サイクリングによる効果はダイエットだけじゃない!
前回は発達障害と自転車についてお話しました。
今回は、発達障害の専門家が感じた自転車の効果について書きたいと思います。
Contents
サイクリングの効果の紹介
自転車ダイエットでカロリー消費
誰もが思いつく効果です。短い距離ではそれほど効果はありませんが、遠出をするなら効果があります。
走るのと比べて自転車は疲労を感じにくく、遠くまで行けるのがメリットの一つです。
景色が変わるので飽きずに漕ぎ続けることができ、目的地に着いても意外と疲労感を感じないなんてことはよくあります。
それなのに予想以上にカロリーが消費されているので、お得感が大きいです。
だからといって、油断すると大変な目にあいます。私は何度か体重が増えたことがあります。
その原因はスポーツ飲料です。
夏場は特に水分と塩分が体内から多く排出されて熱中症の危険性が高まるので、予防としてスポーツ飲料を短時間で2、3本飲み干しました。
スポーツ飲料は水分と塩分だけでなく、糖分もたっぷり入っています。そのため、サイクリングを終えた後に体重を量ると1、2キロ増えました。
ダイエット効果を望むなら、スポーツ飲料は控えた方が良いです。塩分が欲しいなら、塩分チャージ等で摂取することをお勧めします。
運動で健康になる
自転車は足の筋肉がつくだけでなく、腰回りの筋肉もつきます。一定の姿勢を保持し続けなければいけないためです。
また、下半身以外の筋力もつきます。
バランスを保つために、腕や上半身を使い姿勢も保持し続けなければいけないからです。
全身が鍛えられるので、健康な体にもなります。サイクリングをされる方がスラっとしている人が多いのはこういった理由だと思います。
ただ気を付けなければいけないのは、長時間同じ姿勢でいると逆に腰を痛めるので、腰痛持ちの方は時折ストレッチをする事を心掛けましょう。
私みたいに、年に数回程度しかサイクリングをしないならあまり意味がないので、健康を目的とするなら定期的にやる方が良いです。
発達障害のある人にサイクリングを勧める理由
時間をかけて練習する必要がない
自転車に乗ることは出来ることなので、特別練習することも、特別頑張る必要もありません。
学校生活等で頑張り過ぎて疲れている人にとっては、特別努力がいらないということは大きなメリットです。
ASDのある人はイメージ力の弱さから、新しい事になかなかチャレンジできない事が多いですが、サイクリングの場合はイメージがつきやすいので、やってみようと思いやすいです。
ASDのある我が子に何か運動をやって欲しいと願うなら、サイクリングを提案してみるもの良いと思います。
毎日続けなくても身体は鍛えられている
ダイエットや健康という観点からでは、出来れば毎日続けることが理想ですが、そうでないのなら無理してやる必要はありません。
毎日でなくても、十分身体は鍛えられています。実際、それが実感できる出来事がありました。
同じぐらいの体力である私と生徒(大学生)が同時期にサイクリングを始めました。
1回目は同じようにすぐにバテバテになりましたが、3回目あたりですごい差がつくようになりました。
実は生徒のサイクリングの回数が私より1回多かったのです。私は年間で3回、生徒は年間で4回。
たった1回と思うかもしれませんが、その1回ですごい差がつきました。
これには生徒自身も驚いていました。毎日続けなくても身体の芯は鍛えられているのです。
コミュニケーションが苦手な人にも続けやすい
サイクリングはこぎ続けることが大半なので、コミュニケーションが苦手でも、最小限の言葉を交わすだけで、分かり合えます。
分かり合えるということは、お互いの共感性が高まるということ。
共感性が高まるとコミュニケーションもとりやすくなり、自然と会話が増え、言語能力も自然と高まります。
会話をする機会は休憩の時ぐらいですが、お互い疲れているなら会話をあまりしないのが普通ですし、会話をしても現在の状況やサイクリング中に見聞きした内容が多いです。
そのため、コミュニケーションが苦手な人でも続けやすいスポーツです。
達成感と共感性が強く残る
誰かと一緒にサイクリングをした場合、同じ目標に向かうのでゴールした時は達成感と共に、強い共感をお互い感じられます。
私の経験上、苦労すればするほど大きな共感を感じます。
達成感はゴールした時にも感じられますが、一週間後ぐらいに、じわじわと強い達成感を感じることもあります。
このじわじわと来る感じは不思議な感覚です。この感覚が、次のサイクリングのモチベーションになります。
中学生の生徒達とサイクリングをしてから、後日感想を聞くと、達成感というのはピンときていませんでしたが、最後まで出来て楽しかったという気持ちが徐々に出てきたそうです。心の中に何かが芽生えるようですね。
社会性を養う機会になる
サイクリングは社会性を養う機会にもなります。
集団でサイクリングをする時は、仲間の状況を気にかける、自分勝手にしないで仲間のスピードに合わせる、後から車が来たのを伝達する等、社会性を求められる場面があります。求められるといっても、それほど高度なものではありません。
そのため、人と上手く関われたという成功体験を積むことができ、人と関わる土台を構築しやすいです。
ただし、指導者側が意識して社会性を養えるような状況を作り上げないと、養うことは難しいです。
世の中を知ることができる
ASDの人は興味の範囲が狭いことが多く、それ故世の中の事を知らないで育つということは度々あります。
子供が大きくなるにつれてその弊害が顕著に表れ、保護者の心配案件の一つによく上がります。
特に弊害として表れるのが、人との会話です。興味のある事しか知らないので、会話が始まらない、続かないことがよくあります。
サイクリングはそういった部分を補完するのに適しています。遠くに行くことで、色々な土地、地域、食べ物等を知ることができ、それが会話のネタになるので、会話が成立します。体験したことを話すので、相手は興味を持って聞いてくれます。
また、学校で習った知識が現実と結びつきます。
実際あった例として、「琵琶湖」という漢字を書けるが、琵琶湖が湖であるということを知らない生徒がいました。
字が先行していて、概念まで結びついていなかったパターンです。
その生徒は、サイクリング活動を通して「琵琶湖」は「湖」であるという事を知ることができました。
サイクリングは身体だけでなく、学習にも好影響を及ぼします。
ADHDのある人はもともと色々な刺激に反応しやすく、健常の人よりも多くの情報を得ることができるので、知識欲を満たすことができます。
また、ADHDの中でもHDDタイプ(よく動くタイプ)はその特性をいかんなく、違和感なく発揮できるので、周りから尊敬の眼差しで見られる可能性が高いです。
自己肯定感が高まる
発達障害のある人は周りから責められたり、けなされたり、嫌われたりして、自己肯定感が下がるケースが多いです。
こんな自分は嫌いだ、何をしてもどうせ上手くいかないといった思いが頭の中に常にあるため、言葉でどんだけ説明しても通用しません。
何かを体験し、成し遂げて初めて自分を受け入れられると思います。では、何を体験し、成し遂げるか。
それは人によって変わるのでしょうが、私はびわいち(琵琶湖一周)を強く勧めます。
一緒にびわいちをした生徒は、びわいちで体験した事を友人・知人に話したら、すごく驚かれ、尊敬されたそうです。
すると、自己肯定感が高まるだけでなく、価値観も変わり、生活スタイルも一変しました。
サイクリング用の自転車を購入し、心身に余裕がある時は1人又は友人とサイクリングをするようになったのです。
一時は酷い鬱状態でしたが、自己肯定感が高まったことにより、酷い落ち込みはかなり減少しました。
発達障害のある子供が自然と自転車で遠出をするようになったというお話は時折聞きますが、一人でやっている事が多いです。
そのため、社会性を養うという面を見ると難しいままです。正直勿体ないなと思ったりします。
そこで、当教室の新しいプログラムとして、SST(ソーシャルスキルトレーニング)特化型のサイクリングを立案中です。
来年実施する予定ですので、実施しましたらご報告します。
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