発達障害とキッズプラザ大阪~特別支援教育の観点から~
滋賀県にもキッズプラザをと切に願うひだち教室長の安藤です。
以前、キッズプラザ大阪についての記事を書きました。
>>>キッズプラザ大阪の記事
今回は、ちょっと専門的な観方で書いてみたいと思います。
Contents
特別支援教育士が観たキッズプラザ大阪
『子供達が楽しい遊びや体験を通じて学び、創造性を培い、可能性や個性を伸ばす』
キッズプラザ大阪はこのような基本理念があります。
どのような子供にも通ずる理念。
勿論、発達障害のある子供も当てはまります。
特別支援教育の場合、さらに違った角度から観ます。
その角度から観た時、私はキッズプラザ大阪はやはり良いなと、改めて感じました。
直観的に視覚的に楽しめるものがある
子供が無条件で楽しむには、直観的に遊び方を理解できる必要があります。
現代の子供は、YouTubeなどの映像がに慣れています。
それ故、映像関係の遊びは親しみやすい。
映像は視覚。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の子供は視覚からの情報の方が理解しやすい。
そう考えると、映像による遊びは相性が良いです。
キッズプラザは単純に見るだけではありません。
全身を使った映像遊びもあるので、ADHD(注意欠如・多動性障害)の子供も楽しめます。
聴覚優位の子供も楽しめる
聴覚優位の子供も楽しめる音楽系の体験もあります。
世界の楽器体験がその一例。
聴覚優位とは、聴覚からの情報の方が学びやすい、理解しやすいタイプのことを指します。
そういうタイプは、音というのが興味を持つ要素の一つです。
実際、参加した生徒達は影絵芝居に興味を持ちましたが、ドラや木琴といった音が関連しています。
重度の知的障害のある人の中には、視覚的な情報よりも聴覚的な情報の方が楽しめる人もいます。
そのような人達にも、音楽系の体験はうってつけですね。
目で追いかけるだけで楽しめる装置がある
一般的に子供は動くものが好きです。
ピタゴラスイッチのような装置は尚更好きです。
ASD(自閉症スペクトラム障害)のある子供は、特に好きだと実感としてあります。
しかも、何度やっても飽きないのが特徴。
本人は楽しめ、保護者は楽できる。
良い事づくめだと思います。
学習と生活がリンクした体験ができる
LD(学習障害)は簡単に言うと、学びにくさというのが特性。
というより、学び方が違います。
子供にLD(学習障害)がある場合、指導者は様々な角度からの情報を把握する必要があります。
その子の特性や能力、興味等といった要素。
中でも、生活と学習が上手くリンクすると理解しやすい傾向があります。
買い物体験はその良い例。
キッズプラザの買い物体験コーナーは、レシートが出てきます。
レシートが出てくると不思議と嬉しくなり、ちょっとした成功体験になります。
指導者の手腕にかかってきますが、商品選びやレシートの使い方次第では、一気に学びが加速します。
社会性を養える
エリアによっては行列ができています。
滑り台は特に行列が凄い。
滑り台までの通路が狭いため、割り込む隙がありません。
人に言われて『待つ』ではなく、環境で『待つ』という状況。
そのような状況は、待つのが苦手な子供も受け入れやすいです。
一つの目標に向かって協力して体験する装置もあります。
協同作業は社会性を養うのに効果的です。
また、共感性も高まるので、その後の活動にも好影響をもたらします。
共感性の高まりやすい装置がキッズプラザにはいくつもありました。
生徒達の共感性が最高潮に達したのは、水の科学体験。
協力して体験したことで、3人の距離感がグッと縮まりました。
興味・関心が拡がる
私の調査では、興味・関心を持つパターンは15種類ほどあります。
キッズプラザは、その内7パターンを当てはめやすい設備が整っています。
残りのパターンは人という要素が関わってきますが、そこを充実させたら全パターンがいけます。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の子供は、興味関心の範囲が狭いです。
しかし、キッズプラザは多種多様な遊びや体験装置があります。
どこかしらの興味関心に引っかかってくるでしょう。
不安は最初だけで始まると平気になりやすい
ASD(自閉症スペクトラム障害)のある子供は、初めての場所は不安になります。
キッズプラザは人が多いので、不安に拍車がかかる可能性もあります。
しかし、興味を引くものが沢山あるため、その世界に没頭しやすい。
没頭できるものがあると、不思議なことに不安が消えていきます。
保育所勤め時代を含めても、最後まで不安になっている子供を私は見た事がありません。
ADHDの子供に最高の場所
ADHD(注意欠如・多動性障害)の子供にとっては、楽園に近いかもしれません。
色々な所に目移りしやすい。一つの所にジッとできない。
これらの特性がありますが、それらが良い意味で発揮されます。
遊びや体験が沢山ありすぎて、全く飽きません。
次へ次へと自ら進んで色々な体験をするので、学びや気づきも多いです。
身体の使い方を学べる
発達障害のある子供の中には、身体の使い方が上手くない子供もいます。
力の加減という点で苦手さが顕著に出てきます。
科学実験のエリアで、足を使って空気を入れるという装置。
生徒達はその装置に大苦戦していました。
空気に押し出されたボールが上下する様子を見ることが出来ます。
視覚的にどの程度成功しているか一目で分かるので、頑張れます。
夢中になった生徒は諦めることなく、成功することができました。
能動的に身体の使い方を学べたことでしょう。
粗相をしてもすぐに対処できる
感覚が鈍かったりすると、尿意を感じられない人もいます。
そのため、粗相をしてしまうこともあります。
キッズプラザでは、そのようなことがあっても対処しやすい環境。
スタッフも慣れているのか、慌てる様子はありませんでした。
その堂々とした振る舞いに、安心感があります。
聴覚過敏のある人は辛い面もある
発達障害のある人の中には、聴覚過敏がある人もいます。
そのような方は、子供の高い声が苦痛に感じることでしょう。
しんどくなって泣いてしまう人もいるかもしれません。
実際、発達障害と思しき高学年の小学生が泣いているのを見かけました。
泣く前に耳を抑えてソワソワしていたので、聴覚過敏があるのは間違いないでしょう。
クールダウンのできる部屋があれば良いですが、そういった部屋はありません。
今後に期待したところですね。
見失いやすいから場所を決めよう
人が多いので、すぐ側にいない限りは子供を見失いやすいです。
特にADHD(注意欠如・多動性障害)のある子供は動き回るので見失いやすいことでしょう。
そこで大事になってくるのが、集合場所と時間を決めておくこと。
指導者のいる場所(お勧めは上の階)を決めておくことで、子供は安心して戻ってきます。
勿論、子供の程度にもよりますが。
小学生以上で時計を読めるなら、あえて集合場所と時間を決めて活動をする。
それはライフスキルトレーニングにもなります。
また、子供同士を関わらせることで、実践的なSST(ソーシャルスキルトレーニング)にもなります。
キッズプラザは発達障害のある子供にとっても、色々活用できる便利な施設ですね。
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