物作りの仕事を体験
夏期特別プログラムで、羊毛フェルト製作をしました。
羊毛フェルト製作を指導してくださったのは、お店で自分の作品を販売している方です。
子供相手に指導するのは初めてのことなので、結構緊張されていました。
Contents
子供にも人気の羊毛フェルト製作
夏期特別プログラムは数種類あり、選択性です。
数種類あるプログラムで羊毛フェルト製作を希望したのは4人。
高校生、小学生、幼児と幅広い年齢層です。
一人を除いて羊毛フェルト製作は初体験。
体験したことがある人も前回は上手くいかなかったらしいので、今度こそはと意気込んでいました。
羊毛フェルト作りは羊毛にひたすら針を突き刺すという単純な作業能力が求められます。
単純故に集中力を持続する力も必要で、生徒達の集中力がどれほどもつかが良い作品ができる鍵になります。
幼児は羊毛を手にとって刺すという作業は危ないので、フェルティングマットにハートの型抜きを置いて、テープで固定する方法にしました。
型抜きを持てば良いので、針を刺すということはそうそうありません。
土台となる球体を作る作業は器用な人ほど早いです。
小学生の女の子は早く、男の子は遅かったです。
やはり女の子の方がこういう作業は得意なんでしょうか~。
土台の球体が出来上がると、周りに別色の羊毛をくるみ、再び突いていきます。
そんな作業を40分ほどしていると、あっという間に休憩タイムとなりました。
皆すごい集中していたので、もう40分経っているのに驚いていました。
もぐもぐタイムでソーシャルスキルトレーニング
何かを作るという活動は当教室ではよく行うのですが、単純に物を作って終わりという活動ではありません。
活動内にソーシャルスキルトレーニングをさりげなく盛り込むようにしています。
作業中は作るだけに没頭してほしいので、休憩タイム、通称もぐもぐタイム(生徒談)内に盛り込みました。
皆持ち寄ったお菓子を床に広げ、キャンプ気分で生徒達は食べます。
「ありがとう」「どうぞ」「ちょうだい」等、ソーシャルスキルでも基礎となる部分を意識させながら、お菓子を交換してもらいました。
生徒達が食べている間に、教室の先生やフェルト製作の先生は食べている様子を横目に、生徒達が上手く出来ていない箇所を修正していました。
他者への意識が薄いためか、生徒達は先生にあげようという意識が全くなく、ひたすら食べ続けました。
「先生は頑張って直してるから、食べられないんやな~」と私が言うと、察しの良い子供はさっと先生に持っていきました。
その様子を見ても動かない生徒がいたので、「こういう時にお菓子をあげたりすると、印象がアップするで」と伝えると、「なるほど」と言って持っていきました。
人のためにあげるのではなく、自分のためにあげるなんて動悸が不純だと思う方もいるかもしれませんが、他者への意識が薄い人は自分たのために動いても良いと思います。
動悸がなんであれ、すぐに行動を起こせることの方が重要だと私は考えます。
考えてからあげるではなく、こういうケースはすぐにあげる。
一種のパターン化ですが、そのパターン化で悪い印象を持たれることはありませんし、感謝の言葉を通して人の心情に気が付くこともあります。
生徒は先生の心情にはまだ気が付いていないと思うので、後日ビデオを見ながら考えたり、教えたりする予定です。
イメージ力ではなく発想力を大切に
土台が出来れば、次に何を作るかを考えてもらいました。
すぐに決められる生徒もいれば、かなり悩む生徒もいました。
ASDの中には、イメージが出来ない、頭の中で情報が溢れすぎて決断が出来ないといった人もいます。
今回参加した生徒の中にそういうタイプがいたので、ホワイトボードに候補を書きながら、作りたいものを選択してもらいました。
最終候補として、マリオとゾンビが残り、悩んだ末にマリオを作ることになりました。
マリオはかなり難易度が高いので、どうなるか心配でした。
生徒は途中何度か心が折れかかりましたが、周りに勇気づけられ、分かりやすいようにやり方を教えてもらい続けました。
時間はかかりましたが、最終的にはマリオになりました。
本人大満足のマリオ。特にこの凸凹した髭の部分は生徒オリジナルの発想です。
発想した方法で上手く表現出来たのは、生徒にとって成功体験となりました。
こだわりが武器になる
幼児の作品は小さくて型抜きを使ったため、意外と早く終わりました。
そこで、先生の提案でもう一つ作品を作ろうと言うと、ウサギさんが良い」と言うので、ウサギを作ることに。
幼児なので集中力は持続しません。休憩を細目はさみながら先生と一緒に作り続けました。
出来上がった時は、本当に嬉しそうにしていました。
小学生の女の子も2種類作れたのですが、高校生の男の子は物凄く時間がかかっていました。
器用な生徒なのですが、一つ一つの作業が丁寧過ぎて時間がかかり、さらに細部に強いこだわりを示しました。
ウサギと言えば耳。耳と言えば、片方は真っすぐでもう片方は軽く折れ曲がっているものであるという強いイメージがあったらしく、耳作りに相当な時間を費やしました。
周りからしたら、両方とも真っすぐな耳にすれば良いのにと思うのですが、妥協はしません。
その結果、とてもレベルの高い作品に仕上がりました。
立体的な耳で、しかも折れ曲がっているのがチャームポイントとなっていて、非常にカワイイです。
こだわりが良い意味で発揮されました。
女子の間で話題を呼ぶ作品
4人の参加者で、1種類の人もいれば2種類作った人もいます。
どれも満足のいく作品で、さっそくカバンにつけている生徒もいました。
正直言うと、こちらが予想していたよりも上質な作品となっていて、もし友達に聞かれたら話題となること間違いなしです。
小学校でブームになると良いな~と密かに思っています。
工夫次第で、幼児でも作れるということが証明されたことに、フェルト製作の先生も驚いていました。
勿論サポートは必要ですが、ケガなく終えられたのは、生徒にとっても私達にとっても大きな自信になります。
また機会があればやりたいと思います。
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