合理的配慮の具体例

近年、合理的配慮という言葉を良く聞くと思います。

今回は発達障害のある子供に何故配慮が必要なのか、どういう配慮があると分かりやすいのかという話をしたいと思います。

学校での合理的配慮の仕方についてはよく事例として挙がると思うので、今回は外での活動中の事例をお話しします。

合理的配慮とは

障害のある人がない人と同じように、教育や仕事、その他社会生活において平等に参加できるよう、障害特性や困り感に合わせて行われる配慮のことです。

障害者差別解消法にのっとって、学校・行政・企業などの事業者に、合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになりました。

文部科学省が提案する合理的配慮

障害のある児童・生徒に対する教育を小中学校で行う場合には、合理的配慮は以下のが提案されています。

教員・支援員の人員確保、施設・設備の整備、個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮。

具体的にはクールダウンするための教室、視覚的支援物などがあります。

学校の現状

研修会や学校の先生達の生の声を聞くと、理想はたくさんあるが現状としては難しいことばかりとのこと。

特に人員確保が出来ないのは大きい要因。

そんな現状のため、専門的知識のない先生が特別支援学級の先生になることもよくあります。

各学校にはそれぞれのやり方があり、合理的配慮の名のもとに驚きの方針を打ち出している学校もありました。

私が聞いた中で一番驚いたのは、「特別支援学級に所属している生徒は、休み時間に外に出て遊んではいけない」というもの。

所属している生徒の数に対して、先生や支援員の数が足りず、安全を保障できないからだそうですが、これって本当に合理的配慮なのか?と言わざるを得ません。

外での実践例

当教室でも授業内で合理的配慮を行っています。

最近では、イラストを怖がる生徒のための配慮がその一例。>>>幼児とパズルの効果の記事

合理的配慮は屋内だけでなく、外においても行われるものです。

ただ、施設の整備といったことは不可能なので、その子に合った指導や関わり方が重要です。

先日、高校生でASDの生徒(A君)とサイクリングをしましたが、特性が要因となったトラブル(出来事)があり、それに対する私の指導方法(配慮)を書きたいと思います。

>>>夏のサイクリングの記事

特性故の行動

特性故生じたトラブル(出来事)はいくつかありました。

大まかすぎると理解がしにくい

サイクリングのコースは基本決まっていません。サイクリングコースは存在していますが、それを必ずしも通る必要はなく、「自由」です。

その「自由」がA君にとって不安にさせました。

普段は強気のタイプではありますが、不安が増したA君は何度も私にこの道で良いのかを訊いてきました。

一つ目の目的地へは地図上では真っすぐ進めば良いだけだったので、「この道をまっすぐ行けば良い」と伝えました。

すると、安心して訊いてくることはなくなったのですが、考えることなくひたすら真っすぐ進むようになりました。

真っすぐ進むだけなら私も特段気にしなかったのですが、明らかに前方に琵琶湖があり、その先は行き止まりという場所なのに、ギリギリになるまで真っすぐ進んだことは気になりました。

私「琵琶湖が見えて明らかに行き止まりなのに、なんでそんなギリギリになるまで止まらなかったん?」

A君「真っすぐ進めば良いって言ってたやん。そんなん気が付かんわ」

真っすぐ進めば良いという言葉のみを意識し過ぎて、周りの状況を見て判断するということが抜け落ちていたのです。

一つの事に集中し過ぎるというASDの特性が垣間見えた出来事です。

他にもこういうことがありました。

走っている途中で、道を曲がるポイントがあります。

地図を見せながら「この辺りで曲がろうか」と伝えてから走っていると、行き過ぎることがしばしばありました。

私「さっきから何回も行き過ぎているから気を付けてな」

A君「気を付けてるつもりやけど、できへんわ」

本人なりに努力はしてたようですが、出来ないようでした。

一見不注意のように思えますが、アセスメントではそのような傾向はなかったので、地図を理解できていなかったと思われます。

他人に対する意識の薄さ

サイクリング中は、私が後でA君は前を走ってもらいました。

暗黙のルールとして、前を走る人は後に人がついてきているかの確認をするというのがあります。

これまで他の生徒達とも走りましたが、前を走る生徒はたいてい後を気にしながら走りますが、A君の場合は全く後を振り返ることなく、先へ先へと進みました。

私「たまには止まって、後がついてきているか確認してくれへん?またはぐれるで。」

A君「そんなん知らんわ。無理やわ」

それほど難しい注文をしたわけではありませんが、本当に出来ないと感じました。

特性に配慮した指導

3つの出来事がありましたが、特性に配慮した指導は2種類。

数字や文字を使う

A君は大まかな指示や説明の理解が難しく、他人に対する意識が薄いです。

それらを理解しろ、他人をもっと意識しろというのは現段階では難しく、A君にとって配慮すべき部分です。

そこで、数学が得意、つまり数字に強いこだわり(意識しやすい)があるという特性を活かして、時間を提示しました。

さらに、継次処理型寄りのタイプで、具体物よりも文字の方が理解しやすい(意識がいきやすい)という認知特性なので、文字も使いました。

「琵琶湖博物館と書かれた案内板が見えたら止まろう」

「ここからここまでは20分ぐらいやから、20分走ったら止まろう」

「15分ごとに先生がついてきているか確認して」

といった感じで明確な時間等を伝えると、拒否的な反応はなく、「分かった」と素直に言いました。

その後、時計を何度も確認したり、案内板を探す様子が見られるようになりました。

合理的配慮はパズルのようなもの

合理的配慮はその子の障害特性や認知特性に配慮することで、その子が理解でき、行動に移せるようにするためのものです。

そのために子供の情報がたくさんあればあるほど良いですが、どの情報がその子供に有効かはやってみないと分かりません。

目隠しをした状態でパズルをしているような感覚です。

今回の事例では「数字や文字に強い関心がある」というピースが上手くはまりましたが、同じ数字でも距離に関しては効果がありませんでした。時間は時計があるから確認できるが、距離を確認できるものがなかったから効果がなかったのでしょう。A君にもスピードメーターを取り付けていたら効果があったに違いありません。

合理的配慮を行うために考えることは大切ですが、実践して見つけていくことはもっと大切だと私は考えます。

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