発達障害と釣りの親和性

生徒達と釣りに行くのが好きなひだち教室長の安藤です。

多くの発達障害のある子供達と外で色々な活動をしてきました。

そんな中で、年齢関係なく喜ぶ活動があります。

それは釣り。

活動が釣りと聞くと、不思議と皆テンションが高まります。

食べるのが楽しみというのもありますが、釣りそのものが好きなようです。

現時点では釣りを嫌がる子供を私は見た事がありません。

今回は、発達障害と釣りの親和性が高い理由を考察します。

発達障害のある人が釣りに向いている理由

発達障害と言うと、下記のことが挙げられます。

・自閉症スペクトラム障害(ASD)

・注意欠如・多動性障害(ADHD)

・学習障害(LD)

発達障害という括りですが、同じ活動(釣り)をしても喜びや楽しむポイントが微妙に違います。

おそらく、それぞれの特性が起因しているからでしょう。

考察していく内に、私はあることに気が付きました。

圧倒的に、自閉症スペクトラム障害(ASD)は釣りとの親和性が高いことに。

ということで、今回の記事は自閉症スペクトラム障害(ASD)の方が長くなります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)と釣り

自閉症スペクトラム障害(ASD)には、三大特性と呼ばれるものがあります。

・社会性の低さや対人関係の難しさ

・コミュニケーションの難しさ

・強いこだわり

とはいえ、人によって程度は違います。

独特なコミュニケーションはあるが、問題なく言葉のキャッチボールをできる人もいます。

こだわりはそれほど強くなく、むしろすぐに飽きてしまう人もいます。

その他にも下記のような特性を持った人もよくいます。

・感覚に問題を抱えている(例:聴覚過敏)

・運動や手先が超不器用

・興味が狭く知識が偏っている

釣りでは、これら特性がそれほど影響を受けないと感じます。

1人でも楽しめる

釣りは1人で黙々とできるスポーツ(遊び)です。

対人関係に難しさを抱えている人にとっては、リラックスして楽しめるスポーツ(遊び)と言えます。

「1人でいることに同情されているのでは?」と、他者を過度に気にするタイプにも適しています。

何故なら、釣り人の多くは1人で来ることが多い。

1人でいることに不自然さがないからです。

自然体でいられるのが良いですね。

友達作りの媒体になる

自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人は、特性故に友達作りに苦心します。

学校や職場にいても、友達がいないということはよく聞きます。

そんな時に釣りが趣味だと、友達になるキッカケ作りにもなりえます。

自己紹介などで釣りが趣味と言ってみてはどうでしょうか?

食いつく人はいると思います。

もし誰かと一緒に釣りに行っても、対人関係で困ることは少ないと思われます。

釣りという自分が興味ある事を媒体とするので、高度なコミュニケーション能力が必要ありません。

必要最小限のコミュニケーションで、十分お互いに楽しめます。

慣れたら興味が広がる!

自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人は興味が広がりにくいですが、興味を持てば上達が早い。

慣れの域までいくと、物凄く頼りがいがあります。

実際、ひだち教室に通っている小学生の生徒は内臓処理が上達し、釣った魚を全て処理してもらいました。

頼れるって良いですね。

発達性協調運動障害(いわゆる超不器用)もある大学生の生徒がいます。

最初は釣針に糸を通すのが下手でした。

しかし、何度も経験していく内に上達し、誰よりも素早く通せるようになりました。

自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人は、興味ある事柄の範囲内で、徐々に世界観を広げます。

大学生の生徒は釣りを経験したことで、魚を捌くことにも興味を持つようになり、自宅で練習を始めました。

今では魚を三枚におろせるようになりました。

私は下手なので、いずれ指導してもらおうと思っています。

静かな環境がマッチしている

船釣りは船のエンジン音がうるさいですが、基本的に釣りをする所は静かです。

喋りながらやっている人はほぼおらず、喋ってもすぐに会話は終わります。

聴覚過敏のある人にとっては、余計な音が入ってこないのでストレスは少ない。

このように、自閉症スペクトラム障害(ASD)と釣りは非常に相性が良いことが分かります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)と釣り

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人は、下記の特性や傾向があります。

・集中が持続しにくい

・落ち着きがない

・衝動的に動いてしまう

・色々なことに反応しやすい

・ご褒美をもらえるとモチベーションが高まりやすい

・飽きやすい

・他人の役に立つことを好む

勿論、人によって程度は違います。

ご褒美(魚)がカギ!

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人は飽きやすい傾向があります。

飽きずに取り組むためには、魚が定期的に釣れることが重要。

飽きてくると辺りを動き回り始めるので、余計に釣れなくなる。

また、他の人の迷惑になる可能性が出てきます。

釣れない+じっと待つという状態は、注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人にとっては苦行。

集中を持続するのが難しくなり、心身の疲労蓄積スピードが高まります。

上の画像にあるように、中盤辺りになると生徒はボ~とし始め、疲れ切っていました。

刺激的なことをしながら興味・関心を広げる

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人は刺激的なことを好みます。

釣りには刺激が少ない思われるかもしれませんが、あります。

・針が刺さった魚の口から針をとる作業

・他の人へのサポート

・魚を捌く

釣り自体は『静』であれば、その他の事は『動』です。

針をとる作業は意外と難しく、チャレンジ&エラーを繰り返してとれます。

適度な難しさなので、ちょっとした成功体験にも繋がります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人は、他者貢献の気持ちが強いことが多い。

サポート役は常に動く必要があるので、心も体も欲求が満たされやすい。

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人は、釣りにおいてもサポート役にうってつけ。

魚を捌くのは慣れないと難しい。

でも、注意欠如・多動性障害(ADHD)のある人はチャレンジ精神が旺盛です。

上手いかは別として、刺激的で楽しいと感じやすい。

上手くいけばスキル習得にも繋がると思います。

このように、発達障害と釣りは親和性が高いと思わざるを得ません。

趣味の域にまでいくかはその人次第ですが、可能性は十分あるでしょう。

また生徒達と釣りに行きたいと思います。

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