笠置寺の磨崖仏(まがいぶつ)は感動の一言!!【京都府相楽郡笠置町笠置山】

歴女である親の希望で和束町へ行くことになったのですが、ネットで近隣に何かないかと探していたら、たまたま笠置寺を見つけ、特に前情報もなく行ってきました。結果を先に言うと、ここ数年で一番感動したお寺です。

行きづらい所にあるのであまり知られていませんが、ここはもっと知られても良い感動スポットです。

笠置山情報

笠置山の歴史は古く、弥生時代には巨石を神と崇拝する「磐座(いわくら)信仰」の聖地です。聞き慣れない信仰ですが、日本文化の根幹部分と言えます。

奈良時代になると巨石に仏が刻まれ、礼拝堂や多くの寺院が建築され、巨石群は山岳信仰の修行の場所となりました。

修行の場所にうってつけということは、簡単には行けないということです。

笠置寺へ向かうには、狭い道をひたすら進まなければいけません。

途中でガードレールがない箇所もあり、一緒に乗った親と奥さんは少し悲鳴を上げていました。

私も落ちないよう肝を冷やしながら安全運転を心掛けました。

何とか無事に駐車場に着きました。平日ということもあり、私達以外はおらず、とても静かな所でした。

駐車場から徒歩5分の所に笠置寺があるので、案内板が指す方向へ進むと、松本亭という料理旅館がありました。

キジ料理が売りの料理旅館で有名な店です。この日は残念ながら定休日で休みでしたが、一度はキジ料理を食べてみたいと思いました。

紅葉で人気の笠置寺

笠置寺の門は意外と小さいですが、経験上、門が小さい寺は良い印象を持つことが多いので、期待が膨らみます。

門をくぐり抜けるものの、管理者はおらず。受付にもいなかったのには驚きました。ほとんど訪れる人がいないから、一時的ならいなくても大丈夫なのでしょう。

受付から少し離れた所に大きな地図があり、現在地とどういうものがあって、どこにあるかを確認。

物凄く広い敷地に見えますが、誇張しています。笠置山の頂上までは15~20分もあれば辿りつきます。

解脱鐘と椿本護王宮

受付の側には鐘がありました。この鐘は「解脱鐘」国指定の文化財です。

鐘の基底部が6つに切り込まれたデザインは、日本に一つしかないという大変貴重な鐘です。

中国の形式をもった鐘で、1196年に東大寺俊乗防重源和尚によって作られました。

笠置寺一山五十ヶ寺の総鎮守社です。

908年に吉野金峯山より勧請されました。もともとの社殿は元弘戦で焼亡し、その後桃山時代に再興されたと言われています。

文書が残っているわけではなく、社殿の様式からみての推測だそうです。謎があるというのはロマンがありますね。

大師堂と後醍醐天皇行在所

磨崖仏へと続く道を歩いている途中に階段があったので、そこを上ると石仏弘法大使を奉安する大師堂がありました。

元弘戦乱で焼失した後はなかなか復興されず、明治に入って関西鉄道の開通により、笠置駅にあった大師堂を移築して現在に至っています。

さらに奥へ進んでみると、後醍醐天皇行在所跡と書かれた石碑を発見。

笠置山はその昔後醍醐天皇が身を隠した地でもあり、後醍醐天皇行在所は後醍醐天皇が宿泊所として利用していたところです。

急な階段を上ると、そこには門だけが残っていました。中を覗くと、木々が生い茂っていて、荒れ果てていました。

跡地の前には後醍醐天皇が詠んだとされる歌が刻まれていました。「うかりける 身を秋風にさそわれて 思わぬ山のもみじを見る」。

そこに詠まれているように、昔から笠置寺は紅葉で有名です。1410年頃にもみじの木が宝蔵坊跡に植樹され、毎年、赤・黄・緑が織りなす美しい光景を見て楽しむことができます。

私が行った時はまだ時期が早かったために見ることが出来ませんでしたが、紅葉シーズン(11月中旬頃)が近づくと、情報誌によく掲載されます。

弥勒菩薩磨崖仏と正月堂

磨崖仏とは、自然の巨石や岸壁に彫刻された仏像のことを言います。その磨崖仏が笠置寺にあるのですが、普通の磨崖仏とは違います。

高さ15mもある巨石に彫刻されているのです。そのダイナミックさに驚きますが、それ以上に私の心を揺さぶったのは、戦火で表面が焼け崩れてしまい、巨大な痕跡だけが残っていること。哀しいが、それがかえって歴史に重みを持たせ、心にグッとくるものがありました。

これは写真ではなく、生で見て欲しいです。これを見るだけで日本は素晴らしい国だと感じられると思います。

弥勒磨崖仏の目の前には、正月堂があります。

閉まっているので、中に入れないかと思いきや、入ることができます。鍵は容易に開けられるタイプなので、鍵を開け、そっと中を覗くと、青白い光が写真を照らしていました。

平成22年に特殊カメラと技術を用いて弥勒磨崖仏を調査したところ、最初の彫刻線が見つかり、それらを繋ぎ合わせてデジタル処理された写真です。当時の弥勒磨崖仏の姿を見ることができます。

正月堂内には、その他にも猫の写真が置かれていました。笠置寺を道案内してくれて人気者になった名物猫「笠やん」の写真です。

1994年に亡くなりましたが、愛され、可愛がられたこの猫は笠置寺に大きく貢献してくれたとして、写真だけでなく、笠やんの石像も作られました。その石像は駐車場にあるので、探してみてください。

虚空蔵磨崖仏と胎内くぐり

正月堂からさらに下へと続く階段があり、下りて行くと、虚空蔵磨崖仏が彫られた巨岩が現れ、その大きさに圧倒されました。弥勒磨崖仏と違い、戦火を避けることができたため、線彫りがくっきりと残っています。

寺伝では、弘法大師がこの巨石に登り、一夜にして彫刻したと伝わっています。

実際調査をすると、彫刻の様式から中国山西省雲南の磨崖仏に相通じるものがあるところから、奈良時代の渡来人によって作られたと考えられています。

虚空蔵磨崖仏を見ながらさらに奥へ進むと、胎内くぐりがありました。

お母さんのお腹の中に入ってまた生まれ変わるという意味合いがある胎内くぐり。さすがに狭く、身体が大きい私にはなかなか大変でした。

ゆるぎ石と平等石

胎内くぐりを抜け、そこから高低差の大きい道をひたすら歩きましたが、足に疲労が溜まった親と奥さんはダウン。残すはゆるぎ石と平等石なので、私だけが見に行きました。

ゆるぎ石は元弘の戦乱時、鎌倉幕府軍に対して天皇方は武器だけでなく、岩を落として対抗したと伝えられています。その名残がこのゆるぎ石で、不安定なために端を押すとゴトゴト揺れます。こんな石が降ってきたらと思うと、ゾッとしますね。

平等石は何が平等なのかが気になりましたが、そんな事は気にならなくなるほど素晴らしい眺めでした。

江戸時代は月見場所として使われていたそうで、私もしたくなりました。というより、普通に星空を見たいです。

御朱印

受付所には誰もおらず、御朱印は受付台にある箱の中に置かれていました。300円を箱の中に置いて、勝手に持っていきます。

待つ必要がないのは良いのですが、ありがたみが薄れてしまいます。

アクセスと地図

電車を利用

JR関西本線 笠置駅から徒歩45分。

徒歩45分ですが、坂道はかなりきつく、車が通る時はお互い大変危険なので、タクシーを利用することをお勧めします。

車を利用

笠置山自然公園と書かれた案内板をくぐると、一本道です。ただ、道がグネグネ曲がり、一向に着く気配がないため、不安になるかもしれません。気にせずドンドン進みましょう。すると笠置寺の駐車場が見えてきます。

駐車場と拝観料

駐車場:500円。管理人がいませんが、集金箱が置いてあります。

駐車場のどこかに猫の石像が置いてありますので、探してみてください。

大人:300円。団体料金は大人 270円。高校生 100円。

中学生:100円。団体料金は50円。

小人(小学生以下):100円。団体料金は30円。

入山時間:9:00~16:00

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