誤解されやすい人
発達障害のある人は、健常者と比べて誤解を受けやすいです。
知的に障害がない場合は特に誤解を受けやすいです。
誤解されやすい人の特徴
ADHDとASDとでは誤解のされ方が微妙に違ったりするので、その違いを事例をもとに紹介します。
これから書くことは、全てのADHD、ASDの人に該当するわけではありません。
ADHDの場合
ADHDは、不注意、多動性、衝動性といった3つの特性を中心とした障害です。
一般的に大人になるにつれて、その特性は薄まってくると言われていますが、無くなるわけではありません。
一見なんともなさそうに見えて、日常生活、仕事場等でその特性が発揮されることは多々あります。
発揮されることにより、良い面の誤解と悪い面の誤解というのが度々起きます。今回はそんな事例です。
行動によって誤解が変わる
ADHDのAさんは特性上色々な所に注意が分散しやすく、色々な仕事を任されると手際がとても悪くなります。
自分の手際の悪さにうんざりし、日々の仕事に不安を感じています。
周りからも出来ない人間だと思われだした頃に、ある仕事を任されました。
上司の善意による配慮かは分かりませんが、その仕事以外の事はやらせず、部屋の隅に机を設置して、Aさんが専念できる環境を整えてくれました。
窓際族?と一瞬思ってしまいますが、結果的にそれがAさんにとって能力を発揮されやすい環境になりました。
また、やるべき目標とその道筋が見えやすかったので、良い意味で特性が発揮され、物凄いスピードと根気強さが表出しました。
そのスピードと根気強さは健常者には到底真似できないもので、時間がかかると思われた仕事をあっという間に仕上げました。
そこから周りの目が変わり、実は優秀な人間なんだと思われるようになりました。
Aさんは評価が覆って嬉しい反面、複雑な気持ちもありました。誤解だと・・・。
自己肯定感が低いAさんは、環境がマッチすれば人並みには出来るが、決して優秀ではないという自己評価なのです。
特性によって仕事が出来ない人間だと誤解を受けていたのが、特性によって仕事が出来る人間だと誤解を受けだす。
良い面だろうと悪い面だろうと、誤解を受けているという意味では一緒なので、Aさんにとっては素直に喜べない事例でした。
ASDの場合
ASDは、コミュニケーションが苦手、人と良好な関係を築くのが苦手、想像しにくい(突発的な事に上手く対処できない)といった特性があります。
さらに、情報の捉え方や考え方が独特なこともあり、誤学習や予想外な判断をすることもしばしばあります。
今回は、B君がとった行動と予想外な判断をしたことによって、周りが誤解をしていたことに気が付いた事例です。
自分や周りが誤解していた
ASDのB君は知的には問題がない。というより、むしろ非常に高い部類で、教科学習関してはオール5に近かったりします。
そんなB君を含めた生徒達で横浜に行きました。
横浜と言えば中華街ということで、横浜中華街に行って食べ歩きをすることに。
B君は嬉しそうに肉まん等を食べ歩いていたのですが、小籠包で有名な店で事件(?)が起きました。
その店の前に行列が出来ており、5分程待たなくてはいけませんでした。
小籠包を食べたいのはB君だけだったので、他の生徒達は別の店へ向かいました。
私は他の生徒達についていき、列に並んでいるB君の様子を少し遠くから見守りました。
小籠包を受け取ったB君は立ち食いできる所まで行くと動きを止め、じっと小籠包を見つめ始めました。
そして30秒後、突然小籠包をパクっと犬食いを始めたのです。これには驚き、慌ててB君のもとへ駆け寄りました。
私「なんで犬食いをしたん?」
B君「箸がついていなかったから」
私「こういう料理で箸がついていないなんてことは普通はない。つけるのを忘れはったと思うで」
B君「箸がついていない店だと思った。どうしたら良いんですか?」
私「店の人に箸をくださいと言って貰うねん」
B君「あ~(なるほど)」
私も含めて周りの人達は、B君は成績が良いから、そういう突発的な事にも対処し、正しい判断が出来るものだと誤解(思い込み)していました。
学力と社会性はイコールではないと再確認できた出来事です。
それからというもの、私はB君に突発的なアクシデントが起きる度に、どういう判断をし、どういう行動をすることが正しいかを尋ねるようにしてします。
上記以外にもたくさん誤解されるようなエピソードがありますので、機会があれば書いていきたいと思います。
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