漢字の勉強方法~読み実践編~

漢字を書く機会が減っているひだち教室長の安藤です。

今回は漢字のお話しです。

長年特別支援教育の世界に携わっていると、漢字を苦手としている子供はよく見かけます。

漢字は日常生活に深い関わりがあるので、ほっておくわけにはいきません。

特に、小学3年生までの漢字は最低限読めるようにしておいた方が良いと言われています。

日常生活で頻繁に使われるのが、小学1年~3年に学ぶ漢字が多いからです。

原因と勉強方法

漢字を覚えられないのは、単なる努力不足と捉えるのはあまり良くありません。

原因が必ずあります。

これまで私は、原因と生徒の特性を加味して指導してきました。

今回はその一例を記述したいと思います。

学習しにくい原因

自分に合っていない勉強方法を強制されている子供は多い。

学校では一律に何度も書いて覚えさせる方法をとっています。

その方法で覚えられれば問題はありません。

しかし、発達障害の子供は能力に偏りがあり、その方法が合わないことが多いです。

また、勉強方法以外の部分で学びにくさもあります。

漢字に興味を持てない

発達障害の子供は、早い段階で文字に興味を持ち、覚えることも早い。

特にASD(自閉症スペクトラム障害)の子供は早いことが多い。

2歳ぐらいで平仮名を覚えたなんてこともよく聞きます。

そういうタイプは漢字にも興味を持つことが多いです。

しかし、中には漢字だけは興味を示さないという子供もいます。

何故そうなるかは分かりません。

仮説として、漢字は平仮名やカタカナよりも画数が多い。

読み方も一つではないから、頭が混乱してしまうから興味を持ちにくい。

視機能に問題がある

発達障害の子供は視機能に問題を抱えているケースが少なくない。

視機能に問題があると、漢字を上手く認識しにくかったりします。

実際、私が関わった生徒達は視機能に問題があるケースがよくありました。

苦手意識を抱えている

漢字をなかなか覚えられず、苦手意識を抱えてしまう子供もいます。

宿題で何度も漢字を書かされる。

泣きながら努力しているのに、努力が実りにくい。

苦手意識を抱えないわけがありません。

誰もが経験していると思いますが、苦手意識があると記憶しにくい。

苦手意識を取り除く作業というのも、漢字習得には必要ですね。

漢字の勉強方法

私が実際行った漢字指導の事例をお話します。

【小学校5年生の事例】

この生徒は平仮名、カタカナは問題なく習得しています。

しかし、漢字だけは興味を示さず、覚えられませんでした。

そこで、私は現状の分析をした上でどうやったら漢字に興味を持てるようになるかを考えました。

現状分析

授業や宿題で書き写してきましたが、それは効果がなかったようです。

ということは、書き写して覚えるタイプではない。

次に、平仮名等はどうやって覚えてきたかを分析。

保護者は勝手に覚えたというが、色々突っ込んで質問していくと、詳細がはっきりしました。

興味のある本やビデオなどを見て覚えた。

どうやら、絵と文字が一緒に提示されていると覚えやすいようです。

何に興味を持っているか

生徒は興味がコロコロ変わるタイプ。

現在興味を持っていることを保護者に聞くと、妖怪ウォッチということが分かりました。

そこで、手作り漢字ノートを作成して指導しました。

妖怪ウォッチのシールを貼って、吹き出しを書いてそのキャラが喋っているようにしました。

喋り口調は似せるようにしましたが、話す内容はまず言わないことです(笑)

回答を書くのではなく、選択式にし、書く負担を減らしました。

答えが書いてあるだけなら達成感は得にくい。

選択式にすることで自分で選んで正解したという達成感を得られる。

また、ゲーム感覚もあって楽しいです。

予想通り食いつきが良く、漢字に興味を示すようになりました。

数ヶ月この形式でやり、漢字に慣れたところで次のステップに行きました。

楽をしましょう

食いつきがいいからといって、この形式でずっとやるのは現実的ではない。

指導者側の負担はとても大きく、はっきり言って長続きしません。

効果があり、指導者側も楽ができる指導方法に以降できることを考えるべきだと私は思います。

生徒は漢字イラストカードに興味を持つようになりました。

実は、手作りノートをする前にこのカードを使用したことがあります。

その時は興味を持たず、覚えようという姿勢は見られませんでした。

興味を持ち始めた今なら興味を持てるのではと思い、再チャレンジしたら、案の定興味を持ちました。

手作りノートに出てきた漢字が出てくるので親しみがあり、面白いと感じるようになったのでしょう。

特に準備もいらないので、私は非常に楽になりました。

効果もしっかりあります。

現在、小学校2年生の漢字を8割方覚えました。

今は読みを重視しているのですが、いずれは書きもやっていきたいと思っています。

勉強方法を制限しない

よく保護者から、勉強なのだからゲームを利用して学ぶのはおかしいという発言を耳にします。

その大人の価値観は子供を苦しめるだけです。

ゲームだろうがYouTubeだろうが、簡単に楽に習得できれば、これほど楽しい勉強はないと思います。

大人の価値観を振り払って、子供にとって学びやすい環境を作って頂ければと日々思います。

お勧めアプリとゲーム

スマホのアプリを見ていると、なぞり書き、穴埋め、パズル系統が多いです。

私が理想とするアプリは現時点では見つかっていないので、もし見つけたらまた書きます。

スマホの性能上なぞり書きが有効なのは分かります。

ただ、なぞり書きで学べるタイプなら、宿題の書き写しで苦労することはないと思います。

漢字の読みを覚えやすいゲームはRPG(例:ドラクエ)です。

RPGをやっている子供は、漢字の読みが強い傾向にあります。

私自身も、RPGに随分恩恵を受けた人間です。

学習ドリル

読み書きが苦手な子供への〈漢字〉支援ワーク

著者:村井 敏弘 中尾 和人 竹田 契一

このシリーズはイラストが多い。

1ページに書かれている量も多すぎず、少なすぎず、ゴチャゴチャしすぎていません。

なんといっても、竹田 契一先生が関わっているのだから、お勧め。

下記のサイトは漢字指導をする時に役立つと思います。ぜひ一度読んでみてください。

https://ameblo.jp/hattatsu5/entry-12168846767.html

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