ワンランク上のプラバン作り
手先が不器用なりに努力するひだち教室長の安藤です。
今回の記事は、ワンランク上のプラバン作りの様子について。
ワンランク上というタイトルは大げさかもしれませんが、参加者の年齢幅が広いので簡単な物にするわけにはいきません。
そんなワンランク上のプラバン作りをするメンバーはこちら!
A君(小学校中学年):明るく元気でムードメーカー。〈オリジナルカード製作中〉
Bちゃん(年中さん):本好き少女。不安先行タイプだが、経験すると飛躍的に伸びる。〈前回り苦戦中〉
Cさん(短大生):保育士目指すお姉さん。スヌーピーをこよなく愛する。〈身近な推しメンにキュンキュン〉
Dちゃん(小学校中学年):お喋りと運動が大好き。〈鬼滅の刃って面白い!〉
Contents
ワンランク上のプラバン作りをすることになった経緯
Cさんは保育士を目指していますが、物を作るという経験が少ないです。
保育士資格をとるのに物を作るスキルは必須ではありませんが、問題は資格をとってから。
経験上、子供と関わる仕事に就くなら、物作りのスキルはあった方が良いです。
私は物作りのスキルが無くて随分苦しんだ時期があるので、同じ轍を踏んで欲しくないという思いがキッカケです。
私は何を作ってもらおうかと、日々悩んでいました。
そんなある日、Bちゃんが
「プラバンを作りたい」
と言ってきたのです。
プラバンは多くの人が経験する製作物。しかも幼児も作れる手軽さ。
プラスチックの板(プラ板)に油性のマジックペンで絵を描き、それをオーブンで焼くというのが簡単な工作です。。
私も小学生の頃に散々作り、それはそれで楽しいです。
しかし、製作経験のある生徒達にわざわざひだち教室で簡単な物だけを作ってもらうのは果たして良いのだろうか?
いえ!良くありません!!
小学生やCさんにはスキルアップが必要です。
特にCさんは保育士を目指しているのだから、基本的な物と応用をきかした物を作れるスキルがあると便利です。
これは先輩保育士としての進言です(笑)
ワンランク上の意義
やるからには参加者全員に意義のある物でなければいけません。
そこで思いついたのが、ワンランク上のプラバン作り。
ネットには売りに出せるようなレベルの高いプラバンが紹介されていましたが、あまりにも難しいのでは子供達はついてこれません。
子供達が自宅でも作ることができ、友達に少し羨ましがられ、「教えて」と言われるレベルがワンランク上の定義です。
同じ物を作りますが、ねらいは人によって違います。
スキルアップのために
物作りスキルが高いと自信になるだけでなく、心の支えにもなります。
保育園などで子供に携わる仕事を始めると、必ずと言ってよいほど失敗をします。
そんな時に物作りスキルが高いと、周りからの評価を極力落とさないで済み、心の安定にも繋がります。
色々な遊びの経験
幼児はまだまだ知らないことも多く、学びの時期です。
プラバンという製作物を知ることで、遊びの幅が広がります。
Bちゃんは初めての事は不安になりやすいタイプですが、経験していると問題なく遊べます。
年齢的にまだ早い遊びでも、先取りで経験しておくことで、いざ学校等でやる時に参加しやすくなります。
自己肯定感を高める
普通のプラバンだと興味を示してもらいにくいですが、ワンランク上の作品なら興味を示す人はいます。
さりげなく作品をアピールすることで、友達やクラスメイトに羨ましがられ、「教えて」と言われる可能性があります。
自己肯定感が低い人は誰かに教えてと頼まれることは少ないです。
少ない故に、頼まれた時は物凄く嬉しく感じ、自己肯定感が高まります。
ワンランク上のプラバン作り開始!
今回は製作が得意なスタッフに指導をお願いし、私は生徒のフォローとビデオ撮影役にまわりました。
Cさんは物作りスキルを身に着ける必要があるので、リボンの型作りからスタート。
予めスタッフが作った見本を見せながら、どうすれば簡単にリボンの型を作れるか、ヒントを与えながら考えてもらいました。
A4サイズの紙に、幅3cm、横26cm、真ん中のクビレの部分は2cmの型を描きます。
次に幅2cm、横11~12cmのリボンのクビレ部分に巻くパーツを描きました。
紙に型を描いたらそれらをプラ板の下に敷いてなぞります。
そしてプラ板をハサミで切り、色塗りの工程へ。
そのままプラ板に色鉛筆で色を塗ることは出来ません。
色を塗るためには、ヤスリ(細目の♯1000)を使ってプラ板の表面をこするという工程が必要。
Cさんは本当にそんな事で色が塗れるのか半信半疑でしたが、プラ板に色を塗れた時は目を見開いて驚いていました。
Cさんはプラ板をオーブンの中に入れ、熱で変形していくプラ板の様子をじっと眺めて楽しんでいました。
私も10年以上ぶりにプラバンを作ったので、変形していくプラ板を眺めるのが楽しいというCさんの気持ちは、共感できます!
リボン製作は時間との勝負。
熱い内に両端を真ん中に折り曲げます。
リボンなのでふっくらさせる必要がありますが、軍手をしながらなので難儀します。
それからリボンのクビレ部分に別のパーツを取り付けます。
その際、髪留めのゴムも一緒に巻き込むのですが、軍手のせいで難易度が一気に高くなります。
Cさんは悪戦苦闘しながらも、見事完成することができました。
指輪はリボンと比べると簡単。
プラ板にパステルで色を塗り、好きなスヌーピーを油性のマジックペンで描きました。
一見、色が薄いように見えますが、焼くと色が濃くなります。
熱い内に、スティックのり(円柱状なら何でも良い)に巻きつけ、冷えて固まったらOK。
とても可愛いスヌーピー指輪が完成しました!
綺麗に仕上げるマル秘テクニック
私と奥さんが試作品を作った時、同じ工程を踏んでいるのに出来栄えが雲泥の差でした。
綺麗に仕上げるにはどういうコツがあるのか。それは2点あります。
・ヤスリを使ってプラ板の表面をこする工程を適当にせず、真っ白になるまでこする。
・油性のマジックペン、パステル、色鉛筆の特徴を把握して使い分ける。
表面をこする工程は地味で物凄く面倒くさいです。
飽きっぽい人や工作が苦手な人ほど適当にしがちですが、この工程が作品の出来栄えを大きく左右します。
油性のマジックペンはプラ板の上に色がのるので、輪郭をしっかり出したい時に使います。
パステルは指でこすると色を混ぜることができ、自分だけの色を出せます。
塗って焼くと淡い色が浮かび上がり、柔らかい感じを出したい時に適しています。
色鉛筆も淡い色ですが、パステルよりも濃い色が浮かび上がります。
塗っている時に色が見えるので、子供達にとっては塗ってる感があり、出来上がりのイメージがしやすい。
綺麗に仕上げたい方は、ぜひ参考に!
意外と簡単に作れるアクセサリー
午後からは小学生と幼児のグループ。
短大生の時とは違い、模型となる紙はこちらが用意。
それをなぞってもらいました。
A君はなぞっている時に上半身を少しそらした姿勢で描いていたので、
「ちゃんと座った方が綺麗に描けるで」
と言ったところ、
「この姿勢の方が描きやすいんやけどな~」
とA君はぼやきました。
よく見てみると、確かになぞれていました。
姿勢を正した方が字を綺麗に書ける、集中しやすくなる、落ち着くといった事が一般的に言われていますが、発達障害のある人の中には、それが当てはまらないことがあります。
はたから見て姿勢が悪いように思えても、その人にとっては書きやすかったり、集中しやすかったりします。
感覚というものはその人にしか分からないので、明らかに悪い結果が出ていない限り、自分の感覚を押し付けてはいけません。
『受容』が大切だと言いますが、生活においてこういうささいな部分を『受容』するというのは、意外と重要だったりします。
リボン製作は難易度が高めなので、Bちゃんは遅いだろうと予測していました。
ところが、一番に焼く工程に入ったのです。
A君もDちゃんも凝った柄をにしているから時間がかかっているとはいえ、それでもBちゃんは早かったです。
以前Bちゃんは色塗りと言えばピンクばかりを使っていたのに、黄色も使っていました。
こだわりが少し脱却しつつあるのかもしれません。
Cちゃんは鬼滅の刃の主人公が着ている服の柄を採用。
細かい作業ですが、集中力を発揮して塗り続けていました。
A君はポケモンシールドのエンブレム(?)。
男の子って感じの作品ですね。
ふと私が子供の時に剣を描いたのを思い出しました。
いつの時代も、剣と盾は男の子の憧れですね(笑)
Bちゃんはプラバン初体験。
オーブンにプラバンを入れるよう指示すると、
「怖い!」
と言って入れられませんでした。
そこで勇気づけを含めて、スタッフと一緒にプラ板を持ってオーブンの中に入れることに。
Bちゃんは一度経験したので不安が取り除かれ、その後は一人で入れられるようになりました。
Bちゃんもプラ板がクネクネ曲がる様子は非常に面白かったようで、目を輝かしながら見ている姿は可愛かったです。
プラバン製作経験のある小学生組もマジマジと見ていました。
焼けたかどうかの確認もありますが、プラバンは人を惹きつける不思議な魅力がありますね。
軍手をはめて、リボンが冷めるまでクビレ部分を押さえます。
軍手をはめても熱を完全に遮断できるわけではないので、幼児と作る時は注意が必要です。
リボンのクビレ部分に巻くプラ板を熱し、巻きつけて完成。
綺麗なオリジナルリボンの完成。
女の子は髪留めのゴムをくぐりつけていますが、男の子はキーホルダーにしました。
全体的に色が濃いのは、油性マジックペンでゴシゴシと塗り過ぎてしまったためです。
色鉛筆やパステルを併用していたら、もっと色鮮やかな色になっていたでしょう。
指輪も完成。
3人ともそれほど苦戦することなく出来ました。
ワンランク上のプラバン作りを体験した子供たち
皆満足げな表情でプラバン作りを終えました。
A君は気に入ったようで、さっそくカバンにつけていました。
こういうのを見ると、やって良かったと思えますね。
学校やその他の場所で、周りの人達はどういう反応を示してくれるのか期待です。
Dちゃんはプラバンの出来栄えを見てから、プラバンをカバンに入れていました。
Bちゃんはお母さんが迎えにくると、大はしゃぎしながら
「できた~!」
と誇らしそうに作品を見せていました。
お母さんも
「すごいね~!可愛く作れたね~!!」
と嬉しそうでした。
後日、Bちゃんのカバンにはお気に入りのプラバンがくくりつけられていました。
Cさんはワンランク上の物を作れたことが嬉しいというより驚きの方が勝っていて、作品をまじまじと眺めていました。
「作ってみてどうやった?」
と私が尋ねると、
「うん、良かった」
と小声でCさんは感想を述べました。
反応から察するに、まだ製作に対する苦手意識は取り除かれていません。
苦手意識がそう簡単に取り除かれることはないので予想通り。
しかし、プラバン作りで得た経験をバイト先の学童で活かせたその時、製作に対するモチベーションが高まることでしょう。
夏休みになったら長時間子供を預かると思うので、ワンランク上のプラバン作りのチャンスです!
ぜひやってほしいですね。
ひだち教室では、生徒の「やってみたい!」という気持ちを大切にしつつ、体験を通して生徒の知らない世界(今回ならワンランク上のプラバン作り方)を知ってもらっています。その体験によってスキル習得やモチベーションアップ、興味関心が広がるようサポートしています。
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