価値観を知る

発達障害のある人に支援をするにあたって、必ずアセスメントをとります。

生育歴、認知特性、学力、行動や社会性、人間関係、障害特性等を項目ごとに記入します。

私が知る範囲ですが、それらを記入する項目内に「価値観」という項目がない事が多いと気が付きました。

勿論、「その他」という項目に書こうと思えば書けますが、価値観について触れられているのを見た事がありません。

価値観とは

何に価値があると認めるかに関する考え方で、良いこと、悪いこと、楽しい、悲しい等を判断する時の根底となるものの見方です。

価値観は多様性があり、形成する方法も多岐に渡ります。

どういう教育を受けてきて、どういう環境にいたか。

どういう人達と出会い、どんな情報を得てきたか。

どんな成功体験や失敗体験をしてきてか。

挙げればきりがないです。

私はアセスメントをとる時、面談で子供はどういう価値観を持っていると思うかを保護者に尋ねることがあるのですが、意外と驚かれるケースが多いです。

分からないという答えが返ってくることがほとんどで、子供を知っていたつもりが、実はよくは知らなかったという事に気が付くキッカケになったりします。

価値観と発達障害

色々なタイプの発達障害の人達と関わっていると、当然価値観というのは千差万別です。

ただ、関わっていて感じるのは、価値観を周りに理解されないケースが多いということ。

そしてその価値観と認知特性と感情が上手くかみ合わない時に問題が生じるなと思うことが度々あります。

例えば、最近こんなことがありました。

価値観を押し付けた事で生じた問題行動事例

雨が降っている時のことです。

A君(高校生)は出かけようと準備していると、親に傘を持っていくように言われました。

A君は折りたたみ傘を持っているから、普通の傘はいらないと言います。

それでも親は「雨が降っているから普通の傘を持っていくように」言うと、A君はイライラしていきます。

最終的には親の言う通りに普通の傘を持っていくのですが、A君はイライラしたまま出発。

外に出たものの、A君は傘をささずに走って駅へ向かいました。

その様子を見た親は雨が降っているのに傘をささないのが理解できず、後々注意をしました。

駅へ向かう途中の歩道には、行く手を阻むようにゴミ袋がいくつも積まれていて、イライラしていたA君はそのゴミ袋を傘で何度も突き刺しました。

A君が忘れたスマホを届けに来た親は、その様子を見て注意しましたが、A君は「こいつが悪いんや」と言い、注意を受け入れませんでした。

価値観を受け入れる

他人の価値観を受け入れるというのは難しいことです。

しかし、今回紹介した事例では、A君の価値観を知り・受け入れていたら、問題行動が現れなかっただろうと推測されます。

「雨が降っているから普通の傘を持っていくように」という発言は、子供の事を思い過ぎるのと、親自身の価値観によるものです。

A君の折りたたみ傘で十分という判断を受け入れていたら、感情が揺さぶられることはなかったと思います。

雨の中を傘をささずに走って行ったというのは、一般的には理解が難しいことでしょうが、私は理解できました。

雨に濡れるのは嫌ですが、それ以上に傘をさして歩くというのが面倒くさく、駅に着いたらいちいち畳むのも面倒。

それならば、傘をささずに走って行けば傘を畳むことをしないで済むし、時間短縮にもなる。

自分に被害を被っても、一石二鳥と感じれば、そちらを優先するという価値観をA君も持っているのでしょう。

被害を被っているなら非合理的と思われるかもしれませんが、本人は納得している事なので、他人に迷惑をかけない限りは、そういった価値観は受け入れた方が良いと私は思います。

価値観に気が付いていない

社会的問題行動等が起きた時は、その人の認知特性や状態を考える事は重要ですが、それと同じぐらい、どういった価値観を持っているかという事を知る必要があります。

むしろ問題行動が起きる前に、知っておくべきですね。

ただ、自己理解が低い人は自分の価値観に気が付いていないケースもあるので、他者が普段の言動・行動からどういった価値観を持って行動しているのかを分析、推測していく必要があります。

その作業は親だけでは難しいことなので、専門的知識を持った方と話しながら見つけていった方が良いです。

価値観が分かると支援の仕方や幅が拡がるので、見つけていきたいですね。

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