溶接体験と発達障害~意外な難しさとは?~

溶接体験に大興奮したひだち教室長の安藤です。

3人の生徒達(大学生)と溶接体験をした時、専門家として色々と気づきがありました。

>>>溶接体験の記事

発達障害の特性があると、溶接体験の工程でどういう部分で難しさが出てくるのか?

今回は溶接体験に発達障害の特性を絡めて考察したいと思います。

溶接体験の意義

溶接体験では様々な力が求められます

・イメージ力

・ソーシャルスキル

・手先の器用さ

・感覚

・度胸

・実現力(実行力)

求められると同時に養われてもいきます。

今回私が特に重要視したのは実現力(実行力)。

高難易度のモノにチャレンジする時は、自分がこれまで学んできた知識や経験、スキルを総動員します。

しかし、総動員して困難に立ち向かい、心に強く残る程の成功体験がなければ、実現する力は弱い。

私はそんな経験を積んで欲しいと思っており、溶接体験はそれが可能。

溶接体験をする意義は、全力+強い成功体験にあると言えます。

設計図作りではイメージ力の低さの影響が出にくい

ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性としてイメージ力の低さが挙げられます。

今回の溶接体験でも、イメージ力の低さによる弊害というのは出てきました。

しかし、設計図を描く工程では、問題はほとんどありませんでした。

小学生の時から図形を描く授業があり、馴染みがあるというのも大きいと思います。

また、理工学部の生徒達はより専門的に学んでいるので、学んだことを存分に発揮していました。

ADHDの注意力の低さは無問題

ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性の一つに、注意が散漫になりやすいというのがあります。

そのため、溶接や電動のこぎりを使用する時に危険と思われる方は多いと思いでしょう。

体験したから言えるのですが、溶接体験時に特性が発動することは考えにくいです。

・刺激が強いために集中しやすい

・溶接や電動のこぎり以上の刺激物がないので、注意が逸れにくい

・楽しすぎる

以上の3点がその理由。

実際、ADHD(注意欠如・多動性障害)の生徒も実感があるようでした。

「思った以上に集中できていた」

感想を訊いた時に、彼はそのように答えました。

聴覚過敏があっても平気かも?

発達障害のある人の中には、聴覚過敏のある人がいます。

そんな人は、鉄の棒を電動のこぎりで切断する時の大きな音に耐えられない。

私はそう思っていました。

ところが、聴覚過敏のある生徒は何故か平気でした。

苦手な音域が違うのかもしれませんね。

体験時に耳栓等を用意しておくことをお勧めしますが、平気かどうか試してみるのも良いかも。

障害特性が特にマイナスに作用した工程

障害特性がマイナスに作用した工程はいくつかあり、特に強く作用したのが鉄枠作りの工程。

設計図をもとに、組み立て用の鉄枠作りに落とし込むには、高いイメージ力が必要。

・スタッフから説明を受けるものの、何故鉄枠が必要なのかがイメージできない。

・どうすればスムーズに鉄枠を作れるかイメージできない

イメージできないから、順調だった作業スピードが一気に低下。

生徒達の頭の中がパニック状態or思考が停止している。

そんな状態を表情から容易に読み取れました。

イメージ力の低さを補うためには、何を作るかという視覚的な支援(例:写真)が必要。

しかし、鉄脚を作るための過程に過ぎないので、そんな物はありません。

経験のないことは、口頭での説明だけではイメージがしにくいもの。

定型発達の人でも難しいのだから、イメージ力の低いASD(自閉症スペクトラム障害)の人は尚更。

ASD(自閉症スペクトラム障害)のある人には、やはり視覚的支援が必要と再確認できた工程でした。

嗅覚過敏は要注意!

鉄脚作りの最後の仕上げとして、防サビ加工を施します。

防サビスプレーを鉄脚に吹きかけるのですが、匂いが強烈。

生徒達は平気でしたが、嗅覚過敏とまではいかなくても、それに近い私は気持ち悪くなりました。

嗅覚過敏のある方は、対策が必要ですね。

経験の少なさが影響した工程

日常生活でもありえる動作を求められる工程もあります。

そして、それらは生徒達にとって意外な難しさでもありました。

・紙で鉄脚を包む

・ハンドカッターの使用

誰でもできる、経験なくても何となくできるだろう。

そう思う人が多い動作だと思います。

しかし、経験がなければできない人もいるのです。

包み方が分からない生徒は、包むというよりクシャクシャに折りたたむ感じになりました。

あまりのクシャクシャ具合に見かねた他の生徒は、教えていました。

卓上用のテープカッターは使用したことのある生徒達。

しかし、ハンドカッターの使用経験はないため、卓上用のと同じ要領で使用していました。

私が教え、練習させる事で、初めて生徒達はできるようになりました。

発達障害のある人には、簡単な事が難しい、難しいことが簡単というのがよくあります。

この工程はその一例ですね。

障害特性をプラスに作用させるために

障害特性がプラスに作用、マイナスに作用するかは、経験によるところが大きい。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の人は1を100にも1000にも膨らませる力があります。

設計図作りは似たような経験があるから気持ち的に余裕があり、こだわりもプラスに作用しました。

しかし、0(無)から1にする力はイメージ力が必要なので、苦手としています。

大苦戦した組み立て用の鉄枠作りは、まさに0から1の作業でした。

視覚的支援が必要なのは、まさにその部分です。

実際、他の生徒が作った鉄枠を見て初めて、ASD(自閉症スペクトラム障害)の生徒達は理解できました。

高IQでASD(自閉症スペクトラム障害)の人は、経験がなければ「出来ないorしない」傾向が強い。

それはイメージができなかったり、新しい事に対する不安が強いというのが要因です。

逆に言えば、経験があると「出来るorする」。

テープカッターの件が良い例だと思います。

発達障害のある人に体験が重要というのは、勿論、能力的なものはあります。

でも、それ以上に大切なことがあります。

「やる・やらないの選択肢を迫られた場面で、やるを選択する意志」

意志を後押しするのは、自分のこれまでの経験。

一人暮らしをしている生徒達を見ていて、それをつくづく感じます。

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