発達障害と一人暮らし

一人暮らしを満喫していたひだち教室長の安藤です。

先日、鳥取で一人暮らしをしている生徒のマンションへ行ってきました。

生徒の親から「部屋が足の踏み場もない状態」と聞いたので、部屋の改善(掃除)をしにです。

親が改善しようとすると角が立ち、再び親子関係に亀裂が生じる可能性がありました。

そこで、親は私に要請をしてきたのです。

これまで一人暮らしを始めた生徒は複数人いますが、私は一人暮らしを始めた生徒達にはある共通点があることに気が付きました。

今回は、その共通点や一人暮らしのメリットデメリットについてお話ししたいと思います。

我が子に一人暮らしをして欲しいと考えている親が参考になれば幸いです。

※全ての発達障害のある人に当てはまるわけではありません。こういう人もいるんだという認識で読んでいただければと思います。

一人暮らしとグループホームはどっちが良い?

これまで私が関わってきた家庭は、将来一人暮らしを見据えて子育てをしている家庭が多いです。

しかし、我が子の成長具合を見て、グループホームという選択肢もありだなと、親は次第に思うようになります。

親は一人暮らしの方が良いのか、グループホームが良いのかの相談を私に持ち掛けてくることもあります。

どちらが良いかは、その子の状態次第かなと思いますが、当事者としては一人暮らしを望むケースが多いです。

何故なら、他の人達と暮らすことに対して抵抗感があるから。

昔、私は障害者用のグループホームの世話人として働いており、メリットとデメリットを見てきました。

では、一人暮らしの方が良いのかと言えば、同じようにメリットとデメリットがあります。

しかし一つだけ、グループホームと一人暮らしで決定的に違うのがあります。

それが親の覚悟

一人暮らしを始めた生徒全員、親がイメージしていた通りの生活を送っていません。

親は「なんで・・・?」「できるはずやん」という声をもらすばかり。

子供が一人暮らしをする場合、親は相当な覚悟を持って送り出す必要があるのだと思います。

一人暮らしのメリット

1人で生活することが苦に感じないタイプは、一人暮らし向きです。

一人暮らしのメリットは4つあります。

・自由

・親子関係が改善される

・叱られない

・気を遣う必要がないのでストレスが溜まりにくい

発達障害のある人は、親子関係がこじれているケースが多いです。

一人暮らしをすることで物理的に距離を置くので、親子関係が改善されるケースをよく見聞きします。

親のありがたみを再認識できるのが要因の一つでしょう。

部屋には誰にもいないので、自由気ままな生活を送れるのもストレスが溜まりにくい。

ある生徒は、部屋にいる時は裸族でいるそうです。家族がいるとまず出来ないことですね。

ストレスが溜まりにくい、親子関係が改善されるというのが大きなメリットと言えます。

一人暮らしのデメリット

デメリットはその人によりますが、共通点は結構あります。

下記のは、私が生徒達の暮らしぶりを見て気づいた共通項です。

・習慣になっていないことはしない

・経験したことがないことはしない

・誤学習が浮き彫りになる

・チャレンジ精神の低下

・1人では動かないことによる弊害

・般化の難しさが顕著にみられる

・自分の行動パターンから便利な方法を考えない

・虫や人の視線を気にしてカーテンを閉めっぱなし

・エアコンの冷房と除湿の違いを分かっていない

これまで一人暮らしをした生徒達は、全員自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されています。

部屋を綺麗にしている生徒もいれば、足の踏み場もない状態の生徒もいます。

誤学習が浮き彫りになると書いていますが、意外と気づきにくい。

こんな事例があります。

使用頻度の高い帽子にカビが生えているが、それがカビという認識をしていなかった。

食べ物にカビが生えるのは知っていたが、帽子にカビが生えるとは思っていなかったそうです。

カビが生えるだけならまだマシです。

それを被り続けていたために、後頭部を常にボリボリとかいている様子が見られました。

健康にも害を及ぼしていたので、私が発見して良かったと心の底から思います。

将来一人暮らしをするための準備とは?

将来我が子が一人暮らしをできるようになって欲しいと願う親は多いと思います。

掃除を定期的にしている、洗濯をして服を伸ばして干す、服を畳んで収納する。

買い物に行って料理をして食べる、部屋が常に整理されている。

親はこのようなイメージをしていることでしょう。

果たして、そのための準備を小さい頃からしているでしょうか?

たまに掃除を手伝ってもらっている、たまに洗濯物を畳んでいる、たまに料理をしている。

『たまに』という言葉が最初につくのをよく聞きます。

もしかしたら、定型発達の人はそれでも出来るかもしれません。

しかし、発達障害のある人は『たまに』だとしない。

というより、発達障害のある人は習慣化していない行動は、出来ない状態に陥っている事があるからです。

一人暮らしを始めるということは、大学に通ったり、仕事をしています。

慣れない環境下で日々神経をすり減らしており、習慣化していない行動はパワーがいるので出来ません。

それは誰もがそうだ!いつか慣れるだろう!と言う人はいますが、違います。

発達障害のある人は、定型発達の人にとっては他愛のない事にも神経をすり減らしています。

雑談やお茶くみ、過敏に人の視線を気にする人もいます。

多少慣れることはありますが、慣れないケースが多い。

慣れない生活行動+仕事(大学)+雑談等⇒パワー不足に陥り心が病む

といった図式が成り立つ可能性があります。

その可能性を少しでも減らすために、生活行動を習慣化しておくことが重要です。

習慣化が全て

先にも述べましたが、発達障害のある人は習慣化していないことはしません(できません)。

逆に言うと、習慣化に成功すると実行するので、理想的な一人暮らしができる可能性が高くなります。

習慣化するには3つの要素があります。

・子供が小さい内に役割を与える

・継続的な成功体験になっている

洗濯物を畳む係、食器の片付け係といった役割を与えると、習慣化しやすいです。

子供自身に畳んだ服を棚に綺麗にしまうといった事をさせていたら、毎回褒めることができます。

役割を与えて、褒めて、感謝することで、成功体験になります。

自己肯定感が高まるのにも繋がるので、良い事づくしです。

子供は拒否反応を示すかもしれませんが、最初は強制的でも良いです。

その代わり、しっかりと褒めて、感謝してください。いずれ意識が変わります。

親がやっている事(家事)を体験する

全ての子供は体験から学ぶものと私は思っています。

見て学べることはごく一部で、子供は実際体験してこそ学び、エピソード記憶として残ります。

特に発達障害のある子供は体験しないと学びにくいです。

例えば、親が普段やっている掃除を子供が見て学んでいるかと言えば、全ては学んでいません。

掃除の仕方は学んでいるが、どこに片付けるかまでは学んでいないこともあります。

実際、掃除機の片付け場所が分からなくて、親に叱られている生徒(19歳)を見かけたことがあります。

クリーニング屋やコインランドリーの利用方法が分からずに、私に質問をしてきた大学生もいました。

利用方法が分からないから質問をするのは素晴らしいことです。

それとは逆に、「利用したことがないから、もういいや」という生徒もいました。

必要だけど、経験がないから利用しないのです。

その結果、その生徒のベッドシーツなどは、パッと見て分かるほど汚れが目立っていました。

そうならないよう、実家暮らしの内に色々な体験をしておくことが大切ですね。

部屋の散らかり具合をマシにする方法

部屋の整理術についてテレビでもよく流れています。

確かに便利だな~と思いますが、部屋の整理が苦手なタイプの人には合いません。

色んな所に分けて収納するというのが面倒くさいと感じる人も多いです。

鳥取で一人暮らしをしている生徒もそういうタイプ。

そういうタイプには、

・部屋にいる時の行動範囲で物を配置する

・散らかしやすい物は大きな箱にひとまとめにする

私は整理指導をする前に、生徒の行動範囲を確認しました。

それを確認した上で、ゴミ箱や使用頻度の高い物を行動範囲内に配置しました。

洗った服は床にそのままドベっと置いてありました。

洗った服をハンガーにかけたり、種類によって分けて棚に入れる習慣が身に着かなかったようです。

そこで、シャツや靴下といった物を分けずに、ひとまとめに入れるボックスを購入。

洗濯した物は全てそこに入れるように指導しました。

このやり方が合うかは、人によります。

私の指導効果があるかどうかは一ヶ月後に判明するので、楽しみです。

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