは様々なので、全ての人に該当するわけではありません。
工場内では色々な役割があり、不良品の検品作業かと思いきや、某有名お菓子店のお菓子の箱組み立てを任されました。
作業自体は難しくないので、ある程度の巧緻性があれば出来ます。
予想される困難
ASDの場合
工場内は機械音でうるさいかと思いきや、意外とうるさくなく、私語が基本禁止なので、作業に集中しやすいと思います。
箱を組み立てたり、クッキーを箱に詰めたりといったいった簡単な作業なので、極端な不器用さでなければ出来ます。
ただし、作業スピードがとても早いです。ASDの人はマイペースなことが多いですが、それでは工場が回らないので、注意を受ける確率は高いと思います。必死になれば出来るかもしれませんが、これまで体験したことのないスピードを要求されるので、心身共に疲弊し、長続きは難しいでしょう。
ADHDやLDの場合
同じ作業をひたすら繰り返すので、注意を保つのが難しくなり、ミスを連発する可能性はあります。
同じ場所にずっと立ちながらの作業なので、多動のある人はその場で体を揺らしたり、屈伸を始めたりするかもしれません。それが許される現場なら良いですが、それが奇異な行動と映ったら、注意を受けるかもしれません。
同じ作業をずっとするなら、ADHD(特にHDD)タイプの人すぐに飽きます。そして苦痛でしかありません。
成功(続けるため)に必要なこと
専門的な知識は必要ないので出来ると思います。
やり続ける内に身体が勝手に作業をしてくれるので、無心になれれば、続けられるでしょう。
言語性
特に必要なし。指示を聞ければ問題なし。
社会性
指示された内容の確認をする
時々、やり方の微調整を求めてくることがあります。その時に指示された内容の確認をとることが求められます。
挨拶ができる
最低限、同じグループの人には挨拶をするのが当然です。
次の作業内容を自ら聞ける
自分が担当していた作業が終わる時があります。その時に、次は何をすれば良いか聞きに行く必要があります。
また、突っ立っていないで、自分から聞いてくるようにと会社の方に予め言われます。
「ありがとう」を言える
あまり言う場面は少ないですが、言うことで手伝ってもらえます。
さりげなくサポートをする
他の人が、自分の作業で少し手間取っている場合があります。その時に、さりげなくサポートをしてあげると好感度アップです。
「ありがとう」と言われるので、モチベーションが少し上がります。
環境と能力
面倒見のいい人の近くに極力いる
面倒見のいい人を探して、極力その人の側にいると、同じグループになる確率が高いと思われます。
急な変更に対応できる
ASDの人は急な変更はとてもしんどいですが、時々違う作業を頼まれます。もっとも、内容も難しくないので、やり始めたら出来ると思います。
耳栓をする
聴覚過敏がある人は耳栓があっても良いかもしれません。
手の巧緻性
箱を組み立てる作業は折り目があるので、まだ組み立てやすいのですが、折り紙や物作りが苦手な人にとっては、最初はとても苦戦するでしょう。
ま、いいか精神
正確性も求められますが、スピードも強く要求されます。少しぐらいのズレなら他の方がカバーしてくれるので、引き摺らないで頭を切り替える必要があります。
足のケア
その場にずっと立ちっぱなしなので、足が痛くなります。家に帰ったら、しっかりと足のケアを心掛ける必要があります。
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