ディクシットは名作ボードゲーム

近年、テレビゲームにはない、アナログゲームならではの有効性というのを見直されるようになり、テレビでも取り上げられるようになっています。

再び流行しつつあるようですが、あまりにも種類が多すぎて、どれをすれば良いか迷う人は多いと思います。

ルールが難解なゲームもあるので、結局は昔やったことのあるゲームに手を出す人もいるでしょう。

そんな人達におすすめしたいゲームが、『ディクシット』というゲームです。

絶対後悔しなくて、いくつになっても楽しめる、そんなゲームです。

今回の記事は専門的な視点を交えながら、『ディクシット』ご紹介したいと思います。

年間大賞を受賞したディクシット(dixit)とは

2010年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞したゲームで、コミュニケーション・ボードゲームのブームを世界中に巻き起こした名作ゲームです。

ルールはいたってシンプル。自分が出したカード(イラスト)を当ててもらうカードゲームで、対象年齢は8歳からとなっています。

8歳からとなっていますが、経験上、サポートの仕方次第で年中ぐらいでも出来ます。

プレイ人数は3人~6人ですが、工夫次第で2人でも出来ます(例:無作為にカードを選んで伏せた状態でテーブルに置く)。

とはいえ、一番盛り上がるのは6人。

ゲームプレイ時間は30分程度で終わりますが、だいたい50分はかかります。というのも、面白すぎて会話が盛り上がるからです。

ホビージャパンから販売されていて、価格は4500円と少し高め。

しかし、満足度が高く、何度もしたいと思えるゲームなので、むしろお買い得です。

おすすめポイント

『ディクシット』は、当教室のソーシャルスキルトレーニングでもよく使うゲームで、コミュニケーションツールとしても非常に有効です。

コミュニケーション・ボードゲームと銘打っていますが、単なるコミュニケーションゲームではありません。

生徒達とプレイしていると、色々な効果が見られ、非常に有能なゲームであると感じます。

老若男女関係なく、万人受けするゲームですが、発達障害のある人にこそやって欲しいと個人的には思います。

何故そう思うのか、おすすめポイントがいくつもあります。

カード自体がアイスブレーキングとしての効果あり

子供は仲良くなるために、大人は仕事が円滑にいくようにチームビルディングとしてゲームを活用しますが、初対面は子供だろうと大人だろうと、緊張感のある空気が流れます。

その空気を打ち消すためにアイスブレーキングは必須で、『ディクシット』は有効な手立てです。

カードには、不気味さと可愛さが混在したイラストが描かれていて、一度見ると忘れられません。あまりにも特徴のある画風なため、何度見ても思わず笑ってしまい、自然と会話が弾むのを何度も見てきました。

イラストを当てると言っても、全員に当てられたら逆に得点が入らないので、相手に通じるか通じないかの微妙なラインでヒント(お題)を言う必要があります。ヒントの出し方はその人の感じ方やイメージ力によって違い、その違いが楽しさの一つでもあります。

慣れてくると、とんでもない発想を閃く人(特に子供)が出てきます。すると、「なんでやね~ん」「そんなヒントで分かるか~」「そうきたか!?」といった言葉が笑い声と共に飛び交います。本気で笑えるので、心の距離が近づくのを感じます。

また、ゲーム自体は参加者の性格や価値観といった部分が垣間見え、その人となりを知ることが出来るので、終わる頃には安心感のある雰囲気が漂っていることに気が付くでしょう。

感じ方が違うのが面白い

発達障害のある人の中には、独特な感性を持ち合わせている人がいます。

その独特な感性は環境(人含む)によっては強みにもなり、弱みにもなりえます。

人と仲良くなるキッカケになることもあれば、人が離れていくキッカケにもなるのが最たる例です。

『ディクシット』は前者で、「何故そのイラストからそれが繋がるの?」という独特な感性が活かされます。

驚きと笑いになるので、仲良くなるキッカケになります。実際、そういう場面をたくさん見てきました。

存在を肯定されたと感じる

自分の感じたことをヒントとして出し、その結果当ててもらえると、不思議なことに自分の存在を肯定してくれたと感じます。

正解した側は口々に「俺もそう思ったわ」と言うので、それを聞いていると嬉しくなります。

自己肯定感が低い人は一層嬉しく感じので、自己肯定感が高まる効果があります。

コミュニケーションが苦手でも遊べる

ひだち教室にはコミュニケーションが苦手な生徒もいます。

コミュニケーションが苦手なタイプは、言葉を交わす必要のあるゲームは消極的になりがちですが、『ディクシット』は別です。

ヒント(お題)を出す側は最低限の言葉(例:ドキドキする絵)だけですむので、自信を持って参加しやすく、最低限の言葉だけなのにコミュニケーションが活発に展開するので楽しく遊べます。

豊かな言葉(特に表現力)を学べる

言語理解が低い人は、語彙数が少ない、言葉の概念が上手く入っていないことが多いです。

言葉を学ぶために言葉のプリント等を使って言葉を学びますが、パターン化されがちで、会話をしていてもお固い印象を持ちます。

『ディクシット』もパターン化することも出来ますが、一人でも発想力の豊かな人がいれば、パターンは崩れていきます。

経験上、ADHDのように落ち着きのないタイプがいるとパターン崩しが起きやすいです。

そうすると色々な言葉が飛び交うようになるので、自然と語彙数が増え、多種多様な表現方法が耳に入っていき、面白おかしく言葉を学べます。

敗者のいないゲーム

得点によって順位を決めるゲームではありますが、このゲームを終えた時に悔しがる人を見たことがありません。

むしろ、一緒に楽しめた、自分に共感してもらえたという喜びが強く残るので、皆一様に笑顔です。

色々なアナログゲームをしてきましたが、勝敗を決めるゲームで敗者がいないと感じるのは、現時点では『ディクシット』しか見た事がありません。

発達障害のある人の中には、勝ち負けに強くこだわるタイプがいますが、そんなタイプの人も最後まで楽しんで出来るというのは、大きなメリットだと思います。

楽しく終えるコツ

順位を黒板等に記すと物凄く悔しがるので、黒板に書かず、口頭によっての発表(一位のみ)が良いでしょう。

ソーシャルスキルトレーニングやレクリエーションなどで使う場合は、周りの大人(先生や支援者等)が、共感した・共感してもらえた事による楽しさや嬉しさに、子供達の意識がいくような声かけをして欲しいです。

すると、「またやりたい!」と言い出します。

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