ストレス発散の旅
現代社会は仕事、人間関係、学習等、ストレスの原因となるものが溢れています。
そんな社会の中を生き抜くというのは、並大抵のことではありません。
発達障害のある人の中には、ストレスに対する感度が強くて、耐性が上手く培っていないという人がいます。
ストレス耐性が弱いと、イライラしたり、気分が落ち込んだり、普段は温厚なのに怒りやすくなったりします。
10月に行ったサイクリングの時に、温厚な大学生が些細なことで爆発(暴発)してしまったという出来事がありました。
集合した時からストレスで疲れている様子はありましたが、ここまでストレスが溜まっているとは思いもよりませんでした。
何かしら手を打つ必要がある。そう感じた私は、12月に二人っきりのストレス発散の旅をしてきました。
ストレス発散の方法
ストレス発散方法というのは人によって違います。
読書、ゲーム、会話、温泉、スポーツ等、多岐に渡ります。
今回一緒に行ったA君は、ストレスの原因が複雑かつ自分に合った発散方法というのが確立されていないので、余計にストレスが溜まっていました。
そこで、発散に焦点をおくのではなく、まずは全てのしがらみから解放される(忘れられる)環境を設けようと考え、一緒に旅行ということを提案しました。
旅行の行程
生徒にどこに行きたいかを尋ねると、「西に行きたい」という返答がかえってきました。
理由は何となくという直観的なものだったので、とりあえず山口県を目的地に設定。
日程は一泊二日なのか、二泊三日なのか、あえて決めませんでした。いくらでも付き合うという姿勢と意志を示すためです。
日程、観光地等を加味したプラン作りはA君に任せました。どんなプランを作るかを知るためです。
当日になるまで何の連絡もなかったので、ヤキモキはしましたが、A君は考えてきました。
プランを見ると、観光したい所は考えてきましたが、移動時間、移動距離、観光地での活動時間ということを考えていなかったので、日程は曖昧な状態。地図を見ずに予定を立てたそうです。
そこで急遽一緒に考えることにしました。目的を達成するためには、逆算して考える必要があります。
そのやり方を反応を見ながら教えていると、「そう考えるんですね」と驚いていました。
発達障害のある人の中には、計画を立てるのが苦手な人がいます。その多くは、逆算して考えるのが苦手だったりします。
健常の人は何気なく出来ますが、逆算して考えるというのは意外と高度で、色々な情報(例:時間や天候)を収集、選択、予測、統合、構築という工程があるので、一人では難しいのでしょう。
しかし、ある程度経験していけばパターン化していくので、苦手な事とはいえ、経験していくことは重要です。
一日目 岡山県
話し合いの末、山口県へ行くのは断念し、一日目は岡山城、倉敷美観地区で観光することになりました。
高速道路は使わないので、一般道をひたすら走ります。
車内では、スターウォーズエピソード8の不満、ジョーカー、メンインブラックといった映画の話で盛り上がり、現在上映しているスターウォーズを岡山県で観ようという話に。こういう自由なノリは良いですね。
刀剣の里と備前長船博物館。
岡山城までもう少しという所で、刀剣の里と備前長船刀剣博物館という非常に魅惑的な観光地があることが分かりました。
これもノリで寄りました。
詳しくは別の記事で書きますが、刀好きにはたまらない場所でした。
刀をつくっている様子も見られるので、勉強にもなります。
慈眼院。
刀にまつわる慈眼院というお寺が近隣にもあるので、行くのをお勧めします。
刀剣の里と慈眼院で意外と時間を要したので、急いで岡山城へ向かいました。
>>>備前長船刀剣博物館の記事
岡山城。
A君は二度目で、私は初めてです。黒色のお城で、小さいけど威厳があります。
小早川秀秋が城主ということに驚きました。
岡山城はサクっと見学してから、倉敷美観地区へ。
倉敷デニムストリート内の和蔵。
今回の旅行でA君がどうしても行きたかった場所、デニムストリート。
倉敷のデニムは他にはない品質とのこと。購入して、A君はホクホク顔でした。
美観地区の滞在時間は90分ほど。
駐車料金を精算しようとしたら、驚きの1650円。見たことのない金額が提示されて、目を疑ってしまいました。
確認していなかった私達が悪いのですが、一気にテンションが下がってしまいました。
倉敷にあるショッピングモール内で夕食を済ませ、映画館でスターウォーズを鑑賞。面白かったです。
翌日は出雲大社が目的地で、少しでも早く着けるよう、北にある道の駅で仮眠をとろうという話しになりました。
夜の山道は霧が発生し、街灯もないので非常に暗かったです。私達は「こわ~!!」と言いながらも、どこか楽し気でした。
車中泊は人生初。疲れていましたが、意外と楽しかったです。
ただ、深い眠りはできず、疲れはあまりとれませんでした。
道の駅から近くにある備中松山城は天空の城として有名で、朝になると一帯が雲海で覆われるそうです(条件が合えば)。
天空の城を期待して、備中松山城を一望できる展望台に向かうと、濃い霧が発生していて、見ることは叶いませんでした。
二日目 島根県
須佐神社。
出雲大社へ向かう途中、ヤマタノオロチを退治した須佐之男命が祀られている須佐神社を参拝しました。
パワースポットとしても有名なので、参拝することをお勧めします。
>>>須佐神社の記事
出雲大社。
出雲大社には13時頃に到着。やはり高速道路を使わないと時間がかかります。
お参りをする前に、出雲そばの老舗かねやで出雲そばを堪能しました。
出雲そば かねや。
事前に出雲そばは美味しくないと聞いていたので、全然期待していませんでした。
ところが、とても美味しかったのです。甘めのそばつゆは衝撃的な美味さで、蕎麦によく合っていました。
どうやら、同じ出雲そばでも、店によって美味しい・不味いというのがあるようです。
私達が入った店は当たりでした。
玉造温泉 ゆ~ゆ。
昨日はお風呂に入れなかったので、玉造温泉で入浴するのは楽しみでした。
ゆ~ゆは、UFOをイメージしているかのような建物で面白いです。
観光客向けというより、近隣住民向けの温泉施設でした。
入浴後、鳥取県の水木しげるロードへ向かう予定でしたが、既に17時を過ぎていたので諦めました。
A君はよほど残念に思ったようで、またリベンジしたいそうです。
三日目は京都北部にある丹後王国が目的地。
玉造から丹後王国までの距離は220キロ以上もあり、凄まじく遠いです。
100キロ過ぎたあたりで、再び道の駅で仮眠をとることになりました。
この夜は凄まじい雨と強風で、駐車場が沈むのではないかと不安になり、なかなか寝付けませんでした。
そんな不安をよそに、A君は就寝中。繊細なタイプだと思っていたのに、意外と図太い部分もあるんだと驚きました。
白兎神社。
道の駅のすぐ側には、因幡の白兎で有名な白兎神社があります。
A君は「出発する前に参拝したい」と言ってきたので、行くことに。真っ暗で、猛烈な雨風の中の参拝は人生初です。
お参りを済ませたA君は「神様に怒られてるんちゃうかな」と不安がっていました。
三日目 京都府北部(丹後地方)
食のみやこ 丹後王国。
食のみやこと言うぐらいだから、食べ物屋がたくさんある施設だと思っていたら違いました。
大阪のハーベストの丘、滋賀のブルーメの丘のような、生き物の触れあいや色んな体験が売りの施設でした。
A君は羊に餌を上げながら「僕って動物に触れるのが好きなんですね」と、呟いていました。
もっと触りまくれる施設を私は知っているので、また連れて行ければと思います。
>>>丹後王国の記事
日本の鬼の交流博物館。
最後に訪れた観光スポットは、鬼にまつわる博物館。
日本だけでなく、世界各地の鬼にまつわるお面等が展示されていました。
福知山市の山奥にあり、まさにディープスポット。酒呑童子が暮らしていた地でもあるので、雰囲気があります。
>>>鬼の交流博物館の記事
ストレス発散と成長
今回の旅行で、A君はストレス発散をしつつ、成長も実感できたようです。
車のナビが変な道ばかり案内する(私は把握していた)ので、途中からA君に地図を見ながら案内をしてもらいました。
何度も道を間違ったり、曲がり角を行き過ぎたりしましたが、その都度A君は修正を図ろうと頭をフル回転。
柔軟な対応が求められる状況を何度も経験していく内に、「間違っても修正を図れることが分かった」「修正を図れるようになった」と自信と成長を感じていました。
今回の旅行の目的はストレス発散にありましたが、教育機関のひだち教室としては成長もして欲しかったので、ねらい通りの結果です。
A君はまた似たような活動をしたいと言っていたので、機会があればまたしたいと思います。
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