責任を負うことで社会性が養われる

責任を乗り越えた時に成長が促されると思っているひだち教室長の安藤です。

岡山県での宿泊活動は、全行程を大学生のF君に考えてもらいました。

つまりそれは、F君に責任を負ってもらうというもの。

最終的な責任は私にありますが、活動を円滑に進むかはF君次第。

今回は、F君の苦悩と活動時に起きた出来事を書きたいと思います。

責任が成長に繋がる

F君が考えることは下記のこと。

・活動場所の選定

・行き方を調べる

・宿を探す

・活動内容を考える

・持ち物や所持金を決める

F君は簡単に決められる。

そう思っていたそうです。

いざ始めて見ると、F君は凄く難しいことに気づきました。

・皆が楽しめる場所や内容って何?

・条件に見合った宿がなかなか見つからない

・所持金をいくらに設定すればいいか決められない

・責任の重圧が強くて不安に苛まれる

F君の保護者曰く、F君は本当に苦悩していたそうです。

F君はこれほど大きな責任を負うのは、人生初なのでしょう。

人間は責任を負い、それを乗り越えた時に成長します。

仕事はまさにその連続で、成長していきます。

大学を卒業するF君には必要な経験だと思います。

私がF君を指名したのには、そんな理由もありました。

F君は時折私に電話をけてきて、アドバイスを求めてきました。

F君の中では、こうした方が良いという考えはありました。

しかし、他の人達が同じ考えに至るとは限らない。

だから自信を持てず、決断が出来なかったようです。

私はアドバイスだけに留め、決断はF君に任せました。

行程表が完成した頃には、ある程度腹をくくっている感じがありました。

徹底的に話し合いをして決めていく

これまでの活動で、F君は私が活動時に大切にしていることを知っています。

・話し合いを重要視している

・決断力

・自己責任を負う

そのため、F君は極力話し合いの機会を沢山作ろうと考えました。

昼食の場所、寄り道、夕食と入浴どちらを先に済ませるか等の話し合い。

話し合いの場所は多岐にわたりましたが、特に電車内が多かったです。

話し合いはF君を中心に実施されました。

その間私は一切アドバイスをしません。

生徒達の間で折り合いがつくまで待ちました。

話し合いが90分間も続くこともありました。

疲れ切っているかと思いきや、全員過集中していたため、疲れた様子はありません。

むしろ、いつの間にか90分も経過していることに生徒達は驚いていました。

宿を決めた者にしか分からない気持ち

宿を決める時の条件は以下になっています。

・宿泊代が安い

・WIFIがついている

F君が探した宿は、その条件を満たしていました。

満たしていたが、それでも結構な古さを感じる宿です。

綺麗とも言い難い。

そんな宿のため、トラブルが発生しました。

贅沢思考は社会性にも影響が出てくる

ひだち教室は基本的に貧乏旅行。

必然的に安い宿を選択します。

安い宿にするには理由があります。

それは、価値基準を低く設定すること。

価値基準が高い、つまり贅沢思考は社会性にも影響が出ます。

今回のトラブルはまさに贅沢思考がもたらした出来事です。

宿泊活動初参加で贅沢思考のあるS君は、凄い勢いで宿を批判しました。

贅沢思考のない生徒達は現状を受け入れていましたが、S君は違います。

これでもかというぐらいの悪態を、悪気なく何度もつきます。

そのため、部屋の雰囲気は一時的に凄く悪くなりました。

贅沢思考のデメリットは以下のようなことが挙げられます。

・現状を受け入れられる器が小さくなる

・他者の価値観を認めにくくなる

・場の雰囲気を悪くする

・切れやすくなる

社会性に影響が出るのが分かりますね。

贅沢思考になるのは大人になってからでも遅くはありません。

子供の内は価値基準を低くすることで、社会性にも好影響をもたらします。

家族旅行で贅沢するのは構いません。

家族以外での旅行で、真逆の価値観に触れること。

それが社会性を高め、人間性を高めることにも繋がります。

申し訳ない気持ちでいっぱい

S君が宿の悪態をつく度に、F君は物凄く凹んでいました。

F君は若干泣きそうな表情もしていました。

そこで私は、F君とS君それぞれに話し合いの機会を作ることにしました。

私と二人っきりになったF君は、開口一番にこのようなことを言っていました。

F君:「申し訳ない気持ちでいっぱいやわ」「こんな宿を選んだ自分が腹立つ」

F君は怒っているのではありません。

自分が選んだ宿によってS君を悲しませてしまった。

そんな自分にも腹が立っていたのです。

責任を負って宿を決めた経験のある者にしか分からない気持ち。

だから、私もF君の気持ちは理解できます。

苦しいですが、F君は素晴らしい経験をしたと思います。

こういう経験を積んでいくことで、判断能力が育まれていくからです。

また、判断能力が育まれると同時に、社会性も養われていきます。

責任を負うというのは本当に大事ですね。

相手の気持ちを理解する機会

S君との話し合いでは、F君の気持ちについて伝えました。

S君:「そうなん!?」

S君は予想だにしてなかったようで、目を大きくして驚きました。

S君は自分の悪態によってF君を傷つけてしまったと知り、反省していました。

ASD(自閉症スペクトラム障害)のある人は、相手の気持ちを理解するのが苦手。

苦手だからこそ、経験を通して学んでいくしかありません。

S君にとって、今回の件は大きな学びになったことでしょう。

印象的に、S君は同じ過ちを繰り返さないと思います。

それほど心に残る出来事でした。

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