言葉を理解できないと感じたら言い方を変えてみよう

発達障害のある子どもは言葉の成長が遅いケースもあります。単語が出ない、二語文になかなかならないという話はよく聞きます。しかし、言葉の遅れがないのにも関わらず、言葉が通じないことがあるという話も聞きます。それはどういうことか、事例をもとにお話しします。

検査で分からないこともある

少し専門的な話しになりますが、WISC-4という発達検査があります。その検査の中には言語理解という項目があり、その名の通り言葉の理解力が数値として出てきます。

今回話すA君は、数値的には平均で、心理士さんからも言葉の問題はそれほど心配はないでしょうと言われていました。実際、コミュニケーションもとれていて、それほど言葉の問題がないなと私も感じていました。そのような生徒ですが、テーブルカーリングというゲームを通してソーシャルスキルトレーニングをしていた時、私とのやり取りの中で「ん?」ということがありました。

ソーシャルスキルトレーニング中の一幕

レッスンを受けていた生徒は全部で3人です。

私「カーリングをする順番を決めなあかんな~。どうやって決める?」

生徒B「僕1番!」

生徒C「なんでなん!僕が1番」

ここで言い争いが始まります。

私「何で喧嘩するねん。A君は何番にする?」

A君「10」

私「はい?」

A君「だから10が好きなの」

私「・・・」

A君「10が良いの!!」

私「う~んと、何番目にする?」

A君「1番目が良い!」

お分かりでしょうか?「何番にする?」という言葉に、A君は自分の好きな番号を言ったのです。それが間違った答えであるとも気づいていません。「何番目にする?」と聞いて初めて、私が言わんとしていることを理解したのです。

一般的には略しても分かるだろうということでも、ASD(自閉症スペクトラム障害)の子どもは略していることが分からず、違う言葉として捉えてしまい、全く違う返答をしてしまうことがあります。今回のケースはまさにそれですね。

言い方を変えよう

見当違いのことを言ってきたら、怒ったり呆れるのではなく、何故そんなことを言ったのか冷静に考え、言い方を変えてみてください。理解でき、正確な返答がしやすくなると思います。

こういうケースは子ども時代だけでなく、大人になっても起こりえます。何故なら、大人になるにつれて周りの人達は略して話すことが多いからです。

もし大人のASDの人と話すことがあったら、極力省略せずに話しをしてください。それがお互いにとってとても楽な会話になります。

今回は言葉のことについて触れましたが、別のブログの言葉が遅いでも触れていますので、またご覧ください。

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