出来ない理由に気が付く方法

何かが出来ないことはどんな人にもあります。

出来ない理由は何のかを考え、工夫し、実行していくことで、出来ないことを出来るようになっていきます。

発達障害のある子供の中には、出来て当たり前な事を出来ないという事が多々あります。

理由が分からずに、モンモンと考えている保護者・当事者も多いと思います。

今回は、出来ない理由に気づく方法を、事例を基にお話ししたいと思います。

出来ない理由に気づくための活動

当教室の生徒A君は、自立に向けての訓練を当教室で受けています。

自立に向けての訓練というのは様々で、屋内で行う訓練もあれば、外に出ての訓練もあります。

そんなA君には、必ずしもA君だけの問題ではなく、保護者が大きく起因している課題がありました。

それは言葉で伝えるだけでは意味がないと思い、A君と保護者両方に気づきを与えるような活動をすることにしました。

自分(保護者)でやってしまう

A君が出来ない課題。それは自分で荷物の準備が出来ないことです。

高校生になりますが、当教室の課外活動の準備には保護者がやっていたのです。

それを知ったのはつい最近のことで、私は驚きました。

何故なら、私の見立てでは一人で準備できる能力があるからです。

では、何故保護者がやってしまっていたのか。

行動を信じられない

保護者がやってしまう要因の一つに、保護者が子供の行動を信じられないというのが挙げられます。

A君は出来る事と出来ない事が不明瞭なタイプで、意外と難しいだろうという事が出来たり、簡単な事が出来なかったりします。

保護者の心情としては、難しいことが出来るのに、簡単な事が出来ないというのにイライラします。

そのイライラが積もっていくと、いつしか子供の行動を信じられなくなって、出来ないという思い込みが始まります。

また、保護者の自己防衛反応も始まり、イライラの原因を除外するための行動というのも考えられます。

思考させない言葉がけ

子供一人で準備をするには、どこに何がしまってあるのかを把握している、無い場合は保護者に訊くという姿勢、どういう順番でカバンの中に入れるかといった事を理解していなければいけません。

一人で準備が出来ない子供は、これらのいずれかが上手くいっていないケースが多いです。

何故上手くいかないのか、それは思考させない言葉がけが考えられます。

「シャツはここに置いておくからね!」「さっさとしなさい!」「こうした方が良いでしょう!」・・・等。

これらは全てマイナスの言葉がけです。よほどの負けず嫌いでない限り、上手くいきません。

「シャツはここに置いておくからね」は、一見親切心からの行動と言葉がけのように思えますが、実は違います。

子供の年齢が高ければ高いほど、これらの行動と言動は自尊心を傷つけます。

特に、保護者と子供の関係が良くない場合や子供の自己肯定感が下がっている状態の時は、マイナスに働くことが多いです。

「こんな簡単な事まで信頼してくれず、親がやるんだ。俺はダメな奴だ」「やるんだからほっとけよ、ムカつく!」

といった事を子供は思います。A君はその両方でした。

行動を信じない、思考させない言葉がけにより、子供は行動しなくなる又は萎縮して出来なくなるのです。

子供には責任力を保護者には信じる力を

自立訓練の一環として、宿泊活動をすることにし、細かいルールを設けました。

薬以外の準備は一人で行う。保護者の手伝いは一切ない。

ただし、どこに何があるかといったことを保護者に質問するのはOK。といったルールです。

達成感を得やすいよう、写真にあるような得点形式で行いました。

忘れ物があったらあったで仕方ない、大切なのは忘れ物した時にどうするかを考えることと、自己責任を負う事であると伝えました。

忘れ物をしたら怒られるという考えが強く、怒られると委縮してしまうタイプでもあるので、心理面の配慮は非常に大切です。

自分で責任を負えば問題ないと分かった生徒は、少し安堵の表情をしていました。

活動当日の午前中に準備をしていたようで、私の携帯電話に連絡があり、保護者には判断しにくいようなことを訊いてきました。

そういうこともあって、私はA君が一人で準備しているものと思い、楽しみでした。

A君が教室に着くと、さっそく持ち物チェック。

忘れ物はなく、以前指導した服整理の方法もしっかりと実践していました。正直言って花丸の出来でした。

これで保護者はA君の行動を少し信頼できるようになったと思っていました。

ところが、そうはいきませんでした。

出来ない理由が自分(保護者)に合ったと気づく

後日、全ての準備を子供自身にやってもらって、どんな様子で、どんな気持ちになったかを保護者に確認の電話をしました。

すると申し訳なさそうに、どういう服を着たら良いか、タンスから出して用意してあげてしまったとのこと。

今回の活動で手伝わない重要性を私から聞いていたのにも関わらず、保護者はついやってしまったのです。

長年、A君のためと思ってやってきたことを急に止めるということは、保護者にとっては難しかったようです。

これは決して珍しいケースではなく、意外とよくあります。

今回の活動で、A君が一人で準備出来ない理由の一つに、自分(保護者)も関係していたと気づいたようです。

「その子のためにやってあげる=あなたの行動を信頼していません」という風に子供は捉えることがあるので、「何もしないことから始めましょう」と伝えました。それは子供を信じることにも繋がります。

今回の事例にあるように、出来ない理由に気づくには、「客観的に分析してくれる人の存在」と「気づかせてくれる機会があること」だと、私は考えます。

相談センター等で客観的に分析してくれる人がいても、相性というものがあります。

もし、しっくりこない場合は、当教室にお越しください。変わった方面から子供を分析できると思います。

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