発達障害と成功体験~二種類の成功体験とは?~

成功体験は成長には欠かせない要素だと思っているひだち教室長の安藤です。

子供の成長には成功体験は必須です。

それは周知の事実であり、多くの親は子供に成功体験を積ませようと試みています。

では、成功体験には二種類あるのはご存知でしょうか?

・経験済みの成功体験

・未経験の成功体験

今回はそれらについてお話ししたいと思います。

成功体験の意義

成功体験の意義は例を挙げればキリがないと思いますが、私は下記のことを意義として捉えています。

・自尊心や自己肯定感が高まる

・自分に自信がつく

・周りの人達(親含む)に認められる

・新しい事にチャレンジするエネルギーになる

・信頼関係が構築される

・心の安定をもたらす

成功体験による恩恵は大きいですが、成功体験だけを積んでいくのは危ういです。

成功体験ばかりだと自己防衛反応が強くなり、保守的思考になる可能性があるからです。

そうなると、どうなるか?

・自尊心や自己肯定感が高まりにくくなる

・根拠の乏しい自信がつく

・周りの人達の評価を過度に気にするようになる

・失敗を恐れて新しい事にチャレンジするのを怖がる

・強い信頼関係が構築されにくくなる

・失敗に対する恐怖心が増大して心が不安定になる

・偏った自己理解や価値観になる

全く逆の効果になります。

発達障害のある子供には成功体験だけを積ませた方が良いという考えの人もいます。

私はその考えに対しては異論を唱えています。

失敗体験があるからこそ、成功体験をした時に大きな成長に繋がった子供を数多く見てきたからです。

失敗体験と成功体験をバランスよく経験させていくことが、最良の教育だと私は信じています。

さて、二種類の成功体験についてです。

年長のI君をフィールドアスレチックに連れて行った時のことを絡めながらお話しします。

経験済みの成功体験

I君は色々な事に反応しやすいアンテナを持っています。

しかし、ASDの特性であるイメージ力の低さが作用して、新しいことにチャレンジする意欲は低い。

チャレンジ精神が低くても、出来たという経験があるものには積極的に行います。

網登りがその一つ。

怖がることなく、4~5mの網を一生懸命登りました。

I君は出来るという思いが強く、登り切った時は「凄いやろ!」と言わんばかりの表情を見せてくれました。

一見無茶と思えるような登り系のアスレチックにも自らチャレンジしました。

I君は登り系のアスレチックで成功体験を積んだことがあるようですね。

似たようなことにチャレンジする意欲があるのを見て伺えました。

一度成功したことを何度も経験することは良いと思います。

・自己肯定感が高まる

・心に安定感がもたらされる

・心のエネルギーが溜まる

人によっては、出来ることだから評価に値しないと考える人もいます。

経験済みの成功体験では、成長を期待してはいけません。

経験済みの成功体験は、現状を維持し、次に繋げるための「心の土台(カタパルト)作り」です。

だから、経験済みの成功体験も必要。

もしこの種の成功体験がなく、毎回成長を促す成功体験ばかりだと、子供はエネルギー切れを起こします。

私はI君が希望するなら何度でも自信のあるアスレチックを体験してもらいました。

そのうえで、新しいことにもチャレンジしてもらいました。

未経験の成功体験

I君は不安先行型で、初めての事には「できない~」と凄く拒否しました。

網を登るのは平気でも、網の上を歩くのは最初はとても怖がっていました。

新しいことにチャレンジしてもらう時は、私は必ず一緒に行います。

そうすることで、不安が少しは和らぐからです。

I君はフィールドアスレチック自体人生初らしく、揺れる系をはじめ、苦手としているものが多かったです。

この一年I君と関わってきて、私はI君の能力はある程度分かっています。

後は心の問題をどうするか。

心を鍛える(自己認知を変える)ため、私は勇気づけを行いました。

・具体的にどう動けば良いかを教える

・「出来る力がある」と言い聞かせながら毅然な態度をとる

・出来る事と出来ない事をはっきりさせて緩急をつける

上記の3つを行うことで、I君は頑張り、成功体験を積んでいきます。

成功体験を積むことでI君の不安は薄まり、徐々にチャレンジ精神が芽生え始めました。

そして終盤のアスレチックで、I君は大きな成功体験を積むことになります。

自ら難易度の高いアスレチックにチャレンジを始めたのです。

私は出来ないと判断していたアスレチックだったので、内心ヒヤヒヤしていました。

頑張っている様子をビデオに収めながら、見守ります。

そして見事、I君は高難易度のアスレチックをクリアすることが出来ました!

達成感が半端なかったようで、笑顔がこれまでの成功体験時と全然違いました。

この成功体験は未だにI君の記憶に残っているようで、眠る前にその時のビデオを毎日見ているそうです。

今後も色んな成功体験を積んでもらって、成長していってもらおうと思います。

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